9月8日 NHKBS1「国際報道2020」
世界の一流ピアニストへの登竜門として知られる
ショパン国際ピアノコンクール。
ポーランドの首都ワルシャワで5年に1度開催され
今年行われる予定だったが
新型コロナの影響で来年に延期となった。
そこで来年に向けて出演予定の若きピアニストたちを支えようというさまざまな取り組みが始まっている。
3月からコンサートなど大規模なイベントが制限されてきたポーランド。
7月以降少しずつ音楽活動が再開し始めている。
ワルシャワ郊外にあるショパンの生家。
この夏 コロナ禍ならではのコンサートが開かれた。
「ここがきょうコンサートの配信が行われる部屋です。」
ショパンコンクールに出場する予定だったヴィエルチンスキさん。
カメラの前で演奏し
その様子を世界中にネットで配信する。
観客なしのオンラインコンサートである。
(ヴィエルチンスキさん)
「プログラムを聴衆の前で演奏すると多くのことが得られます。
コンクール前に演奏の機会を与えてくれてとても感謝しています。」
実は家の外には音楽を待ち望む多くの市民が集まり生の演奏を楽しんだ。
「いいコンサートだと思いました。」
(ショパン国立研究所 ボクシュチャニンさん)
「コンクールのためのたくさんのレパートリーを持つピアニストにとって
コンクール前に演奏に磨きをかける場所を持つことは
非常に重要なことなのです。」
日本人出場者の中にも演奏の機会を求めている人がいる。
野上さん(29)は今回のショパンコンクールを最後のチャンスと考えている。
(野上さん)
「優勝したピアニストの演奏を聴いてきたので
憧れというのはすごく強くて。」
ピアノを学ぶためにドイツに留学している野上さん。
2月末に日本に帰国したところ感染拡大でドイツに戻れなくなった。
今は日本でドイツの教授のレッスンをオンラインで受けている。
しかし細かなニュアンスの表現などが理解しづらいという。
(ベルリン芸術大学 ビョルン・レーマン教授)
「最初の8分休符にもうちょっと間をとりたい。
インターネットでは支持が明確に伝えられないね。
特に音質の細部のことは。」
(野上さん)
「クラシックは特にだと思うんですけど
生の音でしか伝わらないことはあると思うので
聞いてくださる方にも自分の演奏は
生の音で聞いて欲しいという思いはあります。」
8月
日本でもショパンコンクールの出場者のためのコンサートが開かれた。
日本のピアニストたちに演奏の機会を提供しコンクールにつなげてほしいと
企画された。
(カワイ音楽振興会 小宮山さん)
「1回でも多くこういったものを提供するというふうにしないと
音楽が 芸術が途絶えてしまう。
我々の使命はそのピアニストを支えるということです。」
消毒などの対策を徹底し
客席を通常の半分の60席に減らした。
24人の出場者が参加。
野上さんも演奏した。
曲はショパンの「24の前奏曲 Op.28 」。
この機会に新たに憧れの大曲に挑戦した。
(野上さん)
「1年延びてしまったので
逆にこの少し時間が空いた期間に新しくやってみようかなと思って。
これを機にこの曲に挑戦できて
非常に勉強にもなりましたし
いい経験になりました。」
延期されたショパン国際ピアノコンクールは
来年4月から予備予選が始まって
本選は10月に行われる予定である。