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内モンゴル自治区 中国語教育強化に危機感

2020-10-19 07:00:00 | 報道/ニュース

9月28日 NHKBS1「国際報道2020」


中国政府突然打ち出した方針が
少数民族モンゴル族の人たちを揺るがしている。
中国は漢族を中心に56の民族が住む多民族国家である。
モンゴルとの国境沿いに広がる内モンゴル自治区には約2,400万人が暮らしているが
漢族が大量に流入した結果
モンゴル族は約420万人
全体の17%にすぎない。
自治区の街なかには共産党のスローガンが掲げられているが
それぞれ中国語とモンゴル語で書かれている。
この2つの言語は文字も発音もまったく異なるものである。
内モンゴル自治区の学校では
公用語である中国語で授業を行なう学校か
モンゴル語で授業を行なう学校か
どちらで学ぶか選択をすることができる。
モンゴル族の子どもたちの多くはモンゴル語の学校に通っているが
今回 中国政府が打ち出したのが
9月の新学期から国語などの授業を
従来からのモンゴル語ではなく中国語に切り替えるというものだった。
モンゴル族の人たちの間では
民族のアイデンティティーが失われるのではないかという危機感が急速に広まっている。

「モンゴル語で勉強するぞ!」
抗議する生徒たち。
8月末以降
モンゴル語の授業削減に反対する生徒や保護者が学校周辺でデモを行い
授業をボイコットする動きが広まった。
一連の騒動の発端は
8月下旬 教育関係者に送られた通達だった。
国語 ・政治(道徳と法治)・歴史の3教科について
モンゴル語から中国語による授業に変更すると記されている。
内モンゴル自治区で何が起きているのか。
中心都市フフポトでは街なかのいたるところにモンゴル語と中国語のスローガンが張り出されていた。
学校の抗議デモは収まり多くの学校で授業差再開されていた。
その一方で学校の周りには警戒する警察官の姿が。
保護者に話を聞こうとすると何も答えずに立ち去る。
みな一様に口を閉ざす。
インターネット上には地元の警察が抗議活動に参加したとする人々の顔写真を掲載。
報奨金をかけて情報提供を呼び掛けている。
アメリカに拠点を置く人権団体は
“これまでに4,000人以上が拘束された”と伝えている。
一連の動きについて中国政府は
(中国外務省 華春瑩報道官)
「海外の報道は下心をもって政治的にあおっている。
 国の公用語は主権の象徴であり
 公用語を学び使うことは国民の権利と義務だ。」
日本から現地のモンゴル族への電話取材に対して
匿名を条件に教育関係者や生徒の保護者たちが実情を明かした。
(元教師)
「教師が政策に反対すると免職されます。
 反対する言動をしただけでも
 違法行為として免職や減給処分にすると言われました。」
生徒の親たちも当局の圧力にさらされていた。
(保護者)
「最近ではモンゴル族の公務員が動員されて各家庭を説得しに回っていました。
 子どもを出席させなければ
 除籍かブラックリストに入れると脅かされ
 銀行に借り入れがある人は返済を促され
 今後借入できないと言われます。」
ある村の幹部は中国政府がモンゴル族に対し
漢族への同化政策を進めていると不安を口にした。
(村の幹部)
「本質はモンゴル族の母語を中国語に変えようとする“大漢族主義”だと思います。
 中国語で勉強させ
 モンゴル語を忘れさせ
 内モンゴルの土地を自分たちのものにしようとしている。
 反抗しようとしてもできない強引なやり方で通そうとして
 私みたいな話をすると盗聴されたり監視されたり
 場合によっては逮捕される。」
沈黙を強いられている故郷の同胞たちに変わって
日本に住むモンゴル族の人たちが声をあげた。
(モンゴル族の参加者)
「文化も失っていて民族の存在まで懸念するようになる。」
「内モンゴルの人々は今まで何ひとつ騒ぎを起こすことなく平和を守ってきた。
 なんで今日になって言葉まで奪っていくのか。」
モンゴル語教育を中国語に切り替える政策に断固反対!
断固反対!
約1,000人がデモ行進し
中国政府にモンゴル語教育を減らさないよう訴えた。
参加したひとり ボルドーさん(57)。
20年前に留学したのち日本国籍を取得。
いまは首都圏の大学で教えている。
1963年生まれのボルドーさん。
文化大革命の真っただ中に育ち
さまざまな困難はあったが
小学校から大学までモンゴル語で学ぶことができたという。
モンゴル族が誇りを持って文化を守ることができた時代。
それが終わりに近づいていると感じている。
(内モンゴル自治区出身 ボルドーさん)
「悲しい。
 もうそれだけです。
 民族が滅びることを自分たちは経験していく。
 こんな悲しいことはないです。
 こういう時代が来るとは夢にも思っていなかった。」



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