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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

2023-08-24 08:11:51 | 映画(ま)
評価点:70点/2023年/アメリカ/164分

監督:クリストファー・マッカリー

やはり見終わったら全力疾走したくなる。

ロシアの最新潜水艦は、レーダーなしの推測航法(デッドレコニング)によって航行していた。
この技術のために最新AIを搭載していたが、そのAIが暴走し、撃墜される。
IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)のイーサン・ハント(トム・クルーズ)のもとに、新たな指令が下される。
それは、特殊な鍵を持っている元MI6のイルサ(レベッカ・ファーガソン)を確保すること。
中東の砂漠に向かったイーサンだったが、イルサにかけられた賞金を狙った賊に襲われる。

決死のノースタントや、直前に俳優協会によるストなど何かと話題の人気シリーズの最新作。
主演のトム・クルーズはもはや日本でも知らない人はいないほどの人気振りだろう。

その彼も60歳を超えたご高齢。
このイーサン・ハント役もそろそろ終盤にさしかかっているようだ。
少なくとも最新作は2部構成になっていて、これ以降は制作するかどうかもまだわからない。
もしかしたらこの作品(2部作)が最後になるかもしれない。

さまざまなメディアをつかって、撮影の様子が明かされている。
もはや映画というよりは一種のドキュメンタリーであり、いわゆる映画というよりもちょっと次元が違う楽しみ方を観客に提供している。

▼以下はネタバレあり▼

世界を操ることができるかもしれない、AIが暴走し、あらゆる情報機器がそのAIに操られる。
簡単に言えばそういう話だ。
その人間としての敵が、かつてイーサンがIMFに入ることになったきっかけとなった事件に関係している。
その全容はまだ完結していないのでいまいちわからないが、IMFのきっかけなのだから、その反対、最後を飾るのにふさわしい物語と言えるだろう。

物語の詳細についてあまり考察を進めても、完結していないという理由で、そしてそんなことよりもアクションがメインだという理由でも、意味がないかもしれない。

ポイントは、中盤にあるイルサの落命である。
これによってイーサンは、復讐のためにガブリエルを殺すのか、世界のために生かすのかという選択を迫られる。
仲間を死なせない、ということを信条にしていた彼にとって、イルサが殺されるのは耐えがたい苦しみだった。
物語の山場をこれにもってきたことによって、ややこしい鍵を巡る問題もかなりすっきりした。

これまでの作品でも説明されいたとおり、イルサはイーサンの最も愛した女性のうちの一人だ。
元MI6の工作員で、何度もイーサンを窮地に追いやりながら、ともに戦ってきた戦友であり、ライバルであり、恋人以上に死線をくぐり抜けてきた同志である。
その彼女を死に追いやるという展開はやや賛否がわかれるかもしれない。
というのも、この「MI」シリーズは、仲間が(を)裏切らない、死なせないというのが最も大きな軸になっていたからだ。
物語の重要なファクターとしての死ではあるものの、「ここで殺しちゃうんだ」という驚きもある。

だからというわけではないかもしれないが、話題になっていたアクションはやや控えめだった、といえる。
いや、厳密に言うなら、「既視感が強い展開」と言ってもいい。
最初の砂嵐での銃撃戦は、「ゴースト・プロトコル」でも演出としてあった。
カーチェイスはお決まりとしても、最後の列車での攻防はもちろん最初の作品のクライマックスと同じだ。
橋が爆破されて列車が落ちていくのも、「フォールアウト」でのヘリコプターでの戦闘を思い出させる。

もちろんスリリングだし、アクションはパワーアップしている。
けれども、どれもこれも既視感があるといえばその通りだ。
これまでの作品も、常に敵を追いながら味方(アメリカ当局)からも追われるという展開だった。
今回は、敵を追っていくとその先に味方(キトリッジ)がいた、という流れだ。
(イーサンはまだキトリッジが黒幕だとは気づいていないが)

前後編に別れた作品としては、確かに自立性がありおもしろかった。
次回作への伏線もしっかりと張られているようだ。
だが、そのわりには上映時間が長く、最初の潜水艦のくだりは、まったくなくても断片的に挿入すれば説明が付いたかもしれない。

次回作が最後の作品となるのか、それともまだ続くのか。
目が離せないことは間違いない。
(もう一回くらい見に行こうかな。いけるかな?)


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