評価点:70点/2013年/日本/105分
監督:福田雄一
原作:あんど慶周
後半からの驚きがなさ過ぎる。
高校生、色丞狂介(鈴木亮平)は変態の両親に育てられた、普通の高校生だった。
警察官だった父の遺志を継ぎたいと、強くなりたいと思って拳法部に入ったが、大きな成果は得られていなかった。
そんなある日、色丞のクラスに転入生がやってきた。
姫野愛子(清水富美加)というその子に一目惚れした色丞だったが、どうしても一歩が踏み出せなかった。
その放課後、しょんぼりして帰っていると、愛子が強盗に捕まり、人質になっていた。
衝動的に助けなければと思い、ビルに侵入したところ、顔を隠すために手にしてしまったのは、なんとパンティだった。
週刊少年ジャンプには冒険の歴史がある。
「ラッキーマン」がそうだし、「幕張」がそうだ。
少年誌、しかも、発行部数で他社を圧倒する(現在もそうなの?)少年誌で、くだらない、いや、きわどい漫画が連載されていた歴史がある。
そんな代表的な漫画が「変態仮面」だった。
強烈なインパクトの作品だが、それがなと実写映画化された。
そのニュースに思わずにやりとしてしまったのは、私だけではあるまい。
いや、そうだったのだ。
だから、私が映画館に行くと、休日とはいえ、ほぼ満員になっていたわけだ。
公開からずいぶん時間がたっていたが、それでもその人気は衰えているようには見えなかった。
諦めかけていたが、時間が合ったので観ることにした。
パンフレットの販売がなかったのは、観客に汚点を残さないための配慮なのだろうか。
気になる人は、ぜひ映画館に行ってほしい。
まだ間に合うはずだ。
▼以下はネタバレあり▼
この映画の制作に、どうやら小栗旬が関わっているようだ。
私には「踊る3」のイメージが強いので、ファンになれそうになかったが、今回の企画を聞いて、少し評価を改めなければなるまい。
ヤフーのレビュー採点ではけっこう高かったが、はっきり言って映画としての出来は高くない。
もはや「出オチ」といってもいいくらい、企画されたことじたいへの採点だろう。
映画としても、シナリオとしても、もっとひねれたはずだし、もっとおもしろいものはできただろうという失望感は強い。
それでも、一定の満足を得られるのだから、原作の魅力が優れていると言わざるを得ない。
言いたくないけれど、原作がおもしろいと言わざるを得ない。
認めたくないけれど。ほんとに。
だれがなんと言おうと、これがB級映画であることはできあがる前からわかっていることだ。
企画の段階で、これが、ゴールデンで放映できるような、そんな映画にはならない。
それならば、もっと思い切れたのではないかと思えてならない。
もっと「まじめ」に作ってもよかったのではないかと。
脚本・監督は福田雄一。
彼は、「逆境ナイン」でも脚本をつとめた人物である。
どうしても比べてしまう「逆境ナイン」の出来と本作では、やはり本作は見劣りしてしまう。
もっとつっこんでもよかったのに、もっと練れば次回作への期待も膨らんだのに、と思えてならない。
なぜなら、それだけ「いい線いっていた」からだ。
特に前半は非常によい出来だった。
では、何がだめだったのだろう。
オープニングが秀逸である。
「スパイダーマン」のオープニングをまるまる模したオープニングは、「糸」ではなく「パンティ」。
このセンスには脱帽だ。
B級映画の、最も重要な点は、ばかばかしいことを大まじめでやることなのだから。
中盤まではその精神が貫かれている。
変態かもしれない、いやおれは変態ではない、正義を貫きたいだけだ。
そんなばかばかしい葛藤は、観ていてほほえましい。
大まじめであるが故に、おもしろい。
まるで「キック・アス」のようなばかばかしさである。
急速にしぼんでいくのは、中盤以降、説得力がどんどん衰退していくからだ。
高校を乗っ取ろうとする悪の組織があるという設定は、何とも説得力がない。
それなら、連続テロ事件とか、シリアスで深刻な事件を「悪」にするべきだった。
もしくはレイプ事件など、変態仮面と酷似しているが、対比的な「悪」を設定するべきだった。
しかし、福田雄一が設定してしまったのは、つかみ所もリアリティもない悪の組織だった。
よって、途端に感情移入できなくなる。
視点人物となる、キャラクターもいない。
本来なら姫野やその友人あたりが「ありえない」とつっこんでくれるはすだが、うまく機能しない。
だから、「常識」を持ち込んでくれないので、どんどん非日常化していく。
全体としてありえない世界になってしまい、完全なフィクションとなってしまう。
物語に没入しにくくなるのは無理もない。
「もしかしたらいるかもしれない、こんなやつ」というのがヒーローには必要だ。
当然それを体現するためには、「世間の不満を象徴する敵」も必要なわけだ。
(「ダークナイト ライジング」の評価があまり高くないのは敵となるベインが「ありえそうもない」と思わせてしまう敵だったからだ。
ジョーカーはその点で優れていたわけだ。)
変態対変態という、ヒーロー性が際立たない構図にしてしまったから、笑いが減ってしまった。
最後に登場するロボもクオリティが低い。
「ここまでするの?」というおもしろさがあった「逆境ナイン」や「キック・アス」には遠く及ばない。
ヒロインのパンティを要求するあたりが最大の見せ場だったが、そのシークエンスも正直物足りない。
もっと恥じらいを、もっとうまい見せ方を考えてほしかった。
だって、好きな女の子のパンティをかぶるんだよ?
それを想像させるだけの、説得力(リアリティ)がなかったのが残念だ。
ヒロインの清水は予想以上にうまかったし、狂介の配役もよかっただけに、もったいない。
そこかしこで笑いがおこっていたが、私は満足できない。
アクションにも本格的なCGを使って、徹底的にヒーロー映画に仕立て上げてほしい。
そうすれば、ハリウッドも映画化したいと思うかもしれない。
ごめん、それはうそ。
監督:福田雄一
原作:あんど慶周
後半からの驚きがなさ過ぎる。
高校生、色丞狂介(鈴木亮平)は変態の両親に育てられた、普通の高校生だった。
警察官だった父の遺志を継ぎたいと、強くなりたいと思って拳法部に入ったが、大きな成果は得られていなかった。
そんなある日、色丞のクラスに転入生がやってきた。
姫野愛子(清水富美加)というその子に一目惚れした色丞だったが、どうしても一歩が踏み出せなかった。
その放課後、しょんぼりして帰っていると、愛子が強盗に捕まり、人質になっていた。
衝動的に助けなければと思い、ビルに侵入したところ、顔を隠すために手にしてしまったのは、なんとパンティだった。
週刊少年ジャンプには冒険の歴史がある。
「ラッキーマン」がそうだし、「幕張」がそうだ。
少年誌、しかも、発行部数で他社を圧倒する(現在もそうなの?)少年誌で、くだらない、いや、きわどい漫画が連載されていた歴史がある。
そんな代表的な漫画が「変態仮面」だった。
強烈なインパクトの作品だが、それがなと実写映画化された。
そのニュースに思わずにやりとしてしまったのは、私だけではあるまい。
いや、そうだったのだ。
だから、私が映画館に行くと、休日とはいえ、ほぼ満員になっていたわけだ。
公開からずいぶん時間がたっていたが、それでもその人気は衰えているようには見えなかった。
諦めかけていたが、時間が合ったので観ることにした。
パンフレットの販売がなかったのは、観客に汚点を残さないための配慮なのだろうか。
気になる人は、ぜひ映画館に行ってほしい。
まだ間に合うはずだ。
▼以下はネタバレあり▼
この映画の制作に、どうやら小栗旬が関わっているようだ。
私には「踊る3」のイメージが強いので、ファンになれそうになかったが、今回の企画を聞いて、少し評価を改めなければなるまい。
ヤフーのレビュー採点ではけっこう高かったが、はっきり言って映画としての出来は高くない。
もはや「出オチ」といってもいいくらい、企画されたことじたいへの採点だろう。
映画としても、シナリオとしても、もっとひねれたはずだし、もっとおもしろいものはできただろうという失望感は強い。
それでも、一定の満足を得られるのだから、原作の魅力が優れていると言わざるを得ない。
言いたくないけれど、原作がおもしろいと言わざるを得ない。
認めたくないけれど。ほんとに。
だれがなんと言おうと、これがB級映画であることはできあがる前からわかっていることだ。
企画の段階で、これが、ゴールデンで放映できるような、そんな映画にはならない。
それならば、もっと思い切れたのではないかと思えてならない。
もっと「まじめ」に作ってもよかったのではないかと。
脚本・監督は福田雄一。
彼は、「逆境ナイン」でも脚本をつとめた人物である。
どうしても比べてしまう「逆境ナイン」の出来と本作では、やはり本作は見劣りしてしまう。
もっとつっこんでもよかったのに、もっと練れば次回作への期待も膨らんだのに、と思えてならない。
なぜなら、それだけ「いい線いっていた」からだ。
特に前半は非常によい出来だった。
では、何がだめだったのだろう。
オープニングが秀逸である。
「スパイダーマン」のオープニングをまるまる模したオープニングは、「糸」ではなく「パンティ」。
このセンスには脱帽だ。
B級映画の、最も重要な点は、ばかばかしいことを大まじめでやることなのだから。
中盤まではその精神が貫かれている。
変態かもしれない、いやおれは変態ではない、正義を貫きたいだけだ。
そんなばかばかしい葛藤は、観ていてほほえましい。
大まじめであるが故に、おもしろい。
まるで「キック・アス」のようなばかばかしさである。
急速にしぼんでいくのは、中盤以降、説得力がどんどん衰退していくからだ。
高校を乗っ取ろうとする悪の組織があるという設定は、何とも説得力がない。
それなら、連続テロ事件とか、シリアスで深刻な事件を「悪」にするべきだった。
もしくはレイプ事件など、変態仮面と酷似しているが、対比的な「悪」を設定するべきだった。
しかし、福田雄一が設定してしまったのは、つかみ所もリアリティもない悪の組織だった。
よって、途端に感情移入できなくなる。
視点人物となる、キャラクターもいない。
本来なら姫野やその友人あたりが「ありえない」とつっこんでくれるはすだが、うまく機能しない。
だから、「常識」を持ち込んでくれないので、どんどん非日常化していく。
全体としてありえない世界になってしまい、完全なフィクションとなってしまう。
物語に没入しにくくなるのは無理もない。
「もしかしたらいるかもしれない、こんなやつ」というのがヒーローには必要だ。
当然それを体現するためには、「世間の不満を象徴する敵」も必要なわけだ。
(「ダークナイト ライジング」の評価があまり高くないのは敵となるベインが「ありえそうもない」と思わせてしまう敵だったからだ。
ジョーカーはその点で優れていたわけだ。)
変態対変態という、ヒーロー性が際立たない構図にしてしまったから、笑いが減ってしまった。
最後に登場するロボもクオリティが低い。
「ここまでするの?」というおもしろさがあった「逆境ナイン」や「キック・アス」には遠く及ばない。
ヒロインのパンティを要求するあたりが最大の見せ場だったが、そのシークエンスも正直物足りない。
もっと恥じらいを、もっとうまい見せ方を考えてほしかった。
だって、好きな女の子のパンティをかぶるんだよ?
それを想像させるだけの、説得力(リアリティ)がなかったのが残念だ。
ヒロインの清水は予想以上にうまかったし、狂介の配役もよかっただけに、もったいない。
そこかしこで笑いがおこっていたが、私は満足できない。
アクションにも本格的なCGを使って、徹底的にヒーロー映画に仕立て上げてほしい。
そうすれば、ハリウッドも映画化したいと思うかもしれない。
ごめん、それはうそ。
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