銅版画制作の日々

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牛の鈴音(2008)OLD PARTNER

2010-01-10 | 映画:ミニシアター


その老いぼれ牛は、お爺さんと一緒に30年も働き続けた。

京都シネマにて鑑賞。「牛の鈴症候群」と呼ばれる社会現象を起こしたドキュメンタリーだということもまったく知りませんでした。おそらく一昔前なら、ここまでブレイクしなかったのではないかと思うのです。殺伐とした時代だから、きっと皆が温かさを求めている。そんなものがこの作品にはあるからだろうと思いました。

それと映像のショットもそれぞれ印象深いです。年老いた牛さんのあの目の表情も何か訴えかけているように感じました。お爺さんの片腕となって頑張ってきた牛さんの30年はどうだったのかな?彼女はどんな思いで生きてきたんだろうと。。。。。

そして牛の主、79歳のチェ爺さんの牛さんへの優しい気持ちが全編通じて溢れ出るというのも確かに凄く癒されますよね。

STORY

79歳になる農夫のチェ爺さんには30年もともに働いてきた牛がいる。
牛の寿命は15年ほどなのに、この牛は40年も生きている。
今では誰もが耕作機械を使うのに、頑固なお爺さんは牛と働きつづける。
牛が食べる草が毒になるからと畑に農薬をまくこともしない。
そんなお爺さんに長年連れ添ってきたお婆さんは不平不満がつきない。
しかしある日かかりつけの獣医がこの牛はそろそろ寿命だ。
今年の冬は越せないだろうと告げる。

その冬

チェ爺さんは牛市場で新しい雌牛を買った。
年寄りに2頭の牛の世話は無理だ。
お婆さんは老いぼれ牛を売れと言う。
死ぬまで面倒みるさ お爺さんは答える。
こいつは動物だがわしには人間よりも大切だ。

新しい春

若い牛が雌の仔牛を産んだ。お婆さんはがっかり。
雌の仔牛はお金にならない。
お爺さんは相変わらず黙々と牛のために夜明けからエサをつくる。

青い夏空の下、牛が草を食む。
お婆さんの愚痴は果てることがない。
夏の終わりの大雨で 田んぼが水浸しになってしまう。

お爺さんは頭が痛いと時折つぶやくようになった。
老いぼれ牛が引く荷車に乗って
夫婦二人 町の病院へ向かった。
働くのを控えなさいと医師はお爺さんに忠告する。
病院の帰り道。
二人は写真館で遺影用の写真を撮る。
一緒に記念写真も撮った。
医師の忠告にもかかわらずお爺さんは働きつづける。
休むのは死んでからだ。

ある日 逃げ出した子牛がお爺さんに八つ当たりした。
お爺さんは仕方なく子牛を売った。
老いぼれ牛は今にも倒れそうだ。
お爺さんとお婆さんの二人が乗ると重さで立ち止まる。
お爺さんは牛に気遣ってお婆さんを怒鳴り降りろという始末。
何の因果でこんな男に嫁いだのか。
私の青春よ どこへ行った。
お婆さんの歌声が響く♪

秋夕 ー韓国のお盆ー

9人の子供達がそれぞれ家族を連れて帰って来る。
老いぼれ牛を売るように言っていくれ。
お婆さんに言われて子供達も口をそろえる。
お父さん病気なんだから働き続けるのは良くないわ。
牛を売って隠居して。
お爺さんは答えない。

収穫の秋

鎌で刈るのは老いた夫婦には大変な苦労だ。
近所の人がトラクターで稲刈りの手伝いに来てくれた。
機械でやると米がいくらか無駄になるとお爺さんは言い張るが
どこか寂しそうだ。
お婆さんは子供達に米を送る。
米を作れるのも今年が最後だろう。
お爺さんは怪我をした。
もう牛の世話は無理だ。お婆さんが繰り返す。
お爺さんは仕方なく牛を牛市場に連れていくことにした。
牛市場に来てみたが、安く買いたたこうとする連中がお爺さんは腹立たしい。
タダでも要らないいような牛だとは なんという言いぐさだろう。
老いぼれ牛の目から涙が落ちた。お爺さんは結局 牛を手放さなかった。
お爺さんは若い牛の訓練を始めたが 足の悪いお爺さんには重労働。
やはり 老いぼれ牛がお爺さんには良い相棒なのだろう。

そして最後の冬。。。。。。

ついに老いぼれ牛は動けなくなった。もう助かる道はない。
時間の問題だと獣医は告げた。
お爺さんは 30年の間ずっとつけていた鼻輪を外し 鈴も外した。

ちりん ちりんと鳴っていた鈴の音が止んだ。

 

 


30年も一緒に働いた牛はとうとう。。。。。

お爺さんと老いぼれ牛の絶対の絆。言葉がなくてもお互いの気持ちは何よりも深かったのだろうね。いやあ最後はウルっとなりました。

監督は2004年にチェ爺さんとその相棒の牛に出会い、いよいよ製作となる。撮影は足かけ3年。限られた予算なので、ロケ地に泊まり込むことも出来なかったらしい。月2~3回のペースで村へ通った。不在の際に牛が亡くなる可能性もあるので、大変だったそうだ。

泣けるだけではなく、婆さんの名語録には大爆笑!

老夫婦の話す言葉には方言が強く、聞きとるのが難しいものの、そんなハンディは何のその。たちまち映画は感動を呼び「泣ける映画」という口コミがまたたく間に広がったが。。。。。映画の魅力は涙だけではない。映画の台詞は8割を占めるお婆さんの言葉の数々。。。。「笑え!」と叫ぶお婆さんの姿は爆笑もん。


まさに笑いと涙の名作である。

メディア 映画
上映時間 78分
製作国 韓国
公開情報 劇場公開(スターサンズ=シグロ)
初公開年月 2009/12/19
ジャンル ドキュメンタリー


左 イ・チュンニョル監督 右 コー・ヨンジェ プロデュサー

プロデュサー、コ―・ヨンジェ氏のインタビューはこちらをご覧ください。

オフィシャル・サイト
http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/

 

 

Comments (7)
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