子供のままではいられない。
京都シネマにて鑑賞。
フィクションではなく、ドキュメンタリー的な作品に見える作品でした。多分この2人の女の子が自然な演技だったからでしょうか。それに比べて大人たちの存在感は薄くて、ぼんやりしていましたね。それだけ彼女たちの演技が素晴らしいものだったのでしょうね。
いやいや恐れ入りました。まったく経験がないのに凄い子供たちですよね。ニナ役のアリエル・ムーテルちゃんは両親が離婚している設定なのだが、別れた母に、「どうしてもっと努力できなかったの?」と本音をぶつけるシーンなんかは本当にリアルで驚きました。映画初出演とは思えない堂々とした演技にぶったまげてしまいました。
一方のユキ役のノエ・サンピちゃん、彼女の場合、台詞はそんなに多くの言葉ではありません。表情、雰囲気で、そのときの心情を上手く醸し出していました。まさにそれが最初に書いた、ドキュメンタリー的に見えるところかもしれません。
STORY
母ジュン(ツユ)、父フレデリック(イポリット・ジラルド)
イポリット・ジラルドは今回諏訪監督と共同で監督もしています。
フランス人のパパと日本人のママを両親に持つユキは、パリに暮らす9歳の女の子。同い年のちょっとおませなニナとは大の仲良し。そんなユキの最近の心配事は、両親の仲が悪いこと。そして夏休みが始まる日、離婚を決意したママから、ユキを連れて日本に帰るつもりと告げられる。ショックを受けたユキはニナに相談。ニナも両親の離婚を経験し、いまだにそれを納得できていなかった。そこで2人は、ユキの両親を仲直りさせようとある作戦を実行する。それは、ユキの両親が愛し合っていた頃を思い出すような手紙をユキのママに送る事だった。その頃の仲むつまじい写真の切り抜きや、プレゼントを入れて工夫を凝らした。その手紙は“愛の妖精”から送られたという事にする。その手紙を、日本式のお祈りで願いを込めてポストに投函する。
数日後、日本に帰る荷造りをしているママの元に“愛の妖精”の手紙が届く。
“何故離婚するのですか?悲しくなるのにお別れですか?”それを読んだユキのママは「きっと悲しくなるけど 今の方がもっと悲しいからパパと別れるの」と涙ながらに告げる。そしてママが一足先に日本に旅だった夜、悲しみにくれるパパと話をするユキ。「たとえ東京へ行かせてもお前を見捨てたわけじゃない。落ち込まないで元気でいてくれ。ママと一緒なら大丈夫、新しい土地で成長していける。」とパパは必死でユキに愛情を伝えようとする。
2人の想いはなかなか大人たちには届かない。ついにユキとニナは最後の手段として家出を決意、うその書置きを残して郊外の森へと向かうのだったが…。
深い森を抜けて、大人になる。。。。。。
途中ユキはニナを置いたまま、さらに森の奥へと進んで行く。そして深い森を抜けた向こうに見えたものは?これがユキの決めたことを意味する選択だったのかしら。
幻想的な森でしたね。以前行ったフィランドの森を思い出しました。そんな森の向こうは何とのどかな日本の田舎の風景が広がるという発想がまた面白いですね。まさに日本とフランスの融合!意外に味がありましたよね。
実際、脚本の台詞部分を空白にし、役者の即興で作るという諏訪監督独特の手法がとられたという。慣れた役者でも難しい手法だそうで、その手法に瑞々しい感性で演じたふたりの子役が素晴らしいです。でも期待に応えるこの子たち、これでいいのかしら?
これぞ本物の天才子役かもしれませんね。
解説(allcinemaより抜粋)
「M/OTHER」「不完全なふたり」の諏訪敦彦監督と俳優のイポリット・ジラルドが共同で監督を務めた日仏合作ドラマ。大親友の2人の少女が、大人たちの都合で離れ離れとなる危機に直面して、様々な葛藤を経て成長していく姿を、少女の目線から繊細かつ瑞々しいタッチで綴る。主演は、共に映画初主演ながら諏訪監督ならではの即興演出にも見事な演技で応えたノエ・サンピとアリエル・ムーテル。
主題歌はううあ(UA)の「てぃんさぐぬ花」でした。沖縄民謡のような音楽でしたね。
メディア | 映画 |
上映時間 | 93分 |
製作国 | フランス/日本 |
公開情報 | 劇場公開(ビターズ・エンド) |
初公開年月 | 2010/01/23 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | G |
http://www.bitters.co.jp/yukinina/