やっとみつけた、どん底での希望。
それは“心の居場所”に帰ること。
京都シネマにて鑑賞しました。
大好きな浅野忠信さんと永作博美さんが初共演。人気漫画家西原理恵子の元夫である鴨志田穣の自伝小説の映画化です。
残念なことに、鴨志田さんは、2007年腎臓癌で亡くなられたそうです。お話は本当にフィクションではないの?というくらい大変波乱にとんだものでした。
アルコール依存症。昔はアルコール中毒と言われた病気ですが、最近こういう病名に変わったようですね。酷くなると、幻覚症状まで出るそうで、、、。死に至ることも。
この中でも浅野忠信さんが演じる主人公も極度な幻覚症状が起きていました。人格も変わるのか?妻に暴言を吐いたり、暴力もあったり、、、。
何故にお酒に溺れてしまうのか?原因は様々なのでしょうね。
以前の職場でそういった方と接触する機会がちょこっとありましたが、実際そういう場面に遭遇することはなかったので、今一つ実感はありませんが。。。。
かっては戦場カメラマンとしてあちらこちらの国へ飛び、その実情を写真に収めるという仕事をしていた彼は、厳しい現実に出くわす。本作の中ではクロアチアでしたか?ちょっと忘れましたが、ロシアンルーレットで口に拳銃をくわえ発砲するというゲームを見たということを病院の患者仲間に話しています。弾が運悪く発射されて頭をぶち抜かれるというなんともいえないゲームを目の当たりにしたと。。。。
そういうゲームは映画の中だけの話だと思っていたら、本当に目の前でその光景を見てしまったという彼。元々繊細で優しい心を持つ彼には大変な衝撃、それは彼の心に大きなストレスをもたらした。そのことが原因でアルコールに走るという要因になったらしい。
ありえない現実は、ここまで人の心を追い込んでしまうとは、、、、。とても恐ろしいことですね。
一度壊れてしまうと修復するには、並大抵ではらちがあかない。本作ではその様子が克明に描かれています。
何度も意識を失ったり、吐血は数えること10回、脳も破壊される。そして肺にも穴が開くという予想も出来ないくらい心も体も蝕んでしまう。
しかしそんなどうしょうもないところまで落ちてしまった元夫を支えるという元妻の姿には本当に驚いた。
一度は見切ったはずなのに、、、、、。 やっぱりあの言葉かな。「一度好きになったら、なかなか嫌いになれない」印象的でしたよね。
かたちの上では離婚してるけど、心は離れていないってことなんでしょうか。
あらすじ(allcinemaより拝借)
戦場カメラマンの塚原安行は、人気漫画家の園田由紀と結婚し、2人の子どもにも恵まれたが、いつしか酒に溺れてアルコール依存症となる。それが原因で離婚し、今は別々に暮らす日々。そんなある日、安行は再び吐血して病院に運ばれる。別れても安行のことを心配せずにはいられない由紀。そしてついに安行は嫌々ながらもアルコール病棟に入院することに。やがて、そこで出会った風変わりな患者たちや、個性的な医者たちと過ごす日々に安らぎを覚え、少しずつ回復していく安行だったが…。
個性的な入院患者たちとの生活や医者との会話も必見
あの光石研も患者鬼頭で登場。渡辺真起子もちょっと出演。
気丈な由紀があの台所で思いあまって泣き崩れるシーン、永作博美が本当に西原理恵子じゃあないの?!と思うくらい、こちらもグゥ~ときましたね。思わず涙してしまいました。母として元妻として、そして漫画家として、頑張って来た由紀の心の何かが急に切れたような。本当は泣きたい毎日だったんだろうけど泣くわけにはいかないという張りつめた気持ちがある時、一瞬ほどかれたような感じ。
こんな元夫だけど、彼女にとってはやはりかけがえのない愛する人だったに違いないと、、、、。
何とか回復の兆しが見えて良かったと思っていた頃、今度は腎臓癌に冒されていたという事実。
川で足を浸ける安行が水をすくいながら癌だとつぶやくシーンにやるせないものを感じた。
本物の西原理恵子の漫画も登場。
すっかり永作さん、母のような雰囲気も。
※娘かおるのおとしゃん!が何ともいえず可愛かったよね♪
メディア | 映画 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 日本 |
公開情報 | 劇場公開(ビターズ・エンド) |
初公開年月 | 2010/12/04 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | G |
永作さん→東陽一監督は、自分たちの好きなように演じさせていただけたので、すごくありがたかったです。
さらに追記:鴨志田穣さんはイラクで銃撃されたジャーナリスト・橋田信介さんの弟子だったそうです。
解説(allcinemaより拝借)
漫画家・西原理恵子の元夫で2007年に腎臓癌で亡くなった戦場カメラマン、鴨志田穣による同名の自伝的小説を浅野忠信主演、永作博美共演で映画化。アルコール依存症に苦しみ、入退院を繰り返しながらも家族の愛情に支えられ、懸命に依存症を克服していく姿を描く。監督は「サード」「わたしのグランパ」の東陽一。
主題歌は忌野清志郎の『誇り高く生きよう』