原題:Herb&Dorothy
京都シネマにて鑑賞。
アーティストの才能には恵まれなかったようですが、アーティストへの理解は凄く深かったハーブことハ―バ―ト・ヴォ―ゲル。彼は独学で美術を勉強。妻のドロシ―はまったく美術には興味がなかったが、実務面で夫ハ―ブをサポートして2人で様々な現代アート作品をコレクションしてきたそうです。
曲がりながらもアートをかじっている私にとっては大変興味深い話です。それにニューヨークといえば、現代アートの中心的な場所。そんなところで暮らすこのご夫婦は何とラッキーですよね。そんなアートに触れるだけでも羨ましいなあ。
お金持ちがコレクションするというお話は多いけど、彼らはそんなコレクターではない。
ハーブは郵便局に勤め、また妻のドロシ―は図書館に勤務。慎ましやかな生活の中で、大好きなアーティストの作品を購入。決して高額な作品を購入するのではなく、自分たちの生活の範囲内で購入する。
これまでのコレクターのイメージとは一味違いますよね。
40年の歳月でコレクションした作品は何と4000点!1LDKの壁には所狭しと飾られている。それ以外にも床やベッド下に収納されている数は2000点を超えているらしい。何故にここまでアートというものに彼らは惹かれたのか?
ヴォ―ゲル夫妻とアーティストたちとの心の触れ合いも映画の中で語られている。
ハーブの美術品を見る目は鋭い。
ひょっとしたら、評論家の域かもしれないよね。
一見何なのか?と思うようなものですが、、、、。これ正真正銘の芸術品です。ガラクタとも思える。
誰も見向きもしないときから熱心に見てくれたことで、つい安い値段で買ってもらうことをOKしたアーティストたち。
そして絶対無理せず、タクシーや地下鉄で持って帰れるくらいのものを選ぶというのもチョイスした。
本当に芸術作品を愛してやまない2人の飾り気のない姿勢が、アーティストの心に響いたのかもしれません。
バックのこの赤のオブジェは私も大好きなクリスト&ジャンヌ・クロードの作品。ハーブはさすが目が高いです。
ご夫婦で大きなプロジェクトをこなしている有名なアーティスト。海を布で覆うといったとても考えつかないような作品作りをしているんです。残念ながら妻であるジャンヌが昨年他界。
ストーリー(Movie Walkerより拝借)
ニューヨークで暮らす郵便局員のハーブと図書館司書のドロシーのヴォーゲル夫妻。2人の共通の楽しみは、現代アートのコレクション。彼らがコレクションを選ぶ基準は2つ。“1.自分たちの給料で買える値段であること。”、“2.1LDKのアパートに収まるサイズであること。”つつましい生活の中で約30年の歳月をかけてコツコツと買い集めた作品の数々。その数はいつしか4000点を越え、気が付けば20世紀のアート史に残る作家の名作だらけに。だが2人は、最初から手に入れた作品が名作になることを予想していたわけではなかった。あくまでも、自分たちの気に入ったものを揃えていただけに過ぎなかった。そんな2人に、アメリカ国立美術館から寄贈の依頼が舞い込む……。
そして2人の作品購入するにあたっての姿勢がこれまた凄い!
買う時は必ず作家の全作品を見ると言うヴォーゲル夫妻。それによってアーティストの経歴を知り、成長を知り、内面を知る。作品そのものだけに魅せられるのではなく、作品を製作した作家本人自身がどんな人であるかということ。どれが大事だと思っているのだろうね。
ワシントンDCのナショナルギャラリーへコレクションの寄贈が決まり、学芸員が自宅へ訪れたらしいが、作品の数に驚いただけではなく、何と保存状態があまりにも酷かったらしいのです。かなり呆れられたようです。
集めることにだけ喜びを感じ、決して儲けに走ることはなかった。一躍有名になった2人、その後も質素な生活を続ける。
解説(allcinemaより拝借)
慎ましい生活を送りながら、30年間に渡ってお気に入りの現代アートをコツコツと買い集め、いつしか全米きってのコレクターとなってしまった一組の老夫婦の微笑ましくも感動的なアートへの愛が詰まった奇跡の人生を見つめたドキュメンタリー。監督はニューヨーク在住でこれが初監督作品となる日本人女性ジャーナリスト、佐々木芽生。
佐々木芽生監督。
メディア | 映画 |
上映時間 | 87分 |
製作国 | アメリカ |
公開情報 | 劇場公開(ファイン・ライン・メディア=TSUMUGU) |
初公開年月 | 2010/11/13 |
ジャンル | ドキュメンタリー/アート |
http://www.herbanddorothy.com/jp/