この素晴らしき世界。
京都シネマにて、「ハーブ&ドロシー」の後に観たのがこの作品。何かあまりにもギャップありすぎて、、、、。
それにしても最後まで救いようがない物語でした。でもあんまり後味は悪くなかったな。何故だろう?
でんでん演じる村田の豹変ぶりには確かに驚きましたよね。でもこういう人って意外に近くにいそうな気もする。一見ファニーフェイスで愛想が良いけど、その裏にはそのイメージとはまったく正反対の裏の顔。まさにそれ!これに騙されるんだよね。とにかくでんでん演じる村田は只者ではなかったのです。
何かね園子温監督曰く、「普通の娯楽映画になっている」とジャパンプレミアの記者会見で言ったようだが、、、、。そうかな?これ普通なの?
キャッチフレーズは猛毒エンタティメント。このキャッチコピーもゆるいような気がするけどね。なんだろう?どう表現するのがぴたりとハマるかな。
てなわけで、ようやく鑑賞した。この映画には正義というものはまったく出て来ません。主人公社本も正義感があるわけではない。単におどおどしているだけ?怖いことは嫌だっただろうし、、、。ヤバいと思いながらも、村田極悪マジックに引き込まれてしまう。
吹越 満さんといえば結構癖のある役を演じる凄い役者さんですが、今回は肝っ玉の小さな男を徹底的に演じていた。
お~い負けるな!とエールを送りたい。イライラするよ!村田に喰いつけ!なんて観ながら、言いたくなるけど。
この場面、再婚した妻妙子も大概だ。全部出来あいもんで済ましてしまう。
冷凍食品をレンジでチン!ドンドンレンジでチンです。凄い早さですぞ。
そんな食事でも文句も言わず食べる社本。娘美津子と継母の妙子の関係はすこぶる悪そうで。美津子もあんまり可愛くない(笑)
食事中に大きな音で携帯が鳴り響く。食事もそこそこに飛び出して行っちゃう。家族はギクシャクした状態で暗そう・・・。
死別した前妻の娘と現在の妻。その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、波風立てないように小さな熱帯魚店を営んでいたが。
ところが、娘美津子がスーパーで万引き事件起こしたことで、社本の人生は大きく変わって行くことになる、、、、、。
ストーリー(Movie Walkerより拝借)
2009年1月14日水曜日午後9時11分。どしゃぶりの雨の中を一台の車が走っていた。車内には、小さな熱帯魚屋を経営する社本信行(吹越満)とその妻、妙子(神楽坂恵)の2人。娘の美津子(梶原ひかり)がスーパーマーケットで万引きしたため、店に呼び出されたのだ。その場を救ってくれたのは、スーパーの店長と知り合いの男、村田幸雄(でんでん)。村田は同業の巨大熱帯魚屋、アマゾンゴールドのオーナーだった。帰り道、強引に誘われ、3人は村田の店へと寄る。そこには村田の妻・愛子(黒沢あすか)がいた。村田は、美津子にアマゾンゴールドで働くように勧め、翌日から美津子は女子従業員たちに交じって勤務をスタートさせる。継母である妙子が嫌いだった美津子は、住み込みで働く“新生活”を素直に受け入れていた。しかし、無力なのは社本だ。恩人である村田の強引さに引っ張られるばかりで、全く為す術がない。しかも彼はアマゾンゴールドの裏側で、恐るべき事態が進行していることをまだ何も知らなかった。数日後、村田に“儲け話”を持ちかけられ、呼び出された社本。そこには顧問弁護士だという筒井(渡辺哲)と、投資者のひとり、吉田(諏訪太朗)がいた。門外漢の高級魚のビジネス話に大金融資を逡巡していた吉田だったが、堅実そうな社本の存在も手伝い、契約書に押印。だが直後、吉田は殺される。愛子が飲ませたビタミン剤に毒が入っていたのだ。「俺に逆らった奴は、みんなこうなっちまうんだよ」と社本を前に吠える村田。豹変した村田と愛子に命じられるまま、社本は遺体を乗せた車を運転し、山奥にある怪しげな古小屋に辿り着く。村田と愛子は、風呂場に運んだ死体の解体作業を慣れた手つきでやってのける。細切れにされた肉と内蔵が詰め込まれたビニール袋、そして骨の灰。何も知らない妙子と美津子を人質に取られた社本は、それらの処分に加担することになる。やがて社本は、村田の暴走と共に地獄を体験してゆく……。
社本家族は村田の強引な誘いで村田の店に招かれる。
社本の小さな熱帯魚店とはスケールが違う大きな店である。村田の話術に翻弄される社本。親切でユーモアたっぷりの村田に妻や娘も彼のペースに・・・。
美津子は村田の店で働くことになった。折り合いの悪い妙子や父から離れられることで本人も大喜び。
妙子は暴力的な村田の誘いに乗ってしまい、関係を持ってしまう。社本にはない強引さに思わず呑みこまれたのかもしれない。
確かに村田には凄いパワーがあった。マシンガンのような溢れる言葉の数。強引な行動も印象的である。
社本も自分にはないものをたくさん持っている村田が羨ましかったはず。
数日後、社本は村田から呼び出される。何でも大きな儲け話があるという。
その席には村田以外に、弁護士の筒井、そして投資家である吉田がいた。
儲け話に少々しぶる吉田、そんな魚がそんな大きな値段だとは信じられないと、、、。投資することに難色を示す。ということで、社本が駆り出されたわけである。
社本の印象で何とか吉田は信頼を取り戻したようで、投資することをokするのだが、、、、。一度は村田を疑った吉田に、村田は許せないようだ。
妻愛子によってビタミン剤なるのもが、吉田にふるまわれた。吉田は機嫌よく飲み干す。ところが数分後、吉田は苦しみだす。吉田はその場で倒れてしまい、、、、息が絶える。
社本は愕然となる。
実は村田は投資家からカネを巻き上げると相手を殺し、死体を解体して証拠を隠すというえらいことをやっている人物だったのだ。
村田と愛子に命じられるまま、車で死体を運ぶことになった社本。
人肉を細切れにして川に捨て、骨は灰にして山に撒く作業を村田と妻の愛子は楽しそうにこなすのだが、社本は吐き気を抑えきれない。殺気だった村田の前で、彼を刺激しないように言いなりになる社本。
所の古びた家の屋根には白い十字架がそびえている。そういえば、「愛のむきだし」でも白い十字架が登場したが。そして解体の前にろうそくに火を灯す。園監督の話によると、彼らの儀式らしい。
ボディは透明にすることが一番だと何度も繰り返す村田が印象的である。そういえば、この作品のベースとなった埼玉愛犬殺人事件の犯人も実際言っているのだ。
殺人哲学の1つらしい。以下犯人の殺人哲学5つをあげておきます。
- 世の中のためにならない奴を殺す
- すぐに足がつくため、保険金目的では殺さない
- 欲張りな奴を殺す
- 血は流さないことが重要
- 死体(ボディ)を透明にすることが一番大事
特に最後の「ボディを透明にする」という手法が注目されたらしい。つまり遺体無き殺人だそうです。
「捕まったら死刑は覚悟だ!」と叫ぶ村田、開き直りとも言える言葉を聞きながら社本は身動きを取る事は出来ない。ひたすら耐えるのだった。さて一体この結末はどうなるのか?
意外な展開かな?いやこうなるべくラストかもしれないね。
社本の中にも村田が存在した?ような。。。。
解説(allcinemaより拝借)
「紀子の食卓」「愛のむきだし」の園子温監督が、当時マスコミを賑わせた“埼玉愛犬家殺人事件”をベースに、ふとしたはずみから極悪非道な男に取り込まれ、後戻りの出来ない深い闇の世界へと落ちていく主人公の姿を、ブラックユーモアを散りばめつつ鮮烈に描き出す衝撃の問題作。主演は「ちゃんと伝える」の吹越満、共演にTV「湯けむりスナイパー」のでんでん。
メディア | 映画 |
上映時間 | 146分 |
製作国 | 日本 |
公開情報 | 劇場公開(日活) |
初公開年月 | 2011/01/29 |
ジャンル | ドラマ/サスペンス/犯罪 |
映倫 | R18+ |
園子温監督
http://www.coldfish.jp/