ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

From Between Trio ライヴ

2006年02月16日 | ライブ
♪「From Between Trio」。左からミッシェル・ドネダ、中谷達也、ジャック・ライト。


 昨夜は、ジャズ・ライブを聴きに出かけてきました。
 出演するのは、「From Between Trio」。メンバーはジャック・ライト(sax)、ミッシェル・ドネダ(sax)、中谷達也(percussion)。アメリカからのライト氏と中谷氏、フランスからのドネダ氏のこのトリオは、昨夜の岡山を皮切りに日本ツアーを行います。岡山以降、大阪、神戸、東京(新宿ピットイン)、名古屋(得三)、横浜(エアジン)などで演奏を行う予定です。
 オープニング・アクトは「noun(村岡充、藤井俊幸=いずれもelectronics)」+赤田晃一(sax,pianica,recorder,etc)です。


 「noun」は、電子音のコラージュといった感じです。そこに赤田晃一氏が、サックス、クラリネット、ピアニカ、リコーダーなど、さまざまな楽器で「noun」のふたりに反応してゆきます。


     
     「noun」+赤田晃一


 「From Between Trio」は、アコースティックな編成ながら、自然な音、金属的な音、動物的咆哮、ノイジーな音など、さまざまな種類の音で独特の空間をふくらませてゆく、という感じを受けました。
 フリー・ジャズ、というか、即興音楽というか、つまり演奏者が、自分の心に浮かぶものを感じるがままに音にしてゆくのです。
 既存のメロディーや、一定のパルスのない、不思議な世界でした。
 フリー・ジャズ系の演奏ということで、もっとワイルドでアバンギャルドな世界を想像していましたが、むしろ自然な感じがあり、心地よさが訪れる瞬間さえあったのには良い意味で驚きました。(非常に前衛的ではあるんですけれどね。)
 サックスふたりと打楽器奏者のトリオです。サックス奏者は、楽器を吹かないこと、あるいは「音を出さずに吹く」ことも音楽のうちに取り入れているようです。打楽器も同じ。叩くこと以外に、「擦る」「吹く」「弓で弾く」など、あらゆる方法で打楽器を鳴らしてゆきます。

 
 約1時間の「From Between Trio」の演奏ののち、このトリオに赤田氏が加わり、3サックス+打楽器でのセッションもありました。
 赤田晃一氏は、岡山を拠点として、全国的に精力的な活動を続けている即興音楽家です。岡山が日本に誇るサックス奏者だと言っていいでしょう。
 その赤田氏も「From Between Trio」の音に自然に溶け込んでいたようです。ということは、赤田氏の出す音も、その時点で自然に彼の内からあふれてきたものなんでしょうね。


     
     「From Between Trio」+赤田晃一

 
 まるで音楽というものが現れる以前の音を聴いているような、不思議な感覚のあるライブでした。
 演奏者が感じるがままに音を出すのなら、聴いているこちら側も、感じるがままにそこにある音を受け入れれば良いのだと思います。
 結局、音楽というものは、心から生まれて心へ届く、という意味では、ジャンルに隔たりはないのかもしれない、と思いました。


*関連記事『やぶいぬ日記:From Between Trioは素晴らしい。


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コメント (7)
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