■ブラス! [Brassed Off]
■1997年 イギリス映画
■監督・脚本 …マーク・ハーマン
■音楽…………トレヴァー・ジョーンズ
■劇中の演奏…グライムソープ・コリアリー・バンド
■出演
☆ピート・ポスルスウェイト(ダニー)
☆タラ・フィッツジェラルド(グロリア)
☆ユアン・マクレガー(アンディ)
☆スティーブン・トンプキンソン(フィル)
☆ジム・カーター(ハリー)
☆フィリップ・ジャクソン(ジム)
☆ピーター・マーティン(アーニー)
☆メラニー・ヒル(サンドラ) etc・・・
今日は雨上がりの翌日で風の強い日でしたね。午後一番から用事があったのでバタバタしてましたが、最後に車にガソリンを入れ、洗車して用を終えました。そして家に帰ってから何か映画を観ようと思い、棚から出してきたのがこの「ブラス!」です。久しぶりに観たけど、やっぱりいい映画です~
「音楽」が何より大切だと思える人生って、素晴らしいです。
しかし現実には、音楽よりも大事なもの、ありますよね。
でも、「音楽を大切にしている人たち」にとっては、音楽があるからこそ「音楽より大事なもの」を尊重できるのではないでしょうか。
なんだか禅問答みたいになってしまいましたが、これが、ぼくが「ブラス!」を観たあとの感想です。
炭鉱の仲間によって作られた、100年以上の伝統を誇る「グリムリー・コリアリー・バンド」。しかし炭鉱の閉鎖が決まり、炭鉱によって支えられてきた町も、町の人々も絶望しかけています。
「何よりも音楽が大切だ」との信念を持っている、バンドに人生の大半を捧げてきた指揮者のダニーだけは、炭鉱の閉鎖よりも吹奏楽コンクールのことで頭がいっぱいです。
ダニーの息子フィルは、組合活動の結果刑務所へ入っていたことがあり、その時の生活費を借金で賄いましたが、その借金が膨れ上がって苦境に立たされています。
そのうえ愛用のトロンボーンが壊れ、悩んだ末に思い切って楽器を買い換えますが、そのことが妻サンドラにばれてしまいます。
そして父ダニーは塵肺のため倒れ、家財一切はついに債権者に取り上げられてしまい、サンドラも子供達を連れて出ていってしまいます。
思い余ったフィルは自殺を図ります。幸い命は助かりましたが、職も、家族も、財産も失ったフィルは、生きる気力まで失います。
フィル(左)とダニー
音楽が生き甲斐のダニーも、塵肺という恐ろしい病気になったうえ、炭鉱閉鎖のあおりでバンドが解散せざるを得なくなったことを知らされ、内心打ちのめされます。恋仲のアンディとグロリアは、グロリアが会社側(雇用者側)に勤めていることから、すれ違いを起こします。ハリーと、炭鉱閉鎖反対の婦人運動を必死に続けている奥さんとの仲は、冷え切っています。ジムもアーニーも生活は苦しい。
ユアン・マクレガー(左)とタラ・フィッツジェラルド(右)
職を失い、生きる希望さえも失っているのはダニー父子だけではない。バンドのみんな、町のみんなが絶望しています。そういう時、現実に、音楽は何の助けになるんだろう。
しかし最後に、自分たちのため、生き甲斐を失ったダニーのため、そして何より職を失った1000人の仲間のため、一時は出場を断念したコンクールに臨みます。
そしてバンドは見事に優勝するのです。
バンドが決勝で演奏した「ウィリアム・テル序曲」、感動しました。それぞれの背負う重荷を感じながら聴いたからなんでしょうね。
ぼくは「つねに"今夜が最後のステージ"だと思え」と教えられてきました。まさにバンドは「最後の演奏」に臨んだわけです。そしてこういう状況で出る音は、重いけれども、心のこもった、純粋なものになると思うんですね。
表彰式でのダニーの挨拶には胸を打たれました。
「現在、発展の名のもとに善良な人々が苦境に立たされている。アシカやクジラは心配されるのに。音楽が人生で最も大事だと思ってきたが、生きる希望を失っては何もならない。」といって、表彰を拒否するのです。これは、当時のサッチャー政権に対する痛烈な批判でもあります。
表彰を拒否したダニーはさっさとステージから去りますが、そこでジムが優勝トロフィーを強引に持ち去るのはとてもおかしかったです。
エンディングでのみんなの表情はとても明るいですね。これは優勝したことよりも、自分たちの音を出し切ったことで、希望を見出すことができたからだと思うんです。
フィルとサンドラも元のサヤに収まるみたいだしね。
帰りのバスの中で演奏する「威風堂々」、素敵です。
個人的には、グロリア役のタラ・フィッツジェラルド、好みのタイプです。
どうもぼくは「お姉さん」ぽい人「も」 好きみたいだなぁ。
劇中のハイライト「ウィリアム・テル序曲」
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