あの偉大なビートルズの終末期に制作された、ロック史上に残る名作が「アビイ・ロード」ですね。
あの「サージェント・ペパーズ」は、分かろうとして数聴きましたが、「アビイ・ロード」は良メロに誘われて何度も聴きましたね。
あの当時、ぼくは中学生。「カム・トゥゲザー」とか「アイ・ウォント・ユー」などのR&B系の曲には馴染めませんでしたが、あとは美メロの宝庫。どれを聴いてもただただウットリするだけでしたよ。
ただし、のちにブルーズにも触れるようになると、「カム・トゥゲザー」と「アイ・ウォント・ユー」の良さや先進性が分かるようになってきました。
その当時は「サムシング」「オー!ダーリン」「ヒア・カムズ・ザ・サン」「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」などのシングル向けの小品に注目してたんです。事実メロディーは素晴らしいし、スッキリとまとまったアレンジ、タイトな演奏は、中学生だったぼくの心を掴むのに充分でした。
それから何十回も「アビイ・ロード」を聴くうちに、アナログで言えばB面の2つのメドレーに感じ入るようになってきたんですね。主にジョンの作った「サン・キング」~「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドウ」までの4曲と、主にポールの作った「ゴールデン・スランバー」~「ジ・エンド」までの3曲です。このふたつのメドレーのたたみ掛けるような息をもつかせぬ流れ、起伏に富んだ美メロの羅列、場面展開のダイナミックさはさすがビートルズ! 彼らのレパートリーの中でも出色の出来ではないでしょうか。
いろいろ話を聞いてみると、この頃のビートルズは半ば空中分解状態にあったらしいのですが、プロデューサーのジョージ・マーティンの下、ビートルズが「原点に戻った」作品でもあったようです。ただし、メンバー間のアルバム制作に対する温度差はあり、ここでも中心的な役割を果たしたのはポールだということです。
このアルバムの中でぼくが気に入っているのは、ポールの絶唱が聴かれる「オー!ダーリン」、ジョージの才能が大きく花開いた「サムシング」「ヒア・カムズ・ザ・サン」、そしてB面のメドレー2つでしょうか。とくに「ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト」の流れは絶品です。
演奏能力を取り沙汰されることもあるビートルズですが、サムシングのギター・ソロ(ポールが弾いている?)はよく歌っているし、同曲のベース・ラインは実に個性的に動いてます。リンゴの的を得たフィル・インは、「これしかない」って感じだし、ジョンとポールのヴォーカルも健在ですね。メンバー各人の温度差はあっても、アルバムとしてのまとまりは実に優れていると思います。
有名なのはアビイ・ロードの横断歩道をメンバーが横切る姿を撮影したジャケット写真ですね。これには多くのパロディが存在しています。新しいところではサザン・オール・スターズがアビー・ロードのジャケ写をパロったアルバムを発表していますね。
ちなみに、このジャケ写からは「ポール死亡説」も飛び出しています。曰く、裸足のポールは死を意味する(しかも左利きのポールが右手でタバコを持っている)。駐車しているフォルクスワーゲンのプレート「IF28」はポールがもし生きていれば28歳である、と解釈されたようですね。あとの三人も、白いスーツのジョンは司祭、ダークスーツのリンゴは葬儀屋、デニムの上下を着たジョージは墓堀り人夫、と定義されたようです。
このアルバムが発表されてから今年で40年!しかし古びているどころか、ますます鮮やかに異彩を放っているように思えるのです。おそらく22世紀になっても世界中で聴かれる音楽であり続けることでしょう。
◆アビイ・ロード/Abbey Road
■歌・演奏
ビートルズ/Beatles
■リリース
1969年 (イギリス9月26日、アメリカ10月1日、日本10月21日)
■プロデュース
ジョージ・マーティン/George Martin
■録音メンバー
☆ビートルズ/Beatle
ポール・マッカートニー/Paul McCartney
(lead-vocals, backing-vocals, chorus, bass, electric-guitar, acoustic-guitar, acoustic-piano, synthesizer)
ジョン・レノン/John Lennon
(lead-vocals, backing-vocals, chorus, electric-guitar, acoustic-guitar, acoustic-piano, electric-piano, organ, synthesizer, percussion)
ジョージ・ハリスン/George Harrison
(lead-vocals, backing-vocals, chorus, electric-guitars, acoustic-guitar, bass, harmonium, synthesizer)
リンゴ・スター/Ringo Starr
(leadvocals, backing-vocals, drums, percussion)
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ビリー・プレストン/Billy Preston (organ②⑥)
ジョージ・マーティン/George Martin (organ③⑩⑪, electric-harpsichord⑧)
■チャート最高位
1969年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位(11/1~12/20 8週連続)、イギリス1位、日本(オリコン)3位
1970年年間チャート アメリカ(ビルボード)4位
■収録曲
A01 カム・トゥゲザー/Come Together [Lennon-McCartney]
02 サムシング/Something [Harrison]
03 マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー/Maxwell's Silver Hammer [Lennon-McCartney]
04 オー!ダーリン/Oh! Darling [Lennon-McCartney]
05 オクトパス・ガーデン/Octopus's Garden [Starkey]
06 アイ・ウォント・ユー/I Want You (She's So Heavy) [Lennon-McCartney]
B07 ヒア・カムズ・ザ・サン/Here Comes The Sun [Harrison]
08 ビコーズ/Because [Lennon-McCartney]
09 ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー/You Never Give Me Your Money [Lennon-McCartney]
10 サン・キング/Sun King [Lennon-McCartney]
11 ミーン・ミスター・マスタード/Mean Mr Mustard [Lennon-McCartney]
12 ポリシーン・パン/Polythene Pam [Lennon-McCartney]
13 シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドウ/She Came in Through The Bathroom Window [Lennon-McCartney]
14 ゴールデン・スランバー/Golden Slumbers [Lennon-McCartney]
15 キャリー・ザット・ウェイト/Carry That Weight [Lennon-McCartney]
16 ジ・エンド/The End [Lennon-McCartney]
17 ハー・マジェスティ/Her Majesty [Lennon-McCartney]
※main composer・・・McCartney③④⑨⑬⑭⑮⑯⑰ Lennon①⑥⑧⑩⑪⑫ Harrison②⑦ Starkey⑤