子どもが他の人に対してよくない行動をしたとき、「人の気持ちを考えなさい」と諭すことがあります。
それで反省できる子がいます。
でも、反省できない子もいます。
他者の悲しみや苦しみを理解できないと、人の気持ちを考えることはできません。
他者の悲しみや苦しみを理解できるには、その前に誰かと十分に喜びを分かちあう経験をしていなければなりません。
その経験があってはじめて、悲しみや苦しみというマイナス的な感情を理解できるようになります。
では、十分に喜びを分ちあうためには、どのようにすればいいのでしょうか。
おとなが笑いかけることです。
それにより、子どもも笑顔になります。
この少子化の時代に、子どもを授かったことを幸せに思う親はけっして少なくはありません。
虐待が増えていて、子どもと親の関係が変わってきたとはいえ、子どもがいれば、そこから幸福感を感じる親は、今の時代でも多いものです。
ただ、その幸せだと思っている気持ちを、あえて言葉にして伝えている人はあまりいないのでないでしょうか。
英語圏の文化なら、この気持ちをふつうに表現する人が多いものです。たとえば、 I’m happy to see you. と言葉にして表現します。
でも、日本人はこのように、さらりと率直に言うことに慣れていません。
だから、言葉にできなくても親が笑顔でいてくれれば、子どもは、「自分といっしょにいることが、お母さん(お父さん)にとってうれしいのだ」と思えます。
子どもにおとなが笑いかけるのは、「無敵」の子育て法であるのです。
人は楽しく、うれしいから笑顔になるのではありません。
笑顔でいるから楽しく、うれしくなるのです。