わたしは、2013年には教育委員会にいました。
そのとき、仕事の関係で関東方面の視察に行きました。
おもに小学校をまわりましたが、練馬区の保育園も訪問しました。
練馬区は待機児童を減らす施策に取り組んでいました。
当時、待機児童の解消は全国的な課題になっていました。
しかし、今では待機児童は大きく減少しています。
2018年には2万人たらずいたのが、2021年には1万人を割り、いまはピーク時の約1割ほどにまで減っています。
これほどまでに減ったのは、さまざまな規制緩和を国が率先して、自治体が減らす対策を進めてきたからです。
たとえば認可保育所は、広い敷地が必要です。
保育室の面積は厳しく決まっていました。また園庭も一定面積を確保しないといけなかったのです。
それをたとえば、保育室の面積要件を狭くしたり、園庭がなくても近隣の公園で代用できるなど規制を緩めてきました。
それにより、「子どもを預ける場所がない。これでは働けない」という保護者の要望を受け、都市部を中心にして自治体は競うように待機児童減少の対策を打ったのでした。
そこで、児童の受け皿は拡大したのですが、広い保育室と園庭のある保育所に入れる場合はラッキーで、外れた保護者は最低限の基準にも満たないところに預けざるをえなかったのです。
預け先を増やしたことで、たしかに待機児童は減ってきたのですが、それでよかったのかが問題になります。
昨今の児童への保育士からの暴力、送迎バスに置き去りにされた子どもの死亡などの問題は、保育サービス質の低下を招いた影響でないかとわたしは思うのです。
わたしは、まず保育士の数を増やすべきでないかと考えます。
教育や保育の決め手は、やはり人です。
保育士や教師は子どもの育ちを支える専門職です。
幼児期の子どもの成長はとくに著しいものです。昨日できなかったことが、今日できるようになった。
多くの子どもたちの成長を支援して支え見守り、間近でその成長に接することができたとき、これ以上ないという喜びを感じることができる仕事です。
保育士が身も心も余裕をもって子どもに接することができる環境を整備することこそ、いまいちばん求められる要件でないかと思うのです。
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