キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

エミリー・ディキンソンのジンジャーブレッド

2011-03-05 17:04:37 | 
エミリー
マイケル ビダード
ほるぷ出版


       エミリー・ディキンソンは今ではアメリカを代表する詩人です。2000編近くの詩が

       たくさんの言語に訳されています。生前はたった10編ほどしか世に出なかったのに。
      
       晩年の25年間はほとんど家から出ず、人が訪ねてきても隠れて会わなかったので

       "なぞのひと"と呼ばれていたとか。上の絵本はそんなエミリーと一人の女の子の

       密やかなひと時の交流を描いた、美しい言葉と絵のフィクションです。言葉の端

       々にエミリーの詩が隠れていて、はっとさせられたり、いつも白いドレスを着てい

       たというエミリーの清爽な様子や、例のネズミを追いかけたらしい猫たちをあち

       こちに描いている絵など、絵と文のどちらの作者もディキンソンのことをよく調べ、

       深く詩を読み込んでいるのがわかります。

              

       この本の中にも、女の子がジンジャーブレッド(しょうが入りクッキーと訳され

       ています)を食べる場面が出てきます。実際、エミリーは時々2階の部屋からジ

       ンジャーブレッドを入れたバスケットを下ろして、子どもたちにふるまっていた

       ようです。『エミリ・ディキンスン家のネズミ』の後ろについていたレシピを参

       考にして、そのジンジャーブレッドを作ってみました。ブレッドとは言っても、

       これはクッキーに近く、訳のように「しょうが入りクッキー」と言ったほうが当

       たっているかもしれません。糖蜜(モラセス)がなくて、変わりに蜂蜜を入れた

       ので白く仕上がりましたが、たぶんエミリーのもほのかにしょうがの香りのす

       る、こんな感じのお菓子だったと思います。子供たちはさぞ喜んだことでしょう。  
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菜の花や

2011-03-05 10:30:15 | 季節の花々
            

           菜の花や 月は東に 日は西に        与謝蕪村

     三月に入っても寒い日が続いていますが、日差しはうららかになってきました。あちこ

     ちで菜の花が満開です。菜の花を見ると与謝蕪村のこの名句を思い出します。画人

     でもあった蕪村の句は、まるで絵画のようにまざまざと情景が浮かんできます。

           

           古井戸の くらきに落る 椿かな       与謝蕪村

      この句も、井戸の中の暗さと、そこに落ちる真っ赤な椿の色のコントラストが見事です。

      これは白洲次郎と正子の武相荘で見た可憐な椿。書斎の小さな窓から、正子もこの

      椿がポトンと落ちるさまを見ていたのでしょうか。
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