キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

はなたれ小僧さま

2012-02-02 17:09:39 | 
子どもに語る 日本の昔話〈1〉
稲田 和子,筒井 悦子
こぐま社
子どもに語る日本の昔話〈2〉
稲田 和子,筒井 悦子
こぐま社
子どもに語る 日本の昔話〈3〉
稲田 和子,筒井 悦子
こぐま社


      「昔むかしのこったい。ある所に、貧乏なおじいさんがおったと、、、」

      このおじいさん、薪を売って生計を立てていたが、ある日薪が一把も売れな

      かった。そこで帰り道「竜神さまにさしあげますだ」と全部川に投げ込んだ。

      喜んだ竜神さまは、なんでも願いをかなえてくれる「はなたれ小僧さま」と

      いう子どもをさずけてくれた。おじいさんが願い事を言うと、小僧さまが

      「シューン」と洟をかむ。するとどんな願いもかなって、おじいさんはたち

      まち大金持ちになった。そのうち、どこへでもついてくる汚いはなたれ小僧

      さまが厭わしくなったおじいさんは、「もう何も欲しいものがなくなったから

      竜神さまの所へ帰ってくれ」と言った。はなたれ小僧さまは悲しそうな顔を

      して家を出ていった。そして門の所で「ズルン」と洟をすする音がしたかと思

      うと、家から何から全部一瞬で消えて、おじいさんは元のあばら家に一人

      ですわっていたんだと。 

      

      これは『はなたれ小僧さま』という熊本県の昔話です。上の『子どもに

      語る日本の昔話』の3に入っています。桃太郎や花咲かじいや、おなじみの

      お話はもちろん、日本各地にはほんとに様々な面白い昔話があるのだなあと

      感心させられる三冊です。適度に方言を交えたこなれた文章で、読み聞かせ

      に最適です。数年前「素ばなし」の講座で、この本から『鳥のみ爺』という話

      を選んで発表しました。文章を丸暗記して語るのが素ばなしですが、これが

      なかなか大変。暗記というのは難しいものです。セリフの多い俳優さんなん

      か偉いものだと思います。その後唯一覚えたのがこの『はなたれ小僧さま』

      です。打ち出の小槌でお宝を出すとか、お殿様からご褒美をもらうとか、い

      ろいろあるうちで、洟をすすったり、かんだりしてお宝を出したりひっこめ

      たりするというのがユニークな笑える昔話です。漫画日本昔ばなしでも、市

      原悦子さんと熊倉一雄さんの名調子で残っています。もう一度覚え直して、

      今度の小学校の読み聞かせで、語ろうかと思っています。市原悦子さんと

      いう訳には行きませんが。
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