ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

坪庭にはまってみる。

2009年12月15日 | 京都

さて、気を取り直しまして。ところで、上の写真は。


私がぞーえんやさんにおりました頃、月1回お手入れに入らせていただいていた、京都は高台寺の料亭のお庭です。本を読んでるうちについつい懐かしく、写真を見返してしまいました。


親方が10年ほど前に改修したそうな。本当に、小さな小さなお庭なんですが、四季の移り変わりがとっても楽しみでした。上の筧と柄杓は親方と私で作りました。毎年、お正月に新しいものに取り替えるのですね。柄杓と柄杓置きは沢山作って、年末にお得意様に配るのです。


では、そのお手入れの様子をご紹介。


時間はたいていお昼を過ぎた頃。まず料亭に到着しますと、一番に仲居さんにお客様が退出されたのを確認、道具を運び入れます。まだお席にいらっしゃるときは、作業姿を見せないように通路に隠れてお出になるまで待ちます。手首には手甲(リストバンド)、足には地下足袋、腰にはもちろん鋏を装着!これで、りっぱな「お庭番」。


次のご予約のお客さんまでは、大体2時間ほど。その間に作業を終えなくてはなりません。


で、1番はじめは、屋根の上!掃除は高いところから、ってね。


土壁に傷を付けないように、梯子に当て布をして屋根へ上ります。案外足場の塀が細いんだ…ん~、忍者みたい。


一番大きなしだれ桜の古葉を、竹の棒でふるい落とし。同時に病害虫チェックも行います。場合によっては薬も散布。


そして、屋根の隅々と、樋の中の枯れ葉までお掃除。くれぐれも踏み外さないように、瓦をずらしたり割ったりしないように…。この時肝心なのは、隣家には一枚たりとも葉っぱを落としてはいけないということ!下を通る仲居さん達にも埃がかかってしまわないように。風向きを見つつ、細心の注意を払います。


屋根の上が終わったら、はしごを降りながら、カクレミノの葉っぱもお掃除。下の砂利と、お手洗いに通じる裏露地を掃き清め、水を打ちます。


つぎに、中庭の紅葉や梅、サツキやヒュウガミズキなどの低木の古葉も落とし、こちらも病害虫チェック。渡り廊下の埃も払います。ツワブキや下草の剪定も一緒に。


ヒバの剪定など、ゴミの量が多いときは、あらかじめ寒冷紗を敷いておいて剪定くずを集めます。寒冷紗だと、下草の位置が分かって、しかもシートより柔らかいので下草をいためにくいのです。


一番大変なのが、落ち葉の掃き集め。ふわふわの苔をいためないように、そおっと静かに「雪の上を渡るように」歩き、笹を束ねて作った手帚の先で枯れ葉1枚1枚を拾い上げるように掻き出します。同時に雑草も抜きます。砂利の上も同様。もし足跡がついてしまったら、後ずさりして苔を起こして跡を消します。ブロワーも使いますが、狭いのでかなりコツがいります。


苔は、本当に大切。大事に大事に育てます。ですから、飛び石以外の景石には、基本的に乗ってはいけません。苔がはがれてしまうから。帚の力が強すぎてはがすのは論外。雑草と一緒に取れてしまった苔は、そっと戻して押さえておきましょう。


最後に、手水鉢の水を掻きだして、ブラシできれいに掃除します。このときも、磨くのは手水鉢の水がたまる内側だけ。それ以外は、苔が育っているのを剥がさないように、極力ゴミを払う程度にします。


手水鉢に新しい水を入れて、飛び石や露地を清めたら、できあがり!


途中、「どうぞ休んどくれやす」と、親切な仲居さんがわざわざお茶を入れてくださるのがすごくうれしい。かわいい湯のみでいただきながら、花付きの具合や木の健康についてお話しします。「紅葉が好評で」「桜が遅かった」「あちらの木の元気がない」など、毎日お庭を見てる方の話は重要です。「虫が出たら呼んでくださいね」とお願いして、道具や剪定くずを仕舞って退出。おつかれさま!


一度だけ、お座敷で友人達とお食事をいただいたことがあります。すっかりセレブ気分で、本当に、とろけそうなお料理でした…。お値段もそれなりですが、親方いわく、他の店なら同じ内容で3倍は取るだろう、と。まさに、口福に目福。また、はっとさせる演出が素晴らしい。


仲居さん達のおもてなしも細やかで、もったいないくらいの大満足でした。大切なお客様に、家族の記念日に、みなさま、京都にお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ~(要予約ですが)。いちげんさんおことわりの印の「内のれん」ですが、大丈夫。電話予約OKです。きっとあなたのとっておきのお店になりますよっ。小さいけど、ぜひ、お庭も見てくださいね~。





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☆今日のちび庭気温:7~10℃ 貴重な晴れ間でしたね。そろそろお正月の準備。のーえんではしめ縄飾りも作りましたよ。さあ、大掃除もしなくっちゃ!!!(^_^)

その都市は、主人(あるじ)を待っている。

2007年11月04日 | 京都

う~ん、まるで、渋谷の銅像のようね…。いえいえ、畏くもご主人様はご健在なのでございますが。

昨日のNHKの美の壷、京都特集、やってましたね~。そうそう、これこれ。うう、懐かしい。鮮やかな嵯峨野の紅葉が恋しくなるこの季節。ええ、わすれないうちに、そろそろ2年間過ごしたキョート生活の見聞録を記しておこうかと思いまして。そうそう。わすれないうちに、ね。もう、ちょっと頭の中で風化してしまったかも知れないけれど。

ずいぶん引っ越しもしましたが。思い返せば、やはりあれほど強烈な個性を持った街もなかったな、と。

さて。なにより、強烈に私の記憶に残った一コマ。
「ですから!東京は首都やないんですよっ!!!事実、遷都なんてしてないんですから!!天皇さんは、お出かけになってはるだけなんですっ!またこっちに戻ってきやはるんです!!キョートこそがニホンの首都なんですっ!!!」

あまりの大声に、思わず振り向いてしまった私。もうすぐ京都駅に入ろうとしている新幹線の車内。斜後ろのボックス席で、いい大人が、しかも、さらりとスーツを着こなした、いかにもエリートといった風貌の方が、立ち上がらんばかりに、顔を真っ赤にして熱弁している。しかも、さほどご年輩でもない。同様な格好の連れの3人も身を乗り出すようにして、議論に応じる。ビジネスマンか、大学の先生達なのか?

え?今のマジ論議?? え、えモ~~~っ? ! いま、西暦何年よ???
キョートに着いてこれが最初のカルチャーショック。庭主には、この尋常ならざる真剣さに、ひたすら驚いてしまったのでした。思えば、これが「キョート ワンダーランド」のはじまりだったような気がします…。

そして、まだこの頃は上の台詞を「あらあら。」と聞いていた庭主も、おいおいその「想い」を街のあちこちで肌で感じることになるのでございました…。キョートの街は、恋しくて、恋しくて、「てんのうさん」のお帰りを待っている。ずうっと、ずうっと昔から、お仕えし、全てをその御代に捧げ、憧れ奉ってきた。しかも、1人ではなく歴代の、何人も何人もの「主人」に。そうして自らを「雅び」な世界に磨きあげた。そんな、なんとも健気な街、なのですねえ。こんな街が、他にあるでしょうか。題して、「キョートの純情」。ほんと、キョートの全てのカギはここにある、といっても過言ではないのかもしれません…。

☆今日のちび庭気温:16℃ シロバナホトトギスの種を採りました。ふやせるかな~?(^_^)

竹は美しいのねえ。

2007年08月27日 | 京都
う~ん、素晴らしい!!!「NHKスペシャル 里山紀行 中国雲南省 竹とともに生きる」、ごらんになりましたか???

いや~、実に素晴らしい。竹というのは、美しいものですね。それもさる事ながら、村の人々の竹を扱う技の素晴らしさ!!!橋を作ったり、カゴを作ったり、建材やら、食器やら、田んぼを均す道具やらに使うのですが。

その手さばきの素晴らしいこと!鉈の切れ味も鋭く、実に的確に打込む。うお~っ!すっごい!同じ切れ目にぴったり2度目の鉈を打込んでいる!!!ひええ~っ!んでもって、途中にスリットのように割れ目を入れて、ねじって見事に橋の柱を固定。さすが、竹の民。私も、キョートのオヤカタのもとで何かにつけ竹を割らせていただきましたが。こうは、いかないよお~。

切って、割って、削って、曲げて…1つ1つが、造園の竹の技を思い出させてくれます。でも、こっち来ちゃったら、竹垣を作ろうにも、手水鉢に添えるちょっとした柄杓を作ろうにも、竹屋さんもないのよね~。細工できるような青竹が、そう簡単には手に入らない。ホームセンターの乾き切った竹じゃ使えないし。

柱にもなり、ひごにもなり。編めば平面も作れちゃう。鋸で簡単にきれる。もちろん、筍も味わえる。あんなになんでも使える材料って、ないのね。

竹の文化を、京都だけに留めておくのはもったいないですね。もっと日常に使いたいものです。
狭いところでははびこって憎まれてしまいがちな竹だけど。(―そう。日本の竹は、地下茎ではびこってしまうのよね。中国の竹みたいに株立ちだと、もうちょっとなんとかなるのかもしれないけれど…でも、そうすると日本的な風情がなくなっちゃうね~。)

美しい竹林の風景が増えるといいのになあ。地面はすっかり竹のふわふわの落葉で覆われ、「傘が通る程度」に間引きされた、手入れの行き届いた美しい竹林。そんな場所があると、嬉しいですよね~!(その手入れが問題なんだな。いろいろ、なにかと一筋縄では行かないものね~。)

☆今日のちび庭気温:夜温28℃ おお~、涼しく感じますね~。これでほんとに猛暑日は終わるのかな???それにしても、いいかげんカメラを何とかしなくては…(^_^)

ちび庭引っ越し準備中

2007年03月08日 | 京都

さてさて、日も押し迫って来ました今日この頃。
いろいろ準備が必要ですが、庭主の一番の課題は、やはりちび庭お引っ越し。
残念ながら、輸送の関係で全ての植物を持ってゆくことはできないっ!(てゆーか、フツーはもってゆかないらしい、が。)

それでもやはり、せっかくここまで育てて来たかわいい奴ら(とはいえカナリ放任であったのう~)。まだまだ、できれば生育家庭、いえ、生育過程を見てゆきたいものでございます。

で、持ってゆくもの、実家に預けるもの、を分ける。
■持ってくもの!
サクラ、バラ、ブドウ、ブルーベリー、クレマチス他つる系に、ベニゴウカン&クリスマスローズ'デュメトラム'、モミジにコデマリに、ホスタその他日陰系。そう。今度のお家は1戸立て!!!お庭付き!!!!!(貸し家だよ。)だがしかあし。南庭だが前にもお家があって日の入るところが限られている。

■実家に預けるもの(ぐすぐす。)
オリーブ(ごめんよお。枝振りを整えてやりたかったのに。日が当たりそうだったらまた連れて来てやるから)、
フジモドキ(もうちょっとで咲くところなのにい~。タイワンホトトギスも入ってるのにい~。ぐすぐす。でも、移植を嫌うので鉢を分解できない)。
ゴールドクレスト&カーネーション(ちゃんとお手入れしてイイ感じで育ってるんだけど。伸びて来たから夏には手入れしてやりたいんだけど。今年はツリーにできないん…。)
イセナデシコ(大株。良く育てたんだけどな~。日当たりがあればな~。)
フジバカマ&ベロニカ(Veronica longifolia)&キルタンサス・マッケニー(この鉢も長い付き合いです。かわいいキルタン。いつかむかえにくるからにゃ~。)
等、等、等。実家はさらに放任主義だからな~…庭主が手入れに行くまで、無事生き延びておくれ…。るるるるる~。

ええ~、新しいところも、きっと当面デザインコンセプトは、なしですね。かりかり。う~ん、さしずめ「植物好きの庭」ってとこで。やっぱり貸し家で地面はいじれないと思うので、きっと「ヒミツのバックヤード風」になることでしょう…。

そして、仕事道具も片付け始め、ふと気付く。
ああ、そうか。もう、苔庭の掃除なんて、することはないんだ。私がこちらで学んだことと言えば、「苔庭の掃除」と言っても過言ではない…。
があ~ん。もう、苔、ないんだあ。

そうおもうと、いきなり苔まで持って行ってしまいたくなった庭主。ええい、いっそ全面苔庭だあ!(おいおい、むりだってば…。)
ん、でも、本当に無理なのか?本当に関東には苔庭はないのか?????
と、急遽こだわり出す庭主(また悪い癖が…)。
確かに、かなりの山沿いにはある。箱根とか。鎌倉のお寺が作った苔の庭は、うまく行かず芝生に変えられたといううわさも(ほんと?)。
たった1つ、東京のどこやらでお茶の大家の方が、どうしてもということで苔の庭を作ったそうだが、なんと、京都から土ごと運んだらしい。

う~ん。土か。この真砂土なのか。湿度と、適度の日当たりと、風通しと。
はふ~。まあ、「木漏れ日」が確保できない時点でかなり難しいだろう。やはり苔には大きなモミジの木漏れ日なのよね。

では、苔が無理なら代わりのものは???
タマリュウでは色が濃い。タマリュウライムグリーンなんて…ないな。う~ん、ビロードセキショウの極小で埋めつぶすってのは…お金も時間もかかるか。
ネットを見ていると、例の鎌倉のお寺の芝庭を見て、「ゴルフ場のよう」という感想がいくつか。
やっぱり本物には勝てないってことか。人間の目って、案外ごまかせないもんである…。

しかたない。せめて盆栽モミジの苔を大切にするとしよう。くっすん。無事に生き延びてくれるかしら…。

☆今日のちび庭気温:3~15℃ おお、きれいなお月さま!昨日より一気に気温下がってます。昨日の夕方に一瞬雪が降ったといううわさも…(^0^)

四条通りを走ってみれば

2007年02月23日 | 京都

さて、残すところわずかとなりました京の都暮し。どこを通るにも、しみじみしてしまいますね。

昨日は、ちょっと用事で西院まで。
(この、「さいいん」が私にはうまく発音できない。地元の方は、「さあい~」('あ'にアクセント)とおっしゃるのだが…。響きが楽しくって、つい何回も言ってもらったりなんかして。そういえば、京福電車の駅の名前は「さい」なのよね。)

家を出て自転車でまず南下して四条通りを目指す。まだちらほらと田んぼが広がるこの辺りは、お野菜の直売もいっぱい。小さな子がはしゃぐ横で大根を吟味する若いお母さんと農家のおばさんの姿があったり、田んぼでひなたぼっこしながら餌を啄むハトやスズメの群れがあったり。

嵐山の山並みをバックに気候もじつに穏やか。そして家々の前に咲き乱れているのは、いろんな模様の椿。まるで、バラの花を見るようです。
そして、ふと香ってくるのはジンチョウゲ。梅もずいぶんほころんで来ました。
なんだか、すっかり、春、ですね。

そういえば、庭主、じつは今ちょこっと首筋をいためているのですが(ほんと、コショーがたえません…)医者さんの待ち合いでの会話。「なんや、ほんまあったかいねえ。」「気色悪いくらいやねえ。」と看護婦さん達。「今年は分からんなあ。ほいでも、3月のお水取りとひらはっこんときは寒いもんやけんどなあ。」と、おじいさん。「ああ、ほやほや、ひらはっこやわ。」と他の患者さん。はて、お水取りとは奈良の二月堂の行事よね。「ひらはっこ」とは???

そこで取り出だしましたる、「京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」。
おお、ありました。「比良の八講荒れ終い」。これかあ。「滋賀県高島市の白鬚神社で、延暦寺の宗徒が法会を行う3月20日過ぎは、寒さがぶり返し、琵琶湖周辺では冷たい風が吹き荒れる。これが終わると京都にも本格的に春が訪れる」そうです。なるほど~。さて、今年はどうかな???

閑話休題…で、やっと四条通りに出ますと、今度はちょっとした工場が並びます。でも、道沿いの木が森のように背が高くて、枝もじつに伸びやか。でも、これでもちゃんと剪定してあるんですよ。とっても美しいグリーンベルトだと思います。

天神川通り、葛野大路を越えて、。おお、いつも通るのに、こんなとこに刀屋さんがあったなんて、初めて気が付いた!、西大路で用事を済ませて。どしよっかな。本も探しに行きたいんだけど、河原町まで自転車でなんて…いっちゃうか。かくて、堀川通を越えて。烏丸通より先は人込みできつそうなので、100円循環バスにのろう…が~ん、平日は走ってないんだ。ま、歩いちゃうか。

他にも必要品を買い込み、書店に入り。目当ての本の横に、見つけてしまいました。「京町家の遺伝子」山本良介著、学芸出版社。おお~、ツボです。京の名残りに、これ、買ってかえろっと。

中には、庭主にとって涙モノの懐かしい風景がいっぱい。
そう。ここには残念ながらほとんど載せられなかったけれど(個人宅ですので…)、この2年間に目にしたたくさんの風景が。きっと、この仕事をしなければ決して見ることはなかったろう幾つもの古い家々。住んでいる人々と交わした言葉、奥深い廊下、柱の染みや、大事にされて来たもの達。

「住みたいか?」と聞かれれば、やはり戸惑ってしまうだろう。不便で、維持するだけでもとんでもない経費も手間もかかる家。町家らしきもの、は残っても、生活様式そのものはもう戻らない。(同時に、坪庭も消え、植木屋も存続が危ない…)。どんなに惜しんでも、消えてゆくのも、時代なのだろうなあ…。
だから、残るのは、その「遺伝子」なのだ。そーいうことかな?(まだ読んでないが。)庭主もきっと、何度も撮った写真をめくり返すことでしょう…。

四条通りの突き当たりは東山。はは、横断しちゃったな。さ、嵐山に戻ろっと。

☆今日のちび庭気温:2~15℃ 今日は久々の雨でした。さぶ。でも、これでもあったかい方なのよねえ~。(^_^)