古谷三敏氏の漫画に「レモンハート」と言う蘊蓄漫画が有る、随分長く連載していたが今ではやっていないと思う、どこかの波止場の様な煉瓦造りの街にある古い倉庫の様な人気のない店で厳つい顔と短躯のマスターが一人でやっている、
店の前に街燈がひとつ、カウンターにいつも座っている常連は職業不詳の眼鏡さん、夜でもサングラスをしたままで且つ何時もソフトを被っている無口なお客、フリップマーローの様な見かけだが優しい男である、そしてもう一人まっちゃんと言う常連客はウィスキーのウーロン割がメインでこの二人が狂言廻しよろしく色んな物語が進む、
色んな酒が出てくるのだがその中で初めて「紹興酒」と言う酒を知った、漫画の中では「女の子が生まれれるとその年の糯米で酒を造り甕に入れて庭の隅に埋めて置き彼女が結婚する時に皆に振舞う」と言っていた気がするがとても美味そうに思えて早速買って来た、
しかし、最初飲んだ時は薬臭くてとても飲めたものでは無い、女房も一口飲んで「お父さんに全部上げる」と手を出さない、しかしせっかく買った酒だしマスターもまっちゃんも「美味い」と言うんだからと飲み続けたら瓶が空になるころにはこれが本当に美味しく感じてきた、
翌日から晩酌がこれに替わると女房も「なんか随分うまそうに飲んでいるのが気になって」一緒に飲み始めたらやはりその日のうちに「美味いじゃん」と言う事になった、
その時に初めて買った紹興酒がこれ、塔牌と書かれているがローマ字でパコダと書いてある、確か有名なメーカーが扱っているがあの頃は輸入物だった気がする、義理の兄(女房の兄)が仕事上で壺に入った「高級な紹興酒を貰ったがとても飲めなかった、お前なら何でも飲むから持って来た」と失礼な事を言いながらおいていったがおおきにおっしゃる通り私はなんでも飲んでみる、
飲んでみたらこれは確かに美味い、何といわれようとおいしい酒は多いほどいい、美味いものを飲んだり食ったりするのは実に幸せな気分になる、世の中の偏食家に比べれば我々はそれだけ幸せの幅が広い訳だ、「安上がりな幸せで良かったね」と言う皮肉は(そいつはお気の毒)と喜んで楽しませていただいております、
しかし、弱くなったな、体調のせいかもしれないが昨夜焼鳥屋に行ったが生ビールをジョッキにいっぱいと芋焼酎をロックで一杯飲んだだけで眠くなってしまった、安上がりにはなっても楽しむ体力が減って来るのは口惜しい気がする
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