梟の独り言

色々考える、しかし直ぐ忘れてしまう、書き留めておくには重過ぎる、徒然に思い付きを書いて置こうとはじめる

なんだい!意気地なし

2020-09-13 11:08:26 | お酒
30代になろうという頃、住んでいた町に行き付けの店があった、
スナックと言う体の店で交番の隣と言うなんとも言い難いロケーションの店で小股の切れ上がったという感じのママさんと20代の女の子がいた、
あまり治安の良いという町ではないが入口の脇が交番だからこれは良い場所である、
入ると左手に長いカウンターがあり、右側の壁に沿ってゆったり4人座れるボックス席が3つ、
未だカラオケは流行っていない時代で抓みと言えば日替わりの煮物か焼き魚、ハム・チーズか乾きものと言った程度しかないが客は結構入っていた、
ママさんは多分30代後半位、元粋筋ではないかと言う和服の似合うちょっといい女、
女の子は二人とも20歳を少し回ったという触れ込みだったが後で聞いたら18歳と19歳だった、
気立ても愛想もよい子たちだったが客のお目当てはみんなママさんだった様だ、
旦那さんは銀行員らしい、一度用事で店に顔を出したが(成程)と言う人だった、
子供は小学生の女の子と男の子が一人ずついるがその分が色香を増しているいい女である、
大体週に2~3回通っていたが大抵同じ様なメンバーが揃う、
1年位通った時分に誰からとなくみんなで旅行でもしないかと言う話が持ち上がりママも一緒に行くという事になった、
馴染み客は自分も居れて6人、ママと女の子2人と小学生の子供も一緒に茨城の袋田の滝温泉に一泊旅行となった、
各々自分の車で古顔の客がママ家族を乗せて女の子は別の車で行く、自分は連れて運転と言うのが苦手で直接現地に行くことにした、
川ぎわの古い木造旅館で露天風呂があった、
ひとっぷろあびて宴会になりワイワイと飲んでいたが11時ころになると三々五々と部屋に引き上げて行き最後にママと自分だけが残る形になった、
自分は結構酒に強い、未だ体力も十分にあった頃はほぼ飲み潰れたという事はなく相手がいれば何時間でも飲めるのだがどうやら粋筋上がりのママさんも同じタイプらしい、
なんの話をしていた覚えていないが粋遊びの話から若気の失敗とか結構きわどい話をしていた気がする、
12時を廻り帳場の火が落とされて酒の追加も出来ず銚子が空になったのを機に寝る事にしようとなった、
「寝る前にひとっぷろ浴びてなるか、どうだいママも一緒に」と軽口をたたいたら「うん、そうしよか」と返されて本当に立ち上がりそうな気配になった、
ほんの軽口だったのでちょっと焦り「冗談、冗談、皆に殺されるよ」と手ぬぐいを担いで廊下に出たら後ろから「なんだい意気地なし!」と一発、
笑ってごまかして風呂に向かったが少し期待したママは来なかった、
(意気地なしか、まあそうだな)と思いながら風呂に浸かって宴会場に戻ったら当然だがいなかった、
あくる朝は何にもなかった様に旅の残りを続けたがあのまま一緒に風呂に浸かったらどうなったんだろう、宴会場の話の続きをして「おやすみ」と別れたかもしれないし、30の男と40前の女だからそれなりになったかも知れなかったがまあ、あれでよかったんだろうな
そんなところまで行ったらその後行きつけの店の敷居が高くなったかもしれないがママだったらそれ程のもんでもなかったかもしれない、だとしたらちょっと惜しい事をしたと若干後悔、


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