「事実は小説よりも奇なり」～実際にこんな家族崩壊もあるとは・・・

☆アッピア夫です。

私は、大学生の時からずっと同じ理容室に通っています。もう何十年も・・・今では30分かけてわざわざ行くのですが・・・
その理容室との出会いは、大学入学直後に親しくなった友人のアパートに遊びに行った時。「すぐ近くにある理容室に行ってみようと思う」「俺もそろそろと思ってたから一緒に行くよ」と連れだって行ったのが最初です。

自分たちより少し年上の新婚夫婦が独立して始めたばかりの理容室で、「こんな風に夫婦一緒に仕事が出来るっていいよなあ・・・」といつも憧れの気持ちを持ちながら、当時は学生の他愛もない話に付き合って貰い、卒業後に社会にもまれるようになってからは、人生の先輩として色々なアドバイスを受けて来ました。

当時新婚だったその夫婦も二人の女の子に恵まれ、今では三人の孫がいる歳となりました。そこに通い続けて来た私も、その夫婦の半生に亘る家族の移り変わりにお付き合いして来たことになり、親戚よりも親しい関係かも知れませんね。

今回は、最近その理容室で驚きを持ちながら聞いた、ある家族の悲劇的な崩壊の物語です。
近所に当時はまだ若い医師がやっていた内科医院があり、その医師とそこに勤める看護師が結婚し、男の子が一人生まれました。

その男の子が高校を卒業するまではごく普通の家庭だったようです。医師家庭にはよくある話ながら、その家庭も跡継ぎとして一人息子を医学部に入れようと必死でした。ただ彼は生物や医学には全く興味がなく、理容室に来ては「医者にはなりたくない」「医者には向いていない」とよく言っていたようです。

本人に適性も興味もないのに、親は何が何でも医学部に入れようと医学部受験を続けますが、なかなか合格できず。四浪が決まった頃から友達も寄りつかなくなり、彼は精神的にやられて引きこもりとなってしまったようで、理容室に来ることもなくなります。

そして数年後、その医院が夜中に火事となり奥さんが焼死してしまいます。火の元の原因は息子だったらしく、失火か放火かはなかなかはっきりせず、結局失火と言うことで片付きます。その後再建して病院は続くのですが、その火事の後息子はどこかに引き取られていったようで、それ以来一切目にすることがなくなったとのこと。

その後、一人で細々と病院を続けていた医師も高齢となって引退し、のんびりと一人暮らしをすることに・・・たまに理容室に来ては軽く世間話をする程度で普段の付き合いはほとんどなく、静かに暮らしていたようです。そして、ある日の夜そこに救急車が来て人が運ばれて行きました。

「〇〇さんが亡くなったようだ」と話が伝わり、近所の人はその元医師が亡くなったと思い込んでいたところ、何と亡くなったのは火事以来一度も姿を見ることがなかった息子だったようです。姿を見なくなってからもう何十年も経っており、亡くなって初めて実はそこにずっといたと気づくことに・・・

そして、その後元医師もどこかに引っ越して行ったようですが、程なくして自殺したことが伝わります。開業医として地元で頼られる存在でもあったその家族は全員が不幸な最期を迎え、見事に崩壊してしまったと言う結末に・・・

私が子供の頃は夜逃げや神隠しのような話もちょくちょく耳にしましたが、今でもこう言う話があるんですね・・・何か「宮部みゆき」のミステリーでも読んだ気分で、理容室から帰って来たことだけは確かです。

2016年12月2日　アッピア夫

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