河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

AIで何をするか?

2023-03-19 23:31:25 | 絵画

AIが流行で世の中が変わるらしい・・・。

PCに使い慣れていない私には縁遠い話のようだが、元はChatGPTとかいうプログラムで論理的思考が出来るらしいもので、AIに質問を描き込んで模範的な回答が得られるというのが流行っていて、大学でも多くの学生が支持しているらしい。

怠け者が増えていると思ったら実はそんな所ではなくて、あらゆる分野の情報が蓄えられていて、その有効性はあらゆる分野で活用される可能性があるらしく、同時にいろんな職業もAIに置き換わられてしまう恐れがあるらしい。

これは新しい資本主義の(岸田が言うそれではない)社会が出来る可能性がある。

今の日本では向かないだろうが、もしこれが社会の中で使われ始めると「思考停止しているジイバア」はおいて行かれることは間違いないだろう。本当に論理的思考が出来るのであれば、情緒的な思考しか出来ない者が多いこの国では混乱が起きるだろう。

それじゃ情緒的回答が得られるAIを作ればいいとか言うと、「美しい日本」とか質問すると、伝統的家族主義が出て来るとか・・・えらいことだ!!

いずれにせよ変化を望まない年寄りたちや田舎者には敵になるだろう。

まさかと思ったらAIが絵も描くらしい。勿論これには先に情報が入れ込んであり、色や形、イメージ、雰囲気などが必要だ。ネットで見ていたら「AIで描いた絵画作品」が特選の賞をもらったというのが紹介されていて、描いた(作った)当人は後でAIで作ったことを公表したとあるが、その作品が現代の画家の能力を超えている様な出来ばえであった為に、正直に言わなければ後で詐欺師と言われかねなかっただろう。

しかしその絵画は光のドームの中で女性が歌を歌っているというもので、19世紀末のイギリスのファンタジーの様式で、何となくAIに読み込ませた情報が分かり易い。この作者曰く将来はAIによる絵画の分野が広まれば良いと思っているようだ。

ちょっと誤解されたくないのだが、絵画は個人の感性で作り出されるもので、気分が支配していて絵を描く自分にもそう簡単に納得のいくイメージが作り出せるわけでもない。たとえAIがこれでどうだろうと試しの作例を出してきて、それを喜んだら「無能な画家」としか思えないのだが。

いずれにせよ絵画を製造することが目的ではなく、「描く喜び」が重要であって、これなくして子供のころから絵を描いてきた魂が失われる。

しかしちょっとだけ試してみたい・・・と一度パンドラの箱を開けることになるかもしれないが・・・・例えば自分が影響を受けてきたヒエロニムス・ボッシュの情報を入れて、自分の世界を描いてみたらどうなるのか・・・なんてね!!

まあ、「絵に描いた餅」をつくのも絵描き冥利だからね。