「影の付け方が間違っている」というお題で古典絵画の批評をしたMITグループのリポート?がスマートニュースでGIGAZIN発信元で書かれていた。
様々なルネッサンスのイタリア絵画を中心にフレスコ画、油彩画などの人物画の足元に太陽の光が当たって出来る「投影(casting shadow)」の付け方に批判があって、短すぎる、方向が一定でないとか、形が三角形でそれ以上の複雑な形が出来るのを省略しているとか・・・・。
MITはマサチューセッツ工科大学の略号だが・・・本当にそこのグループの批評かどうか分からないが・・・描かれた絵の中に自然の法則を持ち込ませるのは、余りに理科系的でしょう??
まあ国立西洋美術館にも「絵画は自然を模倣してきた」と考える人たちが居て、私は以前にも書いたと思うが・・・それはちょっとちがうよ!!と!!具象絵画が現実と比べてリアルに描かれていると思っている人は騙されているだけで、どうも絵画作品をよく見ていないのでは?と思う。
確かに光が当たってできる影が描かれるようになったのはルネッサンスの頃でゴチック、ロマネスクそしてその前の古代ローマのポンペイの壁画など幸いにして観ることが出来るが「立体感」の表現は初期のイタリアルネッサンス絵画のジョットの作品に見られる人物画の立体感よりもより正確に描かれていたにもかかわらず、「投影」は描かれていない。絵画の中で立体感はデッサン力で表現可能であって、自然を模倣してきたから立体的にリアルに感じるのではなかった。今日でも芸大入試の彫刻科のデッサンは影など必要とせず・・・いや影は付けてはならず形の魅力を表現する力を求められた。現代アートになってしまって現在はどうか知らないが・・・影を付けると「絵画的」と言われたものだ。
しかし、そもそも絵画というものは平面にそこに現実の世界とは別個の世界を表現し、存在させることが必要であり・・・そのために影の付け方が自然の法則に従って正確でなければならないということはない。人によって好き好きであるとも言えないこともないが・・・絵を描く人にとって影がどの様に感じるかとかは表現効果の問題であって、そこに重要な条件があるわけではなく、感覚的に取り扱われるものだ。
理科系の人たちは、本当に自然の法則に従っていないと「正しい」と認めないのかな?