軽井沢 朝日

最初に軽井沢に宿泊したのは大学時代の自転車旅。一人旅で予定もなく、なんとなく数日滞在したのはもう40年も前。
連泊した宿にアルバイトの女の子がいた。
東京に戻っても会いたいと言われたけれど、田舎者の僕には不釣り合いな有名なお嬢様大学のだったので、気後れして御断りしてそれっきりお会いすることもなかった。

旧軽井沢の老舗旅館の親戚だった大学の友人が、挙式するというのでその旅館を訪れたのはもう35年ほど前。木立の中のチャペルで生まれて初めてお米を投げた。

僕の中の軽井沢は観光地というよりはいろんな人との思い出の場所で、ちょっと湿った空気と、気恥ずかしいような思い出の地。
当時は旧軽銀座に興味がなく、別荘の脇の未舗装路を散歩することが楽しかった。

それから何十回も訪れているけれど、若い頃のような強い印象は残してくれない。
それはどこに出かけても同様で、マジックで書いた思い出の上に尖った2Hの鉛筆で新しい思い出を重ねているような感じだ。

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朝ホテルの庭を散歩した。ホテルには礼拝堂があり、朝の陽が壁に木々の影を写していた。