厳冬の2月15日、福井県の山間の静かな農村、池田町で750年ほど続く神事が執り行われます。一年に一回だけということで、無理を押してちょっと見に行ってきました。
すっかり雪も目立たなくなった福井市街から車で40分ほど走ると、池田町の水海地区鵜甘神社に到着します。周りは一面の銀世界で、雪国いることを思い出させてくれます。
2/15に行われるその神社の春季例大祭で奉納されるのが、国の重要無形民俗文化財「水海の田楽能舞」です。
鎌倉時代に執権の北条時頼が諸国行脚の途中、この地で冬を越すことになったので、村人が時頼を慰めるために「田楽」を舞って歓待し、時頼はこれに報いるため、「能舞」を教えたのが始まりだそうです。以来、田楽と能の両方を併せ持つ、古い型を現在も継承するものとして、貴重なものだそうです。
また、地域の保存会の人々は、2月3日から練習したり、神事を執り行ったり、前日は冷たい川で禊をして身を清めたりして準備するそうです。
13時からの神事の後、いよいよ神社の拝殿にて、田楽が始まります。ゆったりとした〆太鼓や節回しに合わせて、厳かに田楽が行われました。
時間の都合上、能舞は見られませんでしたが、大勢の方が厳かに見入っていました。このような芸能と神事がひっそりと山里で続いていることが、福井の魅力だと思います。
決して大勢でわいわい楽しむ種類の祭り事ではなく、ひっそりと雪に囲まれた集落の小さな神社で素朴におこなれるところが魅力なのだと思いますが、写真やビデオで見られるようにして、地域のシンボル的な芸能として保存・活用していければよいと思いました。