長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

142. 新緑の高宕山山行記

2014-05-09 21:32:13 | アウトドア

ひさびさの更新である。ゴールデン・ウィークは仕事三昧となった。その中で一日だけスケジュールが空いたので先月の29日、房総の高宕山に登ってきた。

同行は房総の低山を登る会『Bosso Club』のメンバー、僕とK氏、Y氏の3名である。昨年秋から春にかけて僕が展覧会のはしご状態だったので、空気の澄んだ展望のいい季節に行くことができなかった。こちらの方もかなりひさびさということになる。

登山口である高宕トンネルに着くと新緑が美しい。夏鳥のキビタキが、ピッコロのように美しい囀りで出迎えてくれた。このコースは幾度か登っているが新緑の季節は初めてである。いつものようにいきなりの急登で一汗かく。谷筋が見下ろせる高さまで来た時、夏鳥のオオルリの”ピールーリ、ポピーリ…”という囀りが近い。みんなで声のする方向に双眼鏡を向けて探すと落葉樹の枝先にとまっていた。真っ白い腹部と背中のブルーのコントラストがはっきりと認められた。ここから尾根に出る。『石射太郎』という山のピークまで行くと、足元に青紫色のホタルカズラの花がたくさん咲いていた。ここで小休止。水分などを補給して次のポイントである通称「モミの木テラス」まで急ぐ。いつものようにここで一回目の大休止。コーヒー・タイムとなった。正面にはこれから目指す高宕山がどっしりとした山容を見せている。断崖絶壁から見下ろす谷は眩しいほどの新緑が輝いて見え感動的でさえある。「いつもは冬だったけど、季節を替えて新緑の時期も、ようすが変わっていいなぁ」とK氏がコンロでお湯を沸かしながらつぶやいた。ここは位置的に房総半島のほぼ中央にあたり山が深い。ゆっくりと周囲の絶景を堪能してから一路、高宕山を目指す。ここからは尾根歩き。参道の脇に鮮やかなピンク色の満開のヤマツツジを見つける。K氏もY氏も歩きなれていてグングンと目的地との距離を縮めて行った。今日はピッチがかなり速い。

あっという間に昼食の予定地である頂上直下の高宕観音に到着した。ここは断崖に作られた寺院だが、昔は住職もいて参拝者も多く賑わっていたようである。先着の登山グループや逆コースから来た登山者もここで昼食をとっていた。冬の空気の澄んだ日ならば富士山がくっきりと見える場所でもあるが、さすがにこの季節。ガスっていて遠目はきかない。重たくなった腰を上げて頂上へと向かう。ここからは岩場にちょっとした鎖場やロープがあって、少しスリリングな気分を味わうことができる。周囲の斜面林からはヤブサメやセンダイムシクイといった夏鳥の囀りが聞こえてくる。

頂上に到着すると、360°の絶景。各々、スマホやデジカメで風景の動画や画像を撮影しているうちにポツポツと雨が降ってきた。ここまで天気がもってくれたのに…。 「帰りを急ごうっ!」K氏の一声で下山開始。元来た尾根を走るように下っていく。だんだん雨が強くなってきた。おそらく、Bosso Club 開設以来の新記録ではないかと思われるぐらいの速さで一気に登山口までたどり着いた。仕上げは駐車場の木陰で雨をよけながらのティー・タイム。相変わらず行きにもいたキビタキがさかんに囀っていた。輝くばかりの新緑の中、印象深い山行となった。メンバーに感謝。画像はトップが「モミの木テラス」から見た新緑の山々。下が向って左から高宕山遠景、ホタルカズラの花、ヤマツツジの花。