長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

279. 書籍のカヴァー図版に絵画作品が掲載される。

2017-02-23 18:39:54 | 書籍・出版
昨年末、絵画作品の個展を開催している画廊を通して書籍のカヴァー図版の仕事が舞い込んだ。本のカヴァーの仕事はひさびさである。デザイン担当のK女史と作品のイメージなどについて少しやりとりがあって、今月に入り出版された新書版の本が1冊「謹呈」として送られてきた。

本の内容はスイスの作家による小説である。情報は以下の通り。

・タイトル:ギリシャ人男性、ギリシャ人女性を求む Grieche sucht Griechin

・作者:フリードリヒ・デュレンマット(Friedrich Durrenmatt) 増本浩子 訳

・出版社:白水社 白水uブックス(新書版)

・定価:(本体1400円+税)

帯の内容解説では「うだつの上がらぬ中年男アルヒロコスが知人の勧めで結婚広告を出したところ、すごい美女が現れた。以来、彼の人生は一変。どこへ行っても重要人物の扱い、前代未聞の大昇進……降りかかるこの不可解な幸運の裏には一体何が? スイスの鬼才が放つブラックコメディ。」と書かれている。

僕は海外の現代小説には恥ずかしながら、とんと不勉強で作者の名前も初めて目にした。参考までに作者のプロフィールを簡単にご紹介しよう。

フリードリヒ・ディレンマット(Friedrich Durrenmatt 1921-1990)スイスの劇作家、小説家。

スイス生まれ。プロテスタントの牧師の息子として生まれる。大学では哲学などを専攻。21歳で処女作『クリスマス』を執筆。1945年、短編『老人』が初めて活字となる。翌年、最初の戯曲『聖書に曰く』を完成。1940年代から1960年代にかけて発表した喜劇によって劇作家として一躍、世界的な名声を博した。推理小説『裁判官と死刑執行人』(1950-51)がベストセラーとなる。1988年、演劇から離れ散文の創作に専念、晩年は自叙伝『素材』の執筆に打ち込む。代表作に『老貴婦人の訪問』、『物理学者たち』など。「ブレヒトの死後、ドイツ語圏で最も優れた劇作家」などと称賛されて高い評価を得ている。

僕のカヴァー作品は3年前、東京での個展で発表された手漉き紙に水彩とアクリルで描かれた絵画作品で『伝説の翼』という連作の中の1点である。夜のロンドンの街の上空を幻獣グリフォンが飛翔しているイメージを描いた作品で、ロンドンに留学経験のあるアート・コレクターの方が購入された。デザイン担当のT女史は画廊のオーナーにいくつかの作家、作品の写真資料を見せてもらいセレクションしたのだが「この作品の奥深く青い闇の色に魅せられた」のだという。

本好き、小説好きの方々、この機会に是非、読んでみてください。Amazonで作者名を入力するとトップに出てきます(他にも同一作家作品で10冊ぐらい出てきます)。画像はトップが本のカヴァー図版のアップ。下が向かって左から同じく帯着き状態の本のカヴァー、今回採用された水彩画作品『聖夜(グリフォン)』。