長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

343. 新作絵画個展の制作もラスト・スパートとなった。

2018-09-08 20:21:17 | 絵画・素描
今月の29日から東京銀座の青木画廊で始まる絵画の新作個展の制作が大詰めとなってきた。

この夏は猛暑と言うこともあったが、秋の新作個展が控えていたのでほとんど工房に籠って絵画制作に集中していた。いや、まだ集中している。今回のテーマは『聖獣・幻鳥伝説』と題して東西世界に分布する神話や伝説の中に登場する動物や鳥をモチーフとした連作となる。例えば具体的にはスフィンクスやフェニックス、東洋ならば龍、麒麟、獅子といった空想上の生物が主人公である。画材としては手漉きの紙に水彩、アクリルその他の混合技法で描いている。使用した紙は前回の個展に引き続きネパールの手漉き紙とオーダーして漉いてもらった能登手漉き和紙の2種類。手漉きの紙はそれぞれクセがあり表現にも大きく関係してくる。

個展を観にきていただく人たちから「絵画と版画の両方を制作していて何に一番異なるものを感じていますか?」という内容の質問をよく受ける。作品を制作する、モノを作るという姿勢としてはどちらも変りはないのだが、しいて言えば「絵画は手離れが悪い」ということが言える。
版画は下絵を描いて、版を彫って、摺るというプロセスがはっきりとしていてあるところまで制作が進むと、「このあたりが潮時だな」というあきらめのようなものがつく。ところが絵画は描けばいくらでも、どこまでも描きたして行けるような性格があって、いつまでも抱えてしまうということがあるのだ。なので「絵画は手離れが悪い」のである。良い解釈をすれば「納得がいくまでとことん描いていられる」ということになろうか。

出品予定作品は全部で22点。9/20にはオーダー・メイドの額縁屋さんに作品を受け渡さなければならない。さすがにこの時期に来てまったく手を付けていないという作品はないが、あと4~5点の詰めがあまい。この暑さで描画のペースが落ちているということもあるが、もう少し気張らなければならない。

個展が近づくと必ずうなされる夢がある。それは個展の搬入日に仕上がった作品数が足らずに壁が一面ポッカリと空いてしまっているというものだ。今回も今月に入ってから3回ほど見た。画家の「業」と言えるのかも知れない。この数日、ようやく暑さも緩んできた感じがする。残された時間はマラソンで言えばラスト・スパートに入った。さぁ、悔いが残らないように納得が行くまで描き込んで行こう。

※展覧会の詳細に関しては開催日が近づいてから詳しくブログに投稿します。


画像はトップが制作中の水彩画と僕の左手。下が向かって左から描画に使用している固形不透明水彩絵の具、今回出品する作品の部分図3点。