長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

392. 美術学校で『生物細密画』の実習を指導する。

2019-12-15 17:42:13 | カルチャー・学校
先月末から東京の杉並区にあるA美術学院に『生物細密画』の実習指導に行っている。対象となるのは絵画を専攻する2年生と3年生。

もう、4年目になっただろうか。そもそもこの授業、本来美術大学などではデザイン科のグラフィックデザイン専攻の学生等が学ぶ内容なのかもしれない。ただ美術大学でこのような実習を行っているということは聞かない。
A美術学院では5年前に前任のH先生より「今まで自然物描写」という実習を1年生では行ってきたのだけれど、2年生に、もう少し踏み込んだ形で生物の細密画の実習を教えてほしいという内容でオファーが来た。
さらに「絵画を専攻する学生に卒業後、例えば印刷媒体の「図鑑画」であるとか博物館関係の「細密画」といった仕事に繋がる絵の体験をさせたい」。それからもう1つは「具象絵画の制作の中で生物を細密に描く表現も必要だろう」という指導方針を伝えられた。

最初の年は、生物ならば、何でもありといった設定でスターとしたのだが、やはり本物を手に取って細部まで描写する体験をしてほしいということになり、2年目からは貝殻をモチーフとして与え、正確な計測用にディヴァイダーを1本わたして、とことん対象とニラメッコをしながら制作に取り組んでもらっている。初めのうちは今の学生には、このような「行」のような実習はどうかと思ったが毎年集中して制作している姿を見ると、結構向いているのかもとも思っている。

師走に入り寒さも続く中、学生たちはこちらも目を見張る様な集中力で細密画に取り組んでいる姿は清々しい。この授業が始まるとこちらも今年一年がもうすぐ終わるのだという気持ちになってくる。実習はあと新年に4回ある。今年も、上手いとか下手とかではなくとにかく目に見えた細部をとことん観察し、描写しきった作品が最終日に並ぶのを楽しみにしている。