このところ、いくつかの仕事が重なりブログの更新をさぼり気味である。と、いうことで今月初めての投稿。
7日。上野のT芸術大学の『芸祭』に行ってきた。ここのデザイン科3年生となる長女から連絡があり、「作品の展示とフリー・マーケットに出品しているので見に来ない?」というお誘いだった。昨年はこちらの事情で行けなかったので、なんとか仕事に区切りをつけて行ってみることにした。それにしても時間の経つのは早いなぁ。ついこの間入学したかと思っていたらもう3年生。デザイン科なのでボチボチ就活を始めているようだ。
芸大の正門に着くと雨だというのに来場者が多く、賑わっている。長女との待ち合わせ時間には、まだ早いので、まずは「絵画棟」と呼ばれる建物の展示を見て歩くことにした。今から30数年前、美大受験をしていた僕は毎年のように芸祭を訪れ、絵画棟の展示を隅から隅まで見て歩いたものだ。結局受験には失敗したのだが、なんとも表現しようがない懐かしさが蘇ってきた。「せっかく来たのだから、このさい30数年前のように隅から隅まで見てみよう」 決めると行動の早い僕はエレベーターで最上階まで上がっていた。ここから昔と同じように画学生の作品を1点1点丁寧に見ながら1階まで下りていく。油画科、日本画科、版画専攻と力作が並ぶ。まだどこに向かって表現していいのか手探りの時期。その若さが初々しくもあり、危なげでもある。そしてその肌触りが懐かしい。絵画棟を観終ると今度は長女の出品している「デザイン・工芸棟」に移動する。平面あり、立体あり、伝統工芸ありと、いきなり表現の幅が広がり視点が定まらなかったが、しばらく経つとようやく目がなじんできた。「やっぱり、自分はつくづくファイン・アート的な人間なのかな…」 長女にメールをして展示場所を確認してから2階の教室に移動する。たくさんの展示作品の中からようやく見つけてホッと一安心。都内で生活しているので最近はあまり作品を見る機会がなかったが、彩度の高い色を大胆に使うようになったんだな。さっそく感想などをメールした。
一通り、展示作品を見たのだが(彫刻科と建築科を見落としてしまった)まだ時間に余裕がある。ポスターが貼ってあった芸大美術館で企画展示されている木版画作品を観に行った。浮世絵から続く木版画の歴史的なものから現代版画まで、なかなか充実した展示になっていた。現代作家の部屋には知人の版画家も数人出品していた。
そうこうしているうちに約束時間となる。校門のあたりで後から遅れてやってきた家内と次女とも合流し、大学を出て近くのレストランで昼食をとった。長女を囲んで普段の学生生活や今回の展示作品のことなど話しているうちにフリー・マーケットでの話になり「自作のオリジナル絵葉書が100枚以上販売できた」と嬉しそうに言っていた。どうやら色感だけでなく商才も磨いているようだ。「長島の家はもともと商人の家系だからねぇ」 帰りは上野公園内に出店しているフリー・マーケット会場を覗いたり、広小路口に展示されている芸大名物の「創作神輿」を見て帰路に着いた。この大学祭、上野公園中に広がっていて、地域に根差してきているところが好感がもてた。画像はトップが「創作神輿」。下が左から芸大校門、長女の絵本作品(一部)、絵画棟展示会場。