先月より仕事が立て込んでいてひさびさのブログ更新である。と、いう訳で内容もすでに終了してしまった。美術館企画展のこと。今更ですが国立西洋美術館で開催されていた『ラファエロ展』について書きます。
展覧会は3月から今月始めまで開催されていた。行こう行こうと念じつつ、いつものことながら終了間際になってやっと腰が上がった次第である。このところ上野公園内の国立博物館や西洋美術館で開催される大規模な企画展の混み方は尋常ではない。特に某国営放送のテレビ番組で紹介された後の混雑ぶりは異常と言っても良い。まず大勢の来場者の流れに押されながら人の頭越しにようやく鑑賞するというのが常である。ましてや我が国初公開となる巨匠『ラファエロ展』とあってはどれだけ混雑するのか解ったものではない。事前に「午後4時過ぎると比較的空いている」という情報を知人から得たので今回から試してみることにした。ところが美術館に着くと会期終了間際ということもあってか長蛇の列。覚悟を決めて最後列に並んだ。
今更だが、ラファエロ・サンツィオ(1483-1520)と言えばレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロと並びイタリア・ルネサンスの三大巨匠と呼ばれる天才画家である。その優美かつ完璧な画風は19世紀半ばまでの西洋の画家にとって絶対的な手本とされて来た。まさに『神の手』がなせる技である。会場に入るとまず有名な『自画像』が出迎えてくれた。「それにしてもラファエロって色男だな」人に流されながら順を追って見ていくと初期宗教画作品は工房に入り学んだと言われているペルジーノの影響が強く見られる。それにしても板に油彩で描かれた絵画作品は保存状態がたいへん良好で色彩が輝いて見えた。ポスターにも使用された今回のハイライト作品『大公の聖母』の前まで来るとさすがに人が動かない。仕方ないので少し後方まで下がって秘密兵器である『単眼鏡』をポケットから取り出し、画面を舐めるように見ていった。磨き抜かれた描画技法と合わせ画家自らの深い信仰心をも感じる傑作である。何度も溜息が出た。
今回の展示で予想外に良かったのは小さな肖像画の連作だった。その中で特にダ・ヴィンチの作品を研究して描かれたと言われる『無口な女(ラ・ムータ)』という女性像はその場の空気や時間までも感じさせてくれるリアルな表現となっていた。
みんないい展覧会は見たいのであるから人の多さは仕方がない。それを差し引けば、ひさびさに充実した内容の観ごたえのある企画展だった。画像は向って左から」ラファエロ展入口の看板。2点の肖像画の部分(展覧会図録より複写)。
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