職業上、当然のことだが工房に籠っている日は朝から晩まで食事と散歩の時間以外は絵画や版画の制作に集中している。その集中する日々が続くと、最近では年のせいか肩がバリバリにこったり、背中から腰にかけて痛かったり、目がかすんだりとなかなかヘビーなのである。体だけではなくて、長時間の集中からか夜、寝床に入っても頭の中身が興奮し続けていて寝付けない。こういう時は以前からナイトキャップ(寝酒)を飲む習慣がついている。
このナイトキャップ、少し前まではワインが主だったのだが、ある時期から赤ワインの香りがきつく感じるようになってしまい朝まで残ってしまうこともあった。と、いうわけで最近ではウイスキー党に変わった。それも長いこと〇〇トリー党だったのだが、昨年、9月から今年3月まで放映された某国営放送の連続TV小説『マッサン』ブームに影響され、ニッカのモルトウイスキーを飲み始めた。最初はドラマでも繰り返し出てきたいわゆる「スモーキーフレーバー」という特有の焦げ臭さが鼻についてしまい、なかなかなじめなかったのだが、我慢して飲み続けているうちに不思議なものでこれが心地よく感じクセになりつつあるのだ。ようやく味わって飲めるようになってきている。このモルトに慣れた舌で〇〇トリーを飲み直してみると、甘味があるように感じてしまう(〇〇トリーさんスミマセン、またしばらくしたら飲み始めますよ)。
昨年はニッカウヰスキーが北海道余市に創業して80周年を迎えた年だそうだが、『竹鶴17年ピュアモルト』という銘柄の商品の品質の高さが世界から賞賛されワールド・ウイスキー・アワード2014というコンテストで世界最高賞を受賞した。素晴らしい、日本の誇りである。この17年物のウイスキーをぜひ一度飲もうとパソコンで検索してみたが、なんとプレミヤがついてしまい高価になっている。それから普通の銘柄も近所のスーパーなどでは品薄になっていて、なかなか入手しにくくなっている。国際賞とTVドラマの経済効果というものはすごいものだと、改めて感心している。
そしてドラマの中でニッカウヰスキー創業者の妻、竹鶴リタ(役名はエリー)役を演じた白人女性ヒロインのシャーロット・ケイト・フォックスも日本でのヒットが本国アメリカで評価されブロードウェイミュージカル『シカゴ』の主演ロキシー・ハート役に大抜擢されたそうだ。今年12月には来日公演もあるという。これも重ねてめでたいことである。画像はトップがグラスついだウイスキー。下が向って左からニッカのモルトウイスキー2種、TV画面のシャーロット・ケイト・フォックス。