今回ブログの回数が222回目のキリ番である。18日、19日と二日間、地元千葉のNHKカルチャー・ユーカリが丘教室で今年最後の木版画のレクチャー2クラス分を連チャンで行った。この木版画教室も早いもので来年11年目となる。スタートした時は、正直こんなに続くとは思っていなかった。熱心な生徒さんたちに支えられてここまでやってこられた。感謝である。
3か月6回~7回が1クールなのだが、初心者と自由制作の時以外は毎回、僕がテーマを決めて進めている。今期のテーマは『彫らない木版画』。字ずらだけ見るとなんのことか解らないだろう。初日に黒板に発表した時は生徒さんたちからも「なんですかそれはっ!?」といった声や深いため息が聞かれた。現代の木版画も近年、表現内容が進化した。彫刻刀で彫って摺るだけが木版画ではない。版木にニスを塗ったり、ボンドで何か他の物質を張り付けたり、アクリル用のメディウムでマチエール(絵肌)を作ったりと多種多様である。生徒さんたちも公募展やら画廊やらを廻ってこうした表現に接する機会も少なくない。カルチャーでそこまでやるのはどうなのかという気持ちもあったが、思い切って決行した。
当然、「えーっ、どういうものか理解できません!」「そんなこと私たちにできるんですか?」という声もあがった。そういう時の僕の台詞はいつも決まっていて「やってみなはれーっ!(サントリーの社長風)」なのである。そう言いつつも、今までもみんなで陰刻法木版画、キアロスクーロ法、リダクション法と結構マニアックな特殊技法もなんなくこなして来ているのである。
ふたを開けて見ればこの二日の講評会には不安などどこ吹く風か、なんなく課題をこなした力作がズラリと並んだのである。それにしてもこの『彫らない木版画』は絵画性が強く、より自由な表現を獲得できるんだなぁ、と再認識した。指導している僕自身も毎回発見なのである。
新年1月からはシュールレアリズムの手法である『ディペイズメント(置き換え)』に挑戦する。今期のキーワードは「やってみなはれ!」だったが来期のキーワードは「ビックリポン!」となっている。なんのことはない朝ドラのセリフのパクリなのである。画像はトップが黒板に張り出された生徒作品の一部。下が向かって左から同じく生徒作品の一部、参考に作って見せた彫らない版木、講評会風景。