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ブルートレインで初日の出を見に行こう その1、平成20年12月28日~29日

2009-01-04 | 鉄道
東京行き寝台特急「はやぶさ」、熊本駅に入線する

仕事納めを終えてから、寝台特急「はやぶさ」に乗り込みました。
目指すは終着駅東京…ではない。この暮れに慌しそうな東京には用はない。
東京に着いたら、次の列車に乗り換える。
次の列車とは?
「勿論、寝台特急『富士』!」
即ち、東海道山陽九州筋に残ったブルートレイン最後の二つ星である「はやぶさ」号と「富士」号を乗り継いで、九州と東京を行き交おうという寸法だ。

この酔狂な旅の目的は、ただひたすら最後の正統派ブルートレインの旅路を味わい尽くすこと、そしてこれが最後の機会となる「ブルートレインの車窓から初日の出を拝む」こと。ついでに「『富士』の車窓から富士山を眺めること」も楽しみたいね。
一富士二鷹三何とか…と言うが、富士はそのまま列車名だし沿線には本物もあるし、隼(はやぶさ)は鷹の仲間だし、あとは茄子を持って乗り込めばさぞかし豪勢な初夢が拝めそうな旅になりそうだね。

平成20年12月28日

寝台特急「はやぶさ」号、東京行き。
15:57に始発駅の熊本を発車する。


これが今夜一晩過ごす部屋。
B寝台1人用個室「ソロ」、1泊の寝台料金は6300円也(勿論、他に運賃と特急料金が必要ですが)。
個室ではない2段ベッドのドミトリースタイルの通常型B寝台と同じ料金で利用出来るので大人気の「ソロ」、室内は狭いが人目を気にせず好き勝手に寛げるのでかなり快適。
今夜確保した部屋は屋根裏部屋の2階室で、通路からドアを開けて階段を登ったところにベッドがある。ちょっとロフトのような雰囲気、高い位置にあるので当然、窓からの眺めも良い。

定刻に熊本駅を発車。
暫らくは新幹線工事現場の真っ只中を進んでいくが、やがて熊本市郊外の田園地帯に抜ける。

日の短い今の時期は、熊本駅を発車する頃には既に夕暮れ時。


大牟田、久留米と鹿児島本線の主要駅に停まりながら、九州の中心駅となる博多を目指し北上していく。
そうしているうちに、進行方向左側に面した個室の車窓には冬の夕陽が沈んでいく。


博多、小倉と大都市駅にたて続けに停車して客を拾い、車内はほぼ満席となった模様。
九州最後の停車駅となる門司駅に到着すると、ここで大分からやって来る「富士」号を待って約30分の停車となる。
いつもは改札口を出て駅ビル内のコンビニや弁当店に酒や食糧の買出しに行くのだが、今日は帰省している妹に頼んで弁当を拵えてもらって持参しているので、買い物に行く必要はない。
それでもここまで狭いB寝台個室に閉じこもっていたので、身体を伸ばすべく駅周辺をブラブラ散歩する。


夜の散歩から帰ってくると、「はやぶさ」は既に転線して「富士」と連結しており、機関車も熊本からここまで引っ張ってきてくれた九州内専用機ED76から関門トンネル用のEF81に換わっていた。

門司駅を発車するとすぐに関門トンネルに突入する。
駅構内から12輌編成の列車を引き出した交直両用電気機関車のEF81は、トンネル進入口の手前にあるデッドセクション(無通電区間)を惰性通過中に九州内標準の交流20000ボルト(60ヘルツ)から本州内の直流1500ボルトに機関車内の電気規格を切り替え、そのまま本州へと足を踏み入れる。
全長千数百キロの「はやぶさ」「富士」の行程で、EF81が担当するのは関門トンネル区間の門司駅~下関駅間の僅か1駅間のみ。それでも、走行中の交直切り替え能力を持ち海底トンネルの塩害から電気機器を守る特殊塗装に守られた機関車EF81無くして、「はやぶさ」「富士」は東京と九州の間をロングランすることは出来ない。


数分間で関門海峡の海底を潜り抜け、「はやぶさ」「富士」は下関駅に到着。
編成の先頭では短い勤めを終えたEF81が切り離され、東海道山陽本線用機関車EF66が連結された筈だ。
「はやぶさ」「富士」の到着を待っていたプラットホーム上の立ち食いうどん店が店仕舞いするのを見ながら列車は発車する。

下関を発車すると、後はただひたすら闇の中を走っていく。
午後9時を回ると「おやすみ放送」があり車内も消灯され(僕は個室にいるので、当然ながら室内の灯りは点いたままだが)、車内は眠りに落ちる。

日付が変わって深夜2時前、編成最後尾の1号車のデッキから流れ去る夜の線路を眺める。
闇の中に星雲のように浮かび上がった姫路駅を通過した直後、列車は四国行きの夜行快速「ムーンライト高知・松山」と、そして「はやぶさ」「富士」の下り列車とすれ違う。
かつてはこの区間には一晩に数十往復もの夜行列車が行き交い、夜汽車がひっきりなしにすれ違っていた時代もあったのだが、現在は夜行列車同士のすれ違いも僅かな機会となってしまった。
九州へと向かう「はやぶさ」「富士」の赤いテールランプが走り去るのを見てから、部屋に戻り今夜はもう寝ることにする。

平成20年12月29日

名古屋辺りで起きようと思っていたのだが、気が付くと列車はもう静岡を過ぎている。
「しまった、昨夜の夜更かしのせいで寝過ごしたか!」と飛び起きて、顔を洗ったりしているうちに「はやぶさ」「富士」は由比の海岸を駆け抜け、部屋に戻るといきなり車窓に富士山が聳え立った。
富士駅に到着する直前に渡る富士川鉄橋は、東海道本線随一の富士山の名所として知られる。
「それにしても、この見事な富士山、元旦まで取っておきたいような勿体ないような見事さだね」富士山を仰ぎ見ながら、「富士」号は「はやぶさ」と共に富士駅に到着する。


そのまま列車は青空の下を走り続け、定刻に終着駅東京に到着した。




下関からここまで「はやぶさ」「富士」を率いて来た機関車EF66が機回しされて編成最後尾に連結され、品川の基地へと回送されていくのを見送る

さて、「はやぶさ」の次に乗るのは今夜の大分行き「富士」だが…
その前に先ずは、我孫子駅に遅い朝食兼昼食を食べに行こう

ブルートレインで初日の出を見に行こう その2、平成20年12月29日~30日に続く