天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

気がつけば「はやぶさ」で行けないJAXA相模原キャンパス一般公開'09

2009-07-25 | 宇宙
イトカワ上の「はやぶさ」 画像提供:JAXA

さて先週末から熊本県から高速道路を自走して長野の高原までパラボラアンテナ詣でに行ったり、京都で妹と一緒に観光を敢行したり、熊本に帰ってからも息つく暇無く種子島に渡って皆既日食帯に突入したりしていた訳ですが、気がつけば昨日今日と毎年恒例のJAXA相模原キャンパス一般公開が行われていたではないですか!
しかも今年は何と充実の2Days!

JAXA相模原キャンパス一般公開「相模原は宇宙につながっている」

だがしかし、流石に種子島でタクシーをチャーターして島を縦断したりして散財しまくったし、島を無駄に歩き回ったりして体力的にももう限界。
それに何より、今年は僕を相模原の乗り継ぎ駅の横浜まで乗せて行ってくれるこの列車がもういないのだ。

熊本と東京を結んでいた、ブルートレイン「はやぶさ」。
JAXA宇宙研の小惑星探査機と同じ名前を持つこの夜行列車が星空の彼方へと旅立ってしまってから、もう4ヶ月になる…

これまで毎年、夏が来れば熊本駅から「はやぶさ」に乗って相模原まで「はやぶさ」に会いに行っていた。
でも今年は、地上に「はやぶさ」の雄姿は無い…その現実を受け止めるには、僕は余りにも疲れ果てていたので…

そんな訳で、今年は相模原行きは断念しました、残念ながら。

でも、自宅で不貞寝しながら横目でネットの某巨大掲示板の天文板や宇宙科学ファン諸兄のブログを巡回してレポートをチェックしてみると、今年も楽しかったみたいですね。打ち上げ目前の金星探査機PLANET-Cの実機展示があったり、小惑星探査機「はやぶさ」から地球に届く“声”を聞けるコーナーまであったそうじゃないですか。
そんなレポートを目にするうち、僕の心の奥底にはふつふつと行かなかった後悔とこの次の機会への意欲が湧き上がってきたのだ。

「来年の夏は行くぞ、相模原へ!ブルートレイン『はやぶさ』はもういないけれど、夜明けの寝台電車『サンライズEXP』か、何なら日本海回りでブルートレイン『北陸』か『あけぼの』ででも横浜へ、淵野辺へ、相模原へ乗り込んでやるー!!」
…まぁそこまでブルートレインで行くことに拘る必要はないかも知れませんがね。

ところでその小惑星探査機「はやぶさ」の後を引き継ぐ「はやぶさ2」の現状について、松浦晋也さんのL/Dにレポートが出た。

はやぶさリンク:はやぶさ2はサンプルリターン機・インパクターの2機構成に(松浦晋也のL/D 2009.07.24)

「はやぶさ2」計画の内容はまた変化していて、何と「サンプルリターン機」と「インパクター(突入機)」の2機構成になるというのだ。
それはそれで実現できたら魅力的なミッションなのだが、しかしこうも計画内容が変化するとは…
松浦さんによると「目標は従来と同じ、C型小惑星「1999JU3」」で、「すでに、JAXA内の技術審査は終わり、技術的には実行OKということになったとのこと」だそうだが、勿論、このままスンナリと2機の「はやぶさ2」艦隊が打ち上げられる訳ではない。今後も更なる紆余曲折が予想される…

来年6月、ウーメラ砂漠の夜空に輝く「はやぶさ」とサンプル回収カプセルを見つめながら、僕は一体どんな「はやぶさ2」の旅路を思い描いているのだろうか…

皆既日食無事終了!種子島の熱い夜

2009-07-25 | 旅行
2009(平成21)年7月22日、
皆既日食を体感した僕はJAXA種子島宇宙センターを後にした。

結局、終始空は雨雲に覆われたままで皆既日食の黒い太陽も輝くコロナもダイヤモンドリングも見ることは出来なかったが、皆既の瞬間の恐ろしいまでの暗闇を体感することが出来たので満足だ。次回26年後の日本国内での皆既日食まで、思い残すことはもうない。

今朝はここまでタクシーを飛ばして大急ぎでやって来たが、帰りはのんびり歩いて行こう。雨もあがったし。



宇宙センターの門扉。


門扉の近くには、こんな美しいビーチもあります。


宇宙センターから暫らく歩いた道端にあった日食観測装置。
地元の中高生が中心となり、島内各所に配置した観測装置で明るさと気温を測定して「皆既日食帯の境い目」を調べるという非常に意欲的な観測を行う手筈になっていたようなのだが…無情の雨でデータ採取もうまくいかなかったと思う。残念!


宇宙センターのある山を降りてくると、刈り取りの終わった田んぼが広がり、まるで秋のような光景。
行きに乗ったタクシーの運転手さんによると、種子島は日本で一番早い時期に稲の刈り取りを行って「超早場米」として大都市向けに出荷しているとのこと。
「秋まで待ってると、台風が来て田んぼが吹っ飛ばされますからねぇ。早めに刈っちゃうんですわ」ということらしい。


さて、僕はとりあえず明日の朝までに西之表の港に辿り着けばいいのだが、この道はどこに続いているのかな?
なんかさっきから、また山を登っているんだけど…


「おや?通信施設が見えるな」

結局、山道を上りきったところが南種子町上中の交差点で、坂道を歩き続けてすっかりくたびれてしまったので西之表行きの路線バスに乗ってしまった。

西之表に着くと、夕陽が海に沈んでいく

「…ったく、お天道様ときたら今頃出てきやがって」と悪態をつきたくもなるが、
穏やかな夕陽と夕焼け小焼けの海を見つめているといろいろあった今日一日のことがとても愛おしく思えてくる。

「まぁ…今日の事は、きっと一生忘れられない想い出になるだろうね。」


貨物フェリーも港を出て行きます。

そして、日が暮れたら…

西之表の商店街はホコ天になり、皆既日食記念のイベントがスタート!
駐車場に設えられたステージを観ていたが、アフリカの民俗舞踏のようなパフォーマンスを披露してくれた謎のアート集団オーケストラ(残念ながら名前失念しました)が圧巻!
ちょっと感動してしまいましたよ。


アーティスト日比野克彦さんによる、皆既日食をイメージした船「月丸」と「太陽丸」が夜の西之表の町を練り歩きます。





ステージには日比野克彦さん本人も登場。しかも、ステージに上がる直前まで僕の隣りに立って生ビール飲んでた茶髪に短パンのおっちゃんが日比野氏その人だった。
アーティスト日比野克彦、気さく過ぎ(笑)


祭りの締めは港での花火大会。
かくして、皆既日食2009@種子島は終了!

「皆さん、2035年9月2日にまたお会いしましょう!」
いや、マジメな話、次回の日本国内での皆既日食が見られるこの日は、
天燈茶房 TENDANCAFEに遊びに来て下さってる皆さんで一緒に皆既日食帯突撃ツアーを実行したいと考えています。
本気ですよ…日時が近付いてきたら、詳しい募集要項を発表します。
という訳で、その日まで気長に天燈茶房にお付き合い続けて下さいまし!

天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

おまけ画像:本日の種子島交通安全


「泣かすんな!」
ばきぃ、けなぁ・・・?

(´・ω・`)島の言葉は難しい。

ロケットの島に黒き太陽を追え!~種子島にて~皆既日食2009

2009-07-25 | 宇宙
2009年の天文イベントのクライマックスである、7月22日の皆既日食。
九州南部の海上に浮かぶ島々が日本国内での皆既日食帯となりますが、今回僕は種子島を選びました。
奇しくも日本の宇宙への入り口であるJAXA種子島宇宙センターがある種子島南端部分をかすめる様に、皆既日食帯の北端が通ります。
当日始発の高速船で島に乗り付け、皆既時刻までに皆既日食帯への突入を敢行しました。

悪天候に泣かされながらも精一杯、ロケット基地に黒い太陽を追った、2009年の夏の日の記録です。

2009(平成21)年7月22日

前日、仕事を終えてから、熊本県八代市の自宅(というか下宿)を出て肥薩おれんじ鉄道とJR鹿児島本線の普通列車を乗り継いで鹿児島中央駅へ向かった。
しかし、九州を南下するにつれて雨足が強まってくる…
鹿児島市天文館通りのインターネットカフェで仮眠を取り、夜が明けたら雨雲の垂れ込める海を渡り種子島・西之表港に上陸すると、横殴りの雨の中びしょ濡れになりながら、予約していたタクシーの運転手さんが桟橋で僕のネームカードを持って待っていてくれた。


「お客さん、本当に残念ですねぇ!よりによって今日のこの日に、こんな天気になってしまって…」
「ええ、全く…でも、とにかく予定通り南種子の宇宙センターまで行って下さい。行くだけ行きましょう!午前10時50分過ぎの皆既時刻までまだ1時間半もあるから、ひょっとしたら天候が回復するかもしれない」
まぁ奇跡でも起きない限り、この雨空が晴れるとは思えなかったが、萎えそうな自分自身を奮い立たせたくもあったので運転手さんにそう元気に告げて、一路種子島宇宙センターへとタクシーを走らせる!

雲の上の太陽は既に日食が始まって欠けつつある筈なのだが、もちろん地上からはその様子は全く窺い知ることは出来ない。

しかし、島南部に近付くと雨足が弱まり、空も徐々に明るくなってきた。
「お客さん、これはひょっとしたらひょっとするかも知れんですよ!」
「本当だ!せめて、薄雲越しに太陽の姿が見えてくれれば…」

宇宙センターの宇宙科学技術館前でタクシーを降りる。




雨はすっかり小降りになったので傘無しでも歩ける。
空も明るさを増してきたが、雲に切れ間が出来るほどではない。


見学者駐車場や芝生広場あたりは、宇宙センターで皆既日食を堪能しようとやって来た人たちで一杯だ。皆さん残念そうな顔で空を見上げている。
ここは人が多過ぎて落ち着かないので、一般開放されている竹崎射場の丘を越えて、H-IIAロケット発射場である大崎射場を望む波打ち際へと歩いて行く。

歩きながら空を仰ぐと…

あっ!雲越しに太陽が見えてる!!三日月型に欠けてるのが判るぞ!!
残念ながら、これが今回唯一見えた日食中の太陽となった。雲は再び厚くなり、小雨も降り続いている。


渚にて。
間もなく皆既時刻。
辺りが薄暗くなってきたのは、雲が厚くなってきたせいだけではないようだ。空自体が暗くなってきているのだ。


空がどんどん暗くなっていく。
「何だこれは…!闇が迫ってくる!!」

そして…


「低い空が赤く染まった!」

皆既日食が…来る!!


そしてついに、皆既。
渚は完全に闇に閉ざされた

その瞬間、僕が感じたのは話に聞く皆既日食の闇を体感できた歓喜の興奮ではなく、純粋な“恐怖心”だった。
「この暗闇は何なんだ!!夜の闇とも違う…まるで太陽が悪魔に奪われてしまったようだ!
怖い!!

…凡そ宇宙科学を信奉する自分の言葉とは思えないが、
本当に、そう感じたのです。

しかしその恐ろしい闇も束の間で、すぐに空に光が戻ってきた。




結局、黒い太陽もコロナの輝きも全く見えなかったが、皆既の暗闇を体感…というか皆既の暗闇の恐ろしさに恐怖し震えるという得難い経験をすることが出来たのだ。

「地球に月の影が落ちただけだと頭で理解している僕もあれだけ怖かったんだから、皆既日食を目の当たりにした古代の人は想像を絶する恐怖だったろうな。
日食を悪魔の仕業だと考えたのも無理はないよ(と言うか、僕もそう感じてしまったし)。
それだけ、普段当たり前に感じているお日様の光は明るくて暖かくて、有り難いものなんだなぁ!母なる太陽は偉大だよ!」

地上に突如現れる、宇宙の闇。皆既日食は僕に改めて宇宙の不思議さを教えてくれた。
「でも…やっぱりダイヤモンドリングが見たかったよ!次に日本で皆既日食が見える26年後には、何が何でも黒き太陽を見るぞー!それまでは、なんとしても生き延びてやるからな!」
皆既日食から今後の人生の意義まで与えてもらった僕は、雨上がりの山道を元気に歩いてJAXA種子島宇宙センターを後にした。
(→皆既日食無事終了!種子島の熱い夜に続く)