宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

巨星の複数惑星系を発見 (オーストラリアとの協力観測)

2013年01月04日 | 宇宙 space
くじら座の巨星に、2つの惑星が発見されました。

実はこの星、日本からは1年のうち半分しか観測できない位置にあるんですねー
なので、今回は日本とオーストラリアの協力観測によって、軌道が詳細に決定できました。






“HD 4732”の惑星系の軌道
(赤い実線)
真ん中の+印が恒星の位置
破線は太陽系における
地球、火星、木星の軌道



系外惑星を見つけた場所は、くじら座の方向約180光年かなたにある巨星“HD 4732”。
太陽の約1.7倍の質量と、約5倍の半径を持つ恒星です。

国立天文台岡山天体物理観測所では、この恒星を2004年から観測してきました。

そして、恒星の周囲を約1年周期で回る天体があることがわかったんですねー
さらに、外側を回る2つ目の天体が存在する可能性も見えてきました。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の協力により、もちろんオーストラリアでの観測も併せて行われています。

これにより、1つ目の惑星の軌道を、精密に決定することができたんですねー
そして、1つ目の軌道が分かったことで、2つ目の惑星の存在も確定的となり、約2700日の公転周期を持つことが分かってきました。

また、惑星の重力が生み出す恒星の動きのぶれから、惑星はそれぞれ少なくとも木星の約2.4倍の質量を持つことが…
さらに、惑星の軌道の安定性から、木星の約28倍未満であることも求められました。

惑星が重すぎると、重力の相互作用で軌道が不安定になるんですよねー
この結果、2つの天体は重くても、せいぜい褐色矮星程度、つまり恒星ではないことが分かりました。

複数惑星系には、惑星系の形成や進化の研究にとって、重要な情報が含まれています。
特に巨星で、複数惑星系が見つかった例は未だ少なく、今後の観測の進展が期待されています。

研究グループでは、今回成功した協力観測を引き続き推進し、複数惑星系を含むより多くの惑星系の発見を目指すようです。