宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

宇宙理論では存在するはずがない“クエーサー・クラスタ”を発見

2013年01月22日 | 宇宙 space
現代の宇宙理論では、存在するはずがないとされていた規模の超巨大な宇宙構造…
この宇宙構造“クエーサー・クラスター”が、新たな研究により発見されました。

今回の研究では、スローン・デジタル・サーベイのデータが用いられています。

世界各国の研究者からなるチームは、史上最大の“クエーサー・クラスター”を、地球から90億光年の距離に発見したんですねー
クエーサーは若い活動銀河の一種で、今回見つかったクラスターは直径40億光年もあります。





クエーサーの
エネルギー放出の様子
(イメージ図)



地球が属している天の川銀河は、直径がわずか10万光年、
さらに、天の川銀河が位置する“おとめ座超銀河団”でも、その大きさは1億光年程度です。

なので、今回見つかった“クエーサー・クラスター”が、どれほど大きいか分かりますよねー
この“クエーサー・クラスター”は、これまで知られていた中で、最も大きな宇宙構造となるようです。

クエーサーが場合によっては、
「直径7億光年以上という巨大なクラスターを形成する」ということは、
かねてから天文学者の間では知られていたようです。

でも今回見つかった、73個のクエーサーからなるクラスターの40億光年という巨大な直径は、天文学者を悩ませているんですねー

これは、現在の宇宙物理学のモデルでは、「宇宙構造の大きさの上限は12億光年を越えることはない。」と考えられているからです。
なので、今回の発見は、現在の認識に疑問を突きつけるものであり、謎が解決されるどころか、新たな謎が生まれたと言えます。

この巨大な宇宙構造の意義は、その記録破りの大きさだけにとどまらず、
私たちが属する天の川銀河をはじめとする、さまざまな銀河の進化過程を明らかにしてくれる可能性を持っているんですねー

高いエネルギーを放つクエーサーは、
宇宙の初期の段階で発生し、最大級の明るさとエネルギーを持つ天体です。
これは、大多数の銀河の進化の初期における、ごく短い時期の姿だと考えられています。

こうした巨大なクエーサー群は、
「現在の宇宙における超銀河群の先駆け的存在だったのではないか?」とする説もあります。
でも、両者の関係の正確な性質は、いまだに謎のままなんですねー

また今回の発見は、一義的にコンピュータによる、モデル化の研究対象ではあるのですが、望遠鏡を使った観察よってさらに綿密に検証される必要があるようです。

この構造は、ビッグバン以降に宇宙で形成された衝撃波に基づいた予想よりも大きいようで、
何らかのメカニズムが、クエーサーをこれほど大規模に、しかも短時間で集めている可能性が高いんですねー
そして、このメカニズムが、初期宇宙の状態に関連しているとも考えられていようです。