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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

小惑星“アポフィス” 地球の近くを通過

2013年01月16日 | 宇宙 space
2036年に地球に衝突する可能性が、わずかに残る小惑星があります。
その小惑星は“アポフィス”といい、1月の9日に地球から約1450万キロの距離を通過し、
赤外線天文衛星などにより、その軌道を精密に予測するための観測が行われました。

こうした天体は、発見当初は軌道が不確実なため、衝突の可能性がわずかにあるとされることがあります。
でも、何度か追観測を行って、軌道を精度よく絞り込んでいくと、そのうち確立がゼロであると分かるんですねー

“アポフィス”の場合、2029年の最接近時には地球表面から約3万キロの距離を通ることが、発見後の観測から分かっていました。
地球の直径が約12,700キロなので、かなり近くを通過することになります。

そして、2036年の最接近で衝突する可能性がわずかに残っていたのですが、
今回の接近の観測結果から、2036年の衝突の可能性もなくなるかもしれないんですねー

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線天文衛星“ハーシェル”も、最接近直前の1月5日~6日に“アポフィス”を観測しています。




天文衛星“ハーシェル”が
今回の接近で撮影した
“アポフィス”



2時間にわたって複数の赤外線波長で得たデータを、可視光観測と合わせたところ、
“アポフィス”の平均直径は、これまで推測された270±60メートルから、やや大きい325±15メートルに修正されました。

また、温度データから、天体表面の太陽光反射能も新たに見積もられています。
太陽光による温度の上昇も、長いスパンで軌道に影響するので、これも大事な要素なんですねー






“アポフィス”の軌道
323.5日周期で地球に近い
軌道を回る



これで、かつて地球への脅威として話題になった“アポフィス”が、今ではほぼ危険性がない小惑星になり、
今では、地球近傍小惑星を知るのに役立つ、興味深い小惑星になったということです。