宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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中性子星の回転ぶれを初観測?

2013年01月17日 | 宇宙 space
1秒に11回転する中性子星から、荷電粒子の超高速ジェットが噴出する様子がとらえられました。

その動きから、この天体が歳差運動(回転軸のぶれ)をしている可能性が指摘されていて、
このことは、中性子星をさらに理解するための、新たなヒントになるのかもしれません。

画像は“ほ座”の方向約1000光年かなたにある、中性子星パルサーから噴出するジェットの姿です。





直径約19キロの
“ほ座”のパルサーから
噴出すジェット
長さは0.7光年にもおよぶ




中性子星とは、太陽の約8~30倍の質量の恒星が、重力崩壊して爆発した後に残る超高密度天体のことです。
そのなかでも、高速自転にともなって放射が点滅(パルス)しているように見えるものは“パルサー天体”と呼ばれます。

“ほ座”のパルサーは、89ミリ秒周期(1秒で11回転以上)で自転していて、
自転軸方向に噴出する荷電粒子のジェットは、なんと光速の0.7倍という猛スピードです。

実は2003年にも、このジェットが短時間の動画でとらえられていました。
そして、2007年に同データを研究した結果、この天体が歳差運動をしている可能性が指摘されていたんですねー

歳差運動とは、天体の自転軸のぶれのことです。
地球も歳差運動をしていて、今は北極星(こぐま座のポラリス)を指す地球の自転軸も、長い年月のうちに別の星を指すようになります。

2010年6月~9月の再観測から、“ほ座”のパルサーが120日周期で歳差運動をしていて、それによりジェットがらせんを描いていると見られています。

歳差運動の原因として考えられるのは、中性子星が完全な球体ではなく、ほんのわずかに歪んでいること。
光速回転による内部の超流動体と外殻の相互作用で、一時的な加速自転が起こることがあります。
このパルサーも、それが歪みを生んでいるのかもしれないんですねー

また、歳差運動で生じたジェットのわずかなカーブが、周囲の強力な磁場によって増幅されている可能性もあるとか…

もし、この歳差運動が正式に確認されれば、中性子星としては初めての発見となります。
これは、高エネルギー現象によって生じるとされる、重力波の探査対象としても役立つかもしれないようです。