宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

初期宇宙の楕円銀河が小さい訳は?

2013年05月06日 | 宇宙 space
天の川銀の近くで見られる銀河には、おおまかに分けて2つの種類があります。
渦巻銀河の1つ“NGC 1309”

若い星を多く含み青っぽく見える渦巻銀河と、
そうした銀河が進化した後と考えられる、年老いた星からなる赤っぽい楕円銀河です。
楕円銀河の1つ“M87”

こうした分類は100億光年以上彼方の遠方宇宙、
つまり、はるか昔の宇宙においても、ほぼ当てはまるらしいということが、
ここ10年ほどの間に分かってきたのですが、大きな疑問も残っています。

それは、天の川銀河近くにある楕円銀河は一般的にサイズが大きく、
初期宇宙に見られる類似した銀河は、質量が同じくらいでも直径は5分の1ほどしかないことです。
同時代の渦巻銀河と比べても、かなり小さいんですねー

他の銀河との衝突などによって、銀河が質量を増せば大きさも増すはずです。
なので、渦巻銀河の「その後」の姿であるはずの楕円銀河が、小さく軽いのではつじつまが合わなくなります。

こうした遠方の銀河を、可視光線と赤外線でのサーベイ観測でとらえるCANDELSプロジェクトでは、およそ90~120億光年の間にある複数の銀河を調べたんですねー
今回調べられた遠方銀河の一部

星が次々と生まれるコンパクトな銀河の密度や質量、星形成の勢いを調べると、他の銀河との衝突で星形成が誘発されていることが分かりました。

これにより考えられるシナリオは、
初期宇宙では銀河衝突により星が活発に生まれる銀河は、
10億年ほど経てば星の材料となるガスが恒星となって使い果たされて、
やがて小さく縮んだ赤い銀河になるというもの。

一方で、爆発的な星形成を経ていない銀河は、その後大きく成長し星形成も広範囲で起こることになります。

初期宇宙では、このようにガスが使い果たされないと、
楕円銀河になっても大きさがそのままのこるんですねー