宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

現役最長寿の衛星が解明したもの

2013年10月02日 | 地球の観測
打ち上げから24年も経つのに、まだ現役の磁気圏観測衛星“あけぼの”。

この最長寿の衛星が、地球近辺の高放射領域“バンアレン帯”における、電子増加の条件を明らかにしました。 このことは、宇宙天気予報の新たな手がかりになるようです。





バンアレン帯の中で
観測する“あけぼの”
(イメージ図)




約400キロの高度を飛ぶ国際宇宙ステーション(ISS)の軌道から、
高度約3.6万キロにある衛星“ひまわり”などの静止衛星軌道までの間には、
エネルギーの高い電子“宇宙放射線”が大量に存在する領域“バンアレン帯”があります。

この“バンアレン帯”で電子の数が増えすぎると、気象衛星や放送衛星の障害が起こりやすくなり、
過去にはアメリカの通信衛星が障害を起こして、数か月間復旧しなかったこともあるんですねー

なので、この領域の電子が、いつどのくらい増えるのかを予測することは、人類が宇宙を安全に利用するするために重要なことになります。


これまでに太陽から噴き出すプラズマの嵐“太陽風”によって、“バンアレン帯”の電子が10倍から100倍以上に増えることは分かっていいました。

でも、“太陽風”が起これば必ず増加するというわけでなく、
どのようなメカニズムによって電子の数の変化が決まっているのかは、まだ分かっていないんですねー

今回、“あけぼの”などの長期間データを用いて、
地球にやってくる“太陽風”が、“バンアレン帯”に及ぼす影響を統計的に解析されました。

その結果、スピードの速い太陽風の中に南向きの磁場が含まれていると、数日間にわたって“コーラス”と呼ばれる宇宙の電波が強く発生しやすい状況になり、80%以上の確率で電子の数が増えることが分かりました。
バンアレン帯の電子の数が増える条件

そして、このような状態のときには、オーロラの活動も数日間にわたって活発になるんですねー

今回の成果は、24年間にわたって観測を続ける“あけぼの”の長期観測により得られたもので、
今後は宇宙天気予報の精度向上に貢献すると期待されています。

そして、2015年度には、さらに詳細なメカニズムの解明を目的とした衛星“ジオスペース”が、
イプシロンロケット2号機によって打ち上げられ、“あけぼの”のデータに基づいた観測計画を進めることになります。