明るい天体の光を利用した観測で、
星を活発に生み出す宇宙初期の銀河に、水素ガスが流れ込むのが初めてとらえられました。
ビッグバンの数分後に作られた始原ガスとされる重水素などの検出は、現在の銀河形成進化理論の大きな裏付けとなるようです。
銀河“Q1442-MD50”に流れ込むガス流と、
それを照らすクエーサー
“QSO J1444535+291905”(画像左下)の光(イメージ図)
現在の理論では、銀河は宇宙空間に充満する水素ガスから形成され、
成長してきたと考えられています。
100億光年以上彼方の銀河… つまり100億年以上前に存在した銀河は、
今の100倍以上もの勢いで、とても活発に星を生み出していたことが分かっているのですが、
こうした星形成活動のためには、星の材料となるガスの安定供給が必須になります。
近年のコンピュータシミュレーション研究からも、
銀河に流れ込む低温ガスの存在が推測されているので、
あとは実際の観測で確認したいのですが、銀河の縁に流れ込む希薄なガスの検出はひじょうに難しいんですねー
今回、マックスプランク天文研究所では、口径10メートルのケックⅠ望遠鏡などを用いた観測で、
ガスのシルエットをとらえることに成功しました。
この観測では、観測対象となる銀河越しに、
さらに遠くの桁外れに明るい天体“クエーサー”を利用しています。
この“クエーサー”から届く、ガスの中を通過した光を分析することで、
110億光年彼方の銀河から、わずか19万光年しか離れていないガスの組成や密度、温度を測定することができたんですねー
これには、光がガスの中を通過するときに、ガスの成分それぞれが特定の波長の光を吸収することを利用しています。
今回の結果で重要なのは、
水素の一種で通常より中性子1個分重い“重水素”が検出されたこと。
これは、ビッグバンで宇宙が誕生した数分後、水素やヘリウムといった宇宙で最初の元素が作られた時のものと考えられます。
向こう側にある“クエーサー”の光を頼りに、近傍宇宙のガスを検出した例は過去にあるのですが、
今回は、激しい星形成が行われる銀河で、ビッグバン直後に作られた始原ガスとはっきり分かるものが、初めて見つかっています。
今回の発見は、同様の手法で銀河間物質を探る大型サーベイ“エニグマ”の一環として、
ピックアップされた「クエーサーを背景とする銀河」わずか12個の中から得られたものです。
これはシミュレーション研究の予測とも一致する発見率で、検出されたようなガス流がきわめて普遍的なものであることを示しているんですねー
研究では、これまでの銀河形成進化理論のモデルを洗練させるため、同様のガス流をさらに10例ほど検出して調べるようです。
星を活発に生み出す宇宙初期の銀河に、水素ガスが流れ込むのが初めてとらえられました。
ビッグバンの数分後に作られた始原ガスとされる重水素などの検出は、現在の銀河形成進化理論の大きな裏付けとなるようです。
銀河“Q1442-MD50”に流れ込むガス流と、
それを照らすクエーサー
“QSO J1444535+291905”(画像左下)の光(イメージ図)
現在の理論では、銀河は宇宙空間に充満する水素ガスから形成され、
成長してきたと考えられています。
100億光年以上彼方の銀河… つまり100億年以上前に存在した銀河は、
今の100倍以上もの勢いで、とても活発に星を生み出していたことが分かっているのですが、
こうした星形成活動のためには、星の材料となるガスの安定供給が必須になります。
近年のコンピュータシミュレーション研究からも、
銀河に流れ込む低温ガスの存在が推測されているので、
あとは実際の観測で確認したいのですが、銀河の縁に流れ込む希薄なガスの検出はひじょうに難しいんですねー
今回、マックスプランク天文研究所では、口径10メートルのケックⅠ望遠鏡などを用いた観測で、
ガスのシルエットをとらえることに成功しました。
この観測では、観測対象となる銀河越しに、
さらに遠くの桁外れに明るい天体“クエーサー”を利用しています。
この“クエーサー”から届く、ガスの中を通過した光を分析することで、
110億光年彼方の銀河から、わずか19万光年しか離れていないガスの組成や密度、温度を測定することができたんですねー
これには、光がガスの中を通過するときに、ガスの成分それぞれが特定の波長の光を吸収することを利用しています。
今回の結果で重要なのは、
水素の一種で通常より中性子1個分重い“重水素”が検出されたこと。
これは、ビッグバンで宇宙が誕生した数分後、水素やヘリウムといった宇宙で最初の元素が作られた時のものと考えられます。
向こう側にある“クエーサー”の光を頼りに、近傍宇宙のガスを検出した例は過去にあるのですが、
今回は、激しい星形成が行われる銀河で、ビッグバン直後に作られた始原ガスとはっきり分かるものが、初めて見つかっています。
今回の発見は、同様の手法で銀河間物質を探る大型サーベイ“エニグマ”の一環として、
ピックアップされた「クエーサーを背景とする銀河」わずか12個の中から得られたものです。
これはシミュレーション研究の予測とも一致する発見率で、検出されたようなガス流がきわめて普遍的なものであることを示しているんですねー
研究では、これまでの銀河形成進化理論のモデルを洗練させるため、同様のガス流をさらに10例ほど検出して調べるようです。