宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

大マゼラン雲の中央部は、2億5000万年で一回転する?

2014年02月23日 | 宇宙 space
ハッブル宇宙望遠鏡を使った新たな計測手法で、
天の川銀河の隣にある矮小銀河“大マゼラン雲”の回転速度が正確に計測され、その中央部が2億5000万年で一回転していることが分かりました。

偶然にも、私たちの太陽系も天の川銀河の中心を、2億5000万年かけて一回りしているんですねー
“大マゼラン雲”の回転
矢印は、むこう700万年の動き
この研究では、17万光年離れた“大マゼラン雲”に存在する数百個の星のわずかな動きを、ハッブル宇宙望遠鏡を使い7年の歳月をかけて追っています。

“大マゼラン雲”の22の領域を選んで行われた観測で、使われたのはハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラと掃天観測用高性能カメラ。

個々の観測領域には、“大マゼラン雲”の中の星だけでなく、背景のはるか遠方に位置するクエーサーが含まれています。


これは、このクエーサーを固定した目印にして、“大マゼラン雲”の中の星の動きを調べるためなんですねー
画像に見られる矢印は、観測を元にして予測されたむこう700万年の動きになります。

これまで銀河の回転速度は、その光のスペクトルから分かる、遠近方向の動きをもとに測定されてきました。
でも、今回の高精度な観測で得られた見かけの動きと組み合わせることで、初めて立体的な動きを正確にとらえることができたんですねー

高解像度と画像安定性を持ち、さらに24年間もの間宇宙空間で観測を続けているハッブル宇宙望遠鏡は、このような観測を可能にする唯一の望遠鏡と言えます。

月面に人がいると想定すると、ハッブル宇宙望遠鏡ならその人の髪の毛が伸びる速度を明らかにすることができます。
今回の研究には、それほどの高精度が必須だったんですねー

これは、銀河までの距離が離れているので、星の見かけ上の動きが、とてもわずかなものになってしまうからです。

“大マゼラン雲”を夜空に浮かぶ時計に例えると、その時計の針は、2億5000万年かけて一回りしていることになります。

時計の針が動くことは分かっているのですが、その動きを正確に知るには、ハッブル宇宙望遠鏡による7年間に及ぶ観測が必要だったのっということです。