宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

放射性チタンから分かる、超新星爆発のメカニズム

2014年02月25日 | 宇宙 space
NASAのX線天文衛星“NuSTAR”による観測から、
超新星残骸“カシオペア座A”の、放射性チタンの分布が明らかになりました。
これにより、元になった超新星爆発がゆがんでいたことや、爆発の引き金となるメカニズムが分かってくるそうです。

太陽の8倍以上の質量の星は、その最期に超新星爆破を起こし、高温高密度の環境で元素同士が合体して、より重い元素が合成されます。

およそ1万光年彼方にある“カシオペア座A”は、わずか約350年前に起こった超新星爆発の残骸で、
中心に高密度な中性子星が、その周囲には放出された外層部分が残されています。

超新星爆発を起こす星の中心では、放射性のチタン44が合成されます。
なので、“カシオペア座A”でのチタン44の分布を“NuSTAR”を使って調べてみると、超新星爆発の非対称なようすが明らかになってきました。
X線で見た“カシオペア座A”“NuSTAR”が観測した
チタン44の分布が青色で示されている。
鉄(赤)と分布が異なるという興味深い結果も得られた。

恒星は巨大なガス球なので、きれいな球形を保ったまま爆発が広がっていくと思いますよねー

でも、今回の研究で爆発の中心が、ゆがんで変形していたことが分かってきました。
これは、おそらく爆発前の星の内部のぼこぼことした動きによるもののようです。

星の重力崩壊のようすをシミュレーションした、これまでの研究では、
衝撃波が失速して爆発しきれないケースが度々あり、疑問をなげかけていました。

今回の観測結果は、失速した衝撃波が星内部の動きで再び勢いづいて最終的に外層を吹き飛ばす、というシナリオを示唆しているんですねー


ただ、超新星爆発のメカニズムについては、
爆発直前に星が高速回転することで放出される、細いガスジェットが爆発の引き金になる という別の理論モデルもあります。

このガスジェットの痕跡が、以前この“カシオペア座A”から見つかっているのですが、
このガスジェットにあたる位置に、チタンは分布していませんでした。

なので、今回の爆発はジェットが引き金では無かったということになります。