宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

太陽の磁力線の可視化に成功。

2015年01月29日 | 太陽の観測
太陽の上層大気(コロナ)の中では、
プラズマ粒子と磁場との相互作用で、フレアなどの爆発現象が発生しています。

でも、コロナの磁場は弱く大気も不安定なので観測が難しく、
その計測については、太陽表面の磁場からの推定に留まっていました。

今回の研究では、
国立天文台野辺山の電波へリオグラフを用いた観測で、コロナの磁場を直接導き出すことを試みたんですねー

コロナ中のプラズマ粒子は、
磁力線を中心に円運動し、
それが電波の通りやすさのムラ(波の振動方向の偏り)を作ります。

電波へリオグラフでは、
太陽の爆発現象にともなう磁場ループ(ポストフレアループ)を観測し、
その円偏波データから、視線方向の磁場を求めています。

地球近傍にいる衛星“SDO”が、EUVで観測したポストフレアループの磁場。
赤の等高線は、電波へリオグラフで見た視線方向の磁場。

さらに、NASAの太陽観測衛星“SDO”や“STEREO”による極端紫外線(EUV)観測で、
同一のループの立体的な形状や向きを把握。

これらのデータを照らし合わせることで、コロナの磁場と方向の両方を導き出しました。

電波観測からコロナの磁場や、
その向きが同時に得られたのは今回が初めて。

今後、磁場の情報が不可欠なフレアなどの研究に役立つと期待されているんですねー

衛星“STEREO”が地球軌道上の異なる位置から違う角度で見た、
同上のポストフレアループ。