宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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スペースシャトルの後継機は?

2012年08月14日 | 宇宙 space
引退したスペースシャトルの後継機はどうなるのか?

NASAは後継機となる有人宇宙船の開発を、アメリカの民間3社に委託したんですねー
3社は2014年までに設計と試験を終えて、17年までに有人宇宙飛行を目指すことになります。

委託先は大手航空宇宙メーカーのボーイング社と、新興宇宙企業スペースX社、宇宙関連企業シエラネバダ社の3社です。

NASAはボーイング社に4億6000万ドル(約360億円)、スペースX社に4億4000万ドル(約350億円)、そしてシエラネバダ社に2億1250万ドル(約170億円)を提供します。

候補の宇宙船は、カプセル型の“CST-100”と“ドラゴン”、有翼型の“ドリームチェイサー”
これらを打ち上げるロケットは、“ファルコン”と“アトラスV”になります。

ボーイング社は“CST-100”、スペースX社は“ドラゴン”、シエラネバダ社は“ドリームチェイサー”を開発中なんですねー
“ボーイング社CST-100(Crew Space Transportation-100)”
ボーイング社“CST-100(Crew Space Transportation-100)”
“CST-100(Crew Space Transportation-100)”は、ボーイング社がビゲロー・エアロスペース社と共同でNASAに提案した宇宙船です。

想定される任務は国際宇宙ステーションや、ビゲロー社が検討中の商業用宇宙ステーションへ乗員を輸送することなんですねー

アトラスVやデルタIV、ファルコン9を含む様々なロケットに合うように設計されているのですが、当面はアトラスVでの打ち上げを予定しています。
スペースX社“ドラゴン”補給船
スペースX社“ドラゴン”補給船
“ドラゴン”はNASAの商業軌道輸送サービスの契約により、スペースX社が開発している宇宙船です。

国際宇宙ステーションへの物資補給を目的としていて、ファルコン9ロケットで打ち上げられます。

すでに今年の5月に無人で打ち上げられ、国際宇宙ステーションへの物資輸送に成功しているんですねー

商業的に開発され運用された宇宙船として、初めて大気圏に再突入し回収されました。
実運用に一番近い宇宙船かもしれません。
シエラネバダ社“ドリームチェイサー”
シエラネバダ社“ドリームチェイサー”
“ドリームチェイサー”はシエラネバダ社の子会社であるSpaceDev社によって開発中の宇宙船。

2人~7人の乗員を国際宇宙ステーションへ輸送し、帰還させるために計画されました。

スペースシャトルを小さくしたような機体なんですが、他の宇宙船と同じくロケットで打ち上げられます。

もちろん帰りは滑空して通常の滑走路に着陸するんですねー
アトラスVによる打ち上げが予定されています。

全マイルストーンの最後には、製造着手可否を判断する詳細設計審査会(CDR)があります。
ボーイング社とスペースX社はCDRに移行するのですが、シエラネバダ社はそこまで達していないんですねー

まぁー いずれは宇宙ステーションへの乗員と物資輸送に使われる事になるんでしょうね。
もう低軌道への飛行は民間に任せても大丈夫ということでしょー (^_^)

運用コストも民間の方が有利なので、NASAには地球外軌道への飛行で頑張って欲しいですねー

もっとも詳細な宇宙の立体地図を作る

2012年08月13日 | 宇宙 space
過去最大の規模を持つ、宇宙の3Dマップが作られました。









“SDSS-III”によりマッピングされた
銀河の数々




これは、“スローン・デジタル・スカイサーベイIII(SDSS-III)”というプロジェクトの、6年にもおよぶ最大の成果となるものなんですねー


もともとプロジェクトは、専用の光学望遠鏡によって全天の25%以上の範囲を観測するものでした。
範囲内に含まれる銀河やクエーサーの位置と明るさ、そして距離を精密に観測することで詳細な宇宙の地図を作り上げるのが目的でした。




第3段階となる“SDSS-III”では、もっとも遠いもので地球から120億光年先にある、100万に近い数の銀河の位置を特定しています。
マップを作るときには、数千の銀河それぞれまでの距離を同時に計測ができる分光装置も使われました。

現在行われている調査は、これまでで最大だった調査と比べても、データ量が3倍以上となる大規模なものです。
でも、目標になっている全天の25%の調査に対して、その3分の1しか終えていないんですねー

研究チームはこの3Dマップを使って、暗黒エネルギーの性質をより詳しく解き明かそうとしています。
暗黒エネルギーは、宇宙の加速的な膨張の原動力となっている未知の力のことです。

多くの銀河を3Dマップに描画することで、
暗黒エネルギーのおよぼす力が、「宇宙の歴史の中でどう変化してきたのか?」っという疑問を解くカギになるようです。

すでにSDSSチームは銀河団の距離を計測して、
これらのデータが「暗黒エネルギーを考慮に入れた宇宙構造モデルと整合している」ように見えることを確認しています。

研究チームは、個々の銀河が地球からどれだけ離れているのかを測定することで、数億光年の範囲に広がる複数の銀河団のマッピングに成功しています。

はるか遠方の銀河の光は、数十億年の時間をかけて地球に届くことになります。
なので、これほど詳細なデータが得られたということは、初期の宇宙の姿についても推測が可能になってきた事を意味するんですねー

宇宙が誕生して間もない頃には、後に銀河団を形成することになる物質の密度は不均質でした。
引力の働きにより、所々に物質が密集している部分があったんですねー
そして時が経つにつれ、宇宙空間の密度の高い部分と低い部分の差は広がり、現在のようなパターンになったようです。

このパターンは、ビッグバンの最初の瞬間に刻まれたものが、そのまま今にまで残っているのだとか…

SDSSプロジェクトの宇宙マップは、はるか昔に宇宙でなにが起こったのか? を知る地層のようなものなのかも知れませんね。

“マーズ・エクスプレス”による火星の湖と川の痕

2012年08月12日 | 火星の探査
先日、NASAの探査車“キュリオシティ”が無事に着陸した火星ですが、“マーズ・オデッセイ”や“オポチュニティ”などの探査機・探査車が今も活躍中なんですねー

欧州(ESA)の探査機“マーズ・エクスプレス”から届けられた最新画像には、過去に川や湖があったと思われる渓谷・盆地、天体の衝突で出来たクレーターなどが見られます。

これから地表の探査を始める“キュリオシティ”とは違った、火星を周回する探査機ならではの視点で火星の歴史をとらえています。

画像は“マーズ・エクスプレス”が幅440キロの“Ladon”盆地付近を4月に撮影したもの。

Ladon渓谷が盆地に切り込んでいるこの地域には、
かつて湖や川があったことを示す地形があり研究者の興味を引いているんですねー

2枚目の広域画像では、南側の高地から大量の水が流れていた痕がはっきりわかります。
これが渓谷となって、広大な“Ladon”盆地に流れ込んだようです。



この画像にも写っている“Holden”クレーターは、6日に“Gale”クレーターに着陸した“キュリオシティ”の着陸地の最終候補の1つにもなっていたんですねー

“マーズ・エクスプレス”とNASAの“マーズ・リコナサンス・オービター”によって、“Gale”クレーターでも過去に水があった痕跡が見つかっています。





この盆地の中にある“Sigli/Shambe”クレーターは、
2つのクレーターがつながったような幅16キロの地形で、ひび割れが多く見られます。





“マーズ・エクスプレス”のデータから
CG作成された“Sigli/Shambe”クレーター



このような楕円クレーターは、小惑星や彗星が浅い角度で衝突したときに作られるんですねー
周囲に見られる噴出物の模様は、衝突時に溶けた地下の氷の存在を示していると考えられています。
無数の小さなクレーターは、それより新しい衝突でできたようです。

5年前の超新星大爆発

2012年08月10日 | 宇宙 space
超大型望遠鏡VLTが6000万光年かなたの銀河“NGC 1187”の全貌を見事にとらえました。

銀河“NGC 1187”(画像下部の○部分が超新星“SN 2007Y”)

VLTはヨーロッパ南天天文台が、チリのパラナル天文台に建設した望遠鏡です。
口径8.2m望遠鏡4台の総称なんですねー

今回の画像には2007年に出現した超新星の名残りも見られます。

“NGC 1187”は“エリダヌス座”の方向ある銀河です。
地球から見てほぼ正面を向いているので、その構造がよく分かる美しい渦巻銀河なんですねー

大量のガスとチリを含んだ明るい渦状腕が数本見えていて、その中には星間ガスから生れた若い星が青い輝きを放っているのが見えます。

いっぽう銀河の中心には黄金色をしたバルジ(中心部のふくらみ)が見えます。
でも、この部分にあるのは古い星とガスとチリがほとんどなんですねー

バルジは球形よりやや棒状になっていて、腕部分のガスがこの棒構造を通るようです。
そして中心部に流れ込み星の誕生を促すと考えられています。

穏やかで変化がないように見えるこの銀河も、1982年と2007年の2度、超新星が現れたことがあります。
超新星は星の一生の最期に起こる大爆発で、始めはまばゆい光を放ち、その後は数週間から数ヵ月かけてゆっくりと消えていきます。

南アフリカのアマチュア天文家が発見した“SN 2007Y”は、約1年にわたって詳細な観測が行われた超新星です。
この画像は数年経過してから撮影されたのですが、超新星の光はまだ消えずに残っているんですねー

火星に着陸した後は? 火星探査車“キュリオシティ”

2012年08月08日 | 火星の探査




ミッションの目標着陸地点
“ゲール・クレーター”の楕円部分。

ゲール・クレーターの直径は154キロ
クレーターの底から“シャープ山”が
約5.5キロの高さでそびえています。

画像は3機の火星探査機のデータを
合成して作られています。



8月6日の午後2時31分
NASAの火星探査車“キュリオシティ”が、ゲイル・クレーターに無事着陸しました。

着陸までの“恐怖の7分間”は何事もなく、NASAは史上最も困難な火星着陸をやり遂げたことになります。







“キュリオシティ”の8基ある障害カメラ(Hazcams)の1台が
6日に撮影した写真。
正面に見えるのが“シャープ山”



これから生命の痕跡を探す2年間が始まるのですが、その前に機器の準備とウォームアップが必要なんですねー

基本システムが機能していれば、“キュリオシティ”の10個の科学装置とカメラが少しずつ展開して活動の準備に入ります。
この準備には数日間が必要なのですが、場合によっては数週間、数ヵ月かかることもあるとか…

ただ、5億6700万キロの長旅と綱渡りのような着陸で、電気と通信の重要システムがダメージを受けていないことは分かっているんですねー

通信は主に、火星を周回する探査機に中継され、ディープ・スペース・ネットワークを通して行われます。

ディープ・スペース・ネットワークは、地球の自転や位置などに関係なく、1年を通して探査機と交信できる通信ネットワークです。
通信局は、スペインのマドリード、オーストラリアのキャンベラ、アメリカのゴールドストーンと大陸をまたがって設置されています。

通信が確立されると今度は電気です。
“キュリオシティ”は熱源として二酸化プルトニウム238を4.8キロ搭載していて、
移動や操作、そして夜間の厳しい寒さをしのぐために使う電気をこれでまかないます。
なので、電力源の小型原子力バッテリーの状態を最優先で確認します。

この後は探査機の荷ほどきです。

まず、カメラが設置された“MastCam”が最大の高さまで伸ばされ、
次に天候と放射線のモニタリング装置、そして7メートル先にある岩を砕き、発生するガスを測定するレーザーとカメラのスイッチが入ります。

火星時間での10日目までに10個ある装置はすべて起動が済み、
30日目頃になってようやく、2メートルあるロボットアームのテストが行われます。

初めて火星の土をつかみ、“キュリオシティ”に2つあるサンプル分析装置の“SAM”と、鉱物化学分析装置の“CheMin”に運び込むことになっています。

地球からは直径130キロのゲイル・クレーターの壁と、クレーターの真ん中にそびえ立つ高さ5.5キロのシャープ山との関係から“キュリオシティ”の正確な位置を割り出します。

チェックが進み“キュリオシティ”のコントロールが徐々に拡大していくと、やっと移動になるんですねー


NASAの科学者チームは、“キュリオシティ”をどこに向かわせればイイのか、時間をかけた調査に値する土壌はどこにあるのかを検討することになります。

これが終われば、やっと“キュリオシティ”の2年間の旅が始まることになるんですねー