井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 」 ~物語の暴走~

2012-12-19 23:34:22 | Weblog
 劇場版4部作の第3弾です。

 テレビ東京で放映されたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」全26話を再構築して、映画4部作にするはずでしたが、第2弾の「破」からアニメ版とは違った物語の展開になり、アニメ版には出ていなかったキャラクターも登場しています。今回の「Q」はそれがさらに加速しています。

 前作で起きた「ニアサードインパクト」から14年経った世界が本作で描かれます。衛星軌道上の初号機と共に回収された碇シンジが14年後の世界で目を覚まします。そこは、父親のゲンドウたちのいる「ネルフ」と、葛城ミサトや赤木リツコやアスカ・ラングレーたちが作った反ネルフの組織「ヴィレ」が戦っていました……。シンジでなくても、観客も口あんぐりだったと思います。例によって、難解なエバ用語を多用していて、分かったんだか分からなかったんだかの世界観でした。(←いや、いつものことか。)

 この作品って基本的に思春期の心の闇(「自我とは」とか「対人関係はどうあればよいか」とか)を全世界(宇宙?)に拡大解釈して描いていると思うのですが、「Q」では渚カヲルの存在によって、シンジにとって心地よい世界(「自己愛」。極端に言えば「自慰」。とにかくミサトもゲンドウもアスカもシンジに対して冷たすぎます。)を表現したかったのかなと思いました。そして、消化不良のまま、予告編を見せられました。(←いや、いつものことか。)4部作の最後は「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 」。思わせぶりなタイトルです。「新」ではなくて何故に「シン」? 楽曲の反復記号→リフレイン→ルフラン→魂のルフラン?

 ストーリーはよく分からなかったのですが、何も考えずに戦闘シーンの迫力を味わうならいいかもしれません。なかなかにクオリティーが高い戦闘シーン続出です。


 ☆ 総合得点  71点 

 

映画「人生の特等席」 ~父娘関係の再生~

2012-12-19 22:44:36 | Weblog
 久々の映画鑑賞です。クリント・イーストウッド主演の、メジャー・リーグの老スカウトマンの物語です。


 粗筋は「goo映画」さんから引用します。
(引用ここから)
長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたガス・ロベル。伝説のスカウトマンとして知られる存在の彼だったが、年齢のせいで視力が弱ってきていた。それでも引退する素振りを微塵も見せない彼に、球団フロントは疑問を抱き始める。そんな苦しい立場のガスに救いの手を差し伸べたのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきたひとり娘のミッキーだった。ガスはスカウトマンの誇りをかけ、父娘二人で最後のスカウトの旅に出る。
(引用ここまで)

 私はクリント・イーストウッドの主演作や監督作はさほど見てきませんでした。自分が中高生の頃は「ダーティ・ハリー」のキャラハン刑事として、近年は「父親たちの星条旗」や「チェンジリング」等の社会派の監督というのが私にとってのイーストウッドです。

 この「人生の特等席」は全くひねりがない、ど直球勝負の父と娘の再生の物語です。父親に見放されたと思い込んで育ち、周りの人と壁をつくりがちなミッキー(エイミー・アダムス)が徐々に父親の愛情に気付き始める様子を感動的に描いています。最初、老いのために視力が衰えて自室で転んだり、車庫入れで車をガリガリこすったりしている父をどちらかというと義務感からちょっと手助けしてやろうと思い、スカウトの旅に同行した娘。しかし、最近のパソコンで野球選手のデータだけを収集してスカウトを進める風潮に反して、地方のリーグや学生野球の現場に出掛けて自分の目で選手を見、そして選手の動きを音で感じる父親の地道な姿勢に引かれていきます。また、娘が少女時代に性的ないたずらをされそうになったときに父親が救ってくれたこと、別居生活の訳などが語られ、2人のわだかまりがなくなり、二人三脚のスカウトの旅となっていきます。

 終盤、ガスがスカウトを見送ろうと言った強打者を球団がドラフト指名し、それに対抗してミッキーが世間の知らない剛腕の新人投手を見つけ出して対戦する場面はややご都合主義と感じましたが、非常に分かりやすく、肩の凝らないストーリーでよかったです。


 ☆総合得点  84点