普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

教育格差ほか(大丈夫?日本人の学力-2

2008-03-13 12:53:10 | 教育

   先日のブログで私ごとを書いたところ多くの方からご心配のコメントを頂きまして大変恐縮しております。
  お蔭さまで家内もなんとかすこしづつ落ち着いております。
  本当にありがとうございました。

 3月8日の夜、NHKで恒例の「日本の、これから」で「大丈夫ですか?日本人の学力」のタイトルで早稲田大学教授の榊原英資さん、東京大学大学院教授の佐藤 学さん、作家の「あさのあつこ」さん、有名な杉並区和田中学校校長の藤原和博さん、ローソン代表取締役の新浪剛史さんと、レギラーの三宅民夫さんと武内陶子さんの司会、それに市民40人と中学高校の生徒約7,8名を加えてのての討論会が行われた。
 そして、その中で特に印象に残ったものとして、11日は、[何故勉強をしなければならないか]と[携帯にはまる子]を取り上げた。

 今日はその残りの問題を纏めてみた。

[杉並区和田中学校の塾利用]
 杉並区の和田中学校での保護者の有志団体によりつくられた「和田中学校地域本部」主催による『夜スペ』と名付けた補習授業が2008年1月26日より実施されている。
ことに対して基本的には評価していた私に取って、非難が集中したのは意外だった。

主な批判と回答と問題点
・教育の機会均等に反する。
  回答:土曜日に授業に遅れた子に補習授業をしている。
  公立中学校でこれを土曜日補習授業に現役の教師とボランティアでやっているのは珍しいと思うが。
・塾講師でなくて何故現役の教師を投入しないのか。
  回答:教師の負担が大き過ぎる
・この様な良い方式があれば、民間企業だったら直ぐ真似するのに、何故和田中学校に限られているのか。(ローソンの新浪さん)
 回答:なし。
 私は教育委員会や各学校の校長にことなかれ主義と余り仕事を増やしたくない後ろ向きの考えが浸透しているのが原因だと思う。
 彼らは「ゆとり教育」の主旨に沿った、土曜日の現役教師による課外授業や補習授業さえまともの取り組んでいないのだ。
 詰まり彼らは学力低下している生徒より教師や教育委員会の方を向いているのだ。
 そしてこの番組の教育の機会不均等批判もその線に沿ったものだと思う。

 参照:和田中と地域を結ぶホームページ

    
杉並区立和田中学校 (Wikipedia) 

[教育格差と習熟度別授業]
 東大の佐藤さんは、先進国の中で社会格差の点で日本が最低レベルに近いことを上げこれが教育格差を産んでいると主張し、NHKも東大合格者の大部分がその父兄の収入の多い人達で占められていると資料を見せた。
 私は公立の中小学校でも教師は勉強ができなくても意欲のある生徒には、万難を排して且つ優先的に、それに応える義務があると思う。
 具体的に言えば、そう言う生徒全員が例えば100点満点で70点は少なくとも取れるようにすべきだ。
 そのためには習熟度別でも良いし、場合によれば補習授業もすべきだ。
 そしてそれを妨げるものがあればそれを一つづつ除いて行く努力をすべきだ。

教師が教育に専念出来ない原因と考えられる対策
1.その最大の者は教師の仕事が多過ぎることだ。
・教師の書くレポート多過ぎれば減らす→校長、教育委員会。
・モンスターペアレンツへの対応→教育委員会または専門の人に任せる。
・教科の取捨先選択と重点化→小学校の英語廃止、私の意見だが国語力の強化など
・教師作業の標準化と他教師のノウハウの交換、資料の共通化
・一般事務の合理化→事務員の採用、一般企業でやっている小集団活動による改善運動の推進
・部活動の範囲の縮小、重点化→学校の選択制度の採用
・面白おかしい授業と繰り返し計算など忍耐や辛抱のいる授業の採用のめりはりを付ける
2.地域や学校によって違うと思うがもう一つ大きいのは日教組所属している教師し所属そていない教師と価値感の統一→生徒の方を向いた授業だ。

優秀な生徒の希望者の育成
・優秀な生徒で希望者への問題集解答を中心とした特別教育
 優秀な生徒には(手間のかかる)特別な授業をしなくても判る筈だ。
・和田中学方式
・生徒が希望する特定のテーマの自主研究の援助
 これらを見て判るように、この殆どが下記に書く様に、当日殆ど議論されなかった日教組、校長、教育委員会や中央教育審議会が大きく関わっているのだ。

[番組で取り上げられなかった問題]
日教組とモンスターペアレンツ
 私はNHKの番組のタイトルを見て、最初に思ったのは、教育問題の根源に必ず介在する日教組の話は先ず絶対に出ないだろうと思ったが、その他に学校を悩ましている「モンスター・ペアレンツ」の言葉さえ全く出なかったのは意外だった。

教育委員会
 日教組全盛時代にその対応のため教師管理対策に特化したまま、すっかりお役所化してしまい、時世が変わって今では家庭教育により重点を置き、へんてこな父兄から教師を護らなければならないのに、その対応が全く出来ず、相変わらず学校と教師管理ばかり考えている教育委員会の言葉一つ出なかった。

・家庭の責任
 これについては、専業主婦と思われる人が、今の教育の基本的な問題は家庭の教育責任を忘れているとの熱弁に満場の拍手、特に意外にも生徒の殆どが拍手していたのに、全くこの問題(11日に書いた携帯に嵌まった子の親のあり方を含めて)について論議されなかった。
 NHKは学力向上に大きな影響を与えるこの問題に何故取り上げなかったのだろう。

[番組の出席者の選定]
 NHKのこの種の番組で目立つのは出席者の選定の問題だ。
 今度の問題でも、気がついたのは質問に対する出席者の回答がほぼ均衡しているのに、携帯による一般の人達の回答に大きな差が出ていることだ。
 そして、私から言わせれば出席者より一般回答者の意見の方が遥かに健全のように見えるのだが。
 これをNHKの側に立って言えば、なるべく多くの考えの人達の討論で、NHKの提示した問題点を多方面から考えさせようと言うのだろう。
 然し、この報道で、国民をミスリードしている危険性を考えたことがあるだろうか。
 例えば昨日の「携帯に嵌まった子」やそれを甘やかせるだけの親を無批判のまま見せられたた生徒達の何人かは、携帯やゲームに熱中して勉強をさぼる仲間やそんな優しい親もいるのだと心強く思った生徒もいたに違いない。
 そして、この拮抗する論議を見た生徒の中には、自分達が勉強したくないのは学校や先生が悪いのだと自己弁護の種を見つけた人達もいるのではないか。
 本当は一般の聴取者からの意見のように、多くの人達が健全な考えを持っているのに。

 出席者選定では特にゲスト出演者にNHKの傾向がもっと強く現れている。
 今回の出演者のなかで「あさのあつこ」さんなど全く知らなかった。
  Wikipedia のあさのあつこ
さんの人物評では、
 毎日新聞のインタビューに「(美作市に)住んでいて、憤りを感じるんです。繁栄に取り残されているというか、景気が上向いたなんてどこの話? って」「中央や絶対の権力に抗いたい気持ちが私にはある。それは彼の大人への抗いに通じます」などと応え、地方在住者としての中央や大都市への強烈な反撥を隠さない。
とある。
 彼女の選定はNHKに良く出る、政府に批判的な金子勝
さんと同じ流れの選定だが、NHKはどうして、そしてどこから彼女を探して来たのだろう。
 その様なゲスト出演者と、一般の参加者の中で、一般にリベラルと見られている榊原英資さんなど出席者の中では一番右翼的な発言をしているように見えた。

 私は、時々はNHKも思い切って、「たかじんのそこまで言って委員会」レギュラーの三宅久之さん、宮崎哲弥さん、勝谷誠彦さんなど歯に衣を着せぬ人達と、日教組の役員を呼んで教育問題を論議させたら、その問題の本質の一端が明らかになるのではないかと思うのだが、NHK(民放も多分同じ)や日教組のやり方を見ておれば所詮夢に終わるのは間違いないのが残念だ。

参照:カテゴリー →教育問題
               教育改革、ゆとり教育

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