普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

円高95円が意味するもの

2008-03-19 06:54:14 | 国際社会

3月17日の読売新聞によれば、
 週明け17日の東京株式市場は、米金融機関の信用不安や急激な円高の進行を受け、株価はほぼ全面安となった。
 日経平均株価の終値は約2年7か月ぶりに1万2000円を割り込んだ。株価はアジアの主要市場でも軒並み下落し、欧州市場も下落で始まるなど、世界的な株安が続いている。
 東京市場では「他の金融機関にも経営悪化が広がるのではないか」(大手証券)との懸念が広がり、東京外国為替市場では円買い・ドル売りが加速して、円相場は一時、1ドル=95円77銭まで上昇、約12年7か月ぶりに95円台に突入した。
 円相場は午後5時、前週末比、2円91銭円高・ドル安の1ドル=97円36銭~39銭で大方の取引を終えた。市場では「米金融当局の対策は一時的な効果しかなく、ドル買いの材料にはなりにくい」(都市銀行)と、一層の円高、株安への警戒が続いている。
と報じている。

 私は1ドル=95円の意味するものを私なりに纏めてみた。
 勿論、経済は素人の私が書くのだから殆どが新聞、テレビや Web上の資料の受け売りが大半だが、特異な報道や資料(青字)についてのみ出所と私の意見を( )内に付記した。

[米国と世界の抱える問題]
懸念材料
・サブプライムローン問題が収束する気配がみえない。
・米国の銀行は新たな融資に慎重になり、住宅だけでなく、自動車も、消費のローンも審査が厳しくなっている。
・国内経済を支えてきた消費が落ち込み始め、企業の設備投資を抑え雇用を見合せなど、経済活動が萎縮し、景気後退が現実のものとなりそうな気配だ。
・景気対策ので金利を下げると、これがドル安を招きインフレの心配も生じるなど、八方ふさがりで不安が不安を呼んでいる。

世界的なドル離れ
・米通貨当局をさらに悩ませるのが、ユーロの普及とその価値の安定だ。
 中東産油国や中国などは外貨準備のなかのドル建て資産の比率を下げユーロ建て比率を上げている。
 各国外貨準備に占めるユーロの比率は約25%まで高まった。
・長い目で見た場合、ドルは最盛期を過ぎつつあるのかもしれない。

資金の流れの変化
・サブプライム・ローンのバブルが破裂→ドル売りの結果、世界中を巡り巡っているお金の流れに大きな変化が生じ、石油、金、食糧への投機に向かっている。

[日本の抱える問題]
今までの経過
・日本の超低金利政策で内外の投資家は、日本で借金してドルに代え、外国の企業や金融資産に投資してきた。
 (バブル崩壊で日本経済建て直しのための超低金利政策を取ったのに、日本の銀行はそれを企業へ廻さずに内外の投資家たちに廻し、彼らはそれをサブプライムローン関連の投資につぎ込んだ所謂「円キャリー」だ。)
・米国が政策金利を下げ、日本との金利差が縮小して投資の魅力が薄くなった上、世界中の金融市場が混乱する中、投資の動き自体細ってきた。
・3月は決算の月で、元々、輸出業者は手にしたドルの代金を円に代える金額も多く、この分も円高を進める形となっている。
・円高の結果株価が大きく値下がりしている。
 日本経済の輸出依存の体質→円高による企業利益の減少→株が売らる

日本のこれから(マイナス面)
・米景気の減速と円高のダブルパンチ→輸出企業の収益を直撃→企業業績の低下→個人の消費の減少に繋がりかねない。
・日本が為替市場介入でドルを買い支えようとしても、米国が中国当局のドル買い・元売りを批判している手前、政治的な困難がつきまとう。(日経)
 (この様な危機でも日本は米国の思惑を気にしなくてはならないのか。)
・日銀総裁人事での混乱は、投機筋の格好の材料となる。
・今起きているのは金融バブルの崩壊で、日本の経験から見ても、後始末には大変な時間と労力が必要だが、これはあくまでも米国頼みだ。

日本のこれから(プラス面)
・今までの円安傾向で企業は体力を付けている。
・市場の勢いから、もう少し円高になるかも知れないが、このまま一本調子で円高が進むことはないというのが大方の見方だ。

日本のこれから(プラスとマイナスの両面)
・円高になれば、海外から調達する原油や資源、食料などは、これまでより、割安な値段で買えるようになるが、原油や食糧などその影響する範囲とその価格の上昇幅が大きいため、円高メリットは限定的だ。
・円高は対ドルに対してだけであり、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、元、ウォンなどに対しては円安の傾向で安定している。
 これは円高になっても円は替われていないことを示している。
・この傾向は日本が危機状態→政治の停滞→日本の信用低下していることを示している。(日テレのミヤネ屋の解説者) 
(プラス面)
 企業によっては輸出先が中国など米国以外の国にシフトして来た会社もあるので一昔のような円高による打撃をまともに受けない。
(マイナス面)
 今回の円高はドル売りによるものだが、その金が日本買いに繋がっていない。
 むしろ日本の株売り→日本の株価の急落に繋がっている。(日テレ  
参照:
   NHKの時論公論 

   読売社説
   産経社説
   日経社説

[私の意見]
米国との関係の見直し

・私は昨年から米国経済の変調に対して、いざとなって慌てない様に、シンクタンクなど設立して、米国との関係の見直しなどの対策を考えるべきだと一昨年の8月から何度か書いてきた。
 そして残念ながら私の素人考えが当たりそうな気配だ。
 政府は今のところそれ所ではないだろうが、落ち着いた時点で再度日本の世界における立場の見直しと米国の連携のあり方について、考え直す必要があると思う。
参照:
 その場凌ぎの政治から抜け出すために 

 米国との関係の見直し 
 石油問題と米国との関係の見直し  
 日本経済と社会問題の見直し 

日銀総裁後継問題
 日本ではこの様な経済の重大な分岐点に立っている今でも、予算関連の法案さえ通りそうにもないし、日銀総裁の後任も決まらずに空白になりそうな情勢だ。(3月19日9時現在)

 民主党は反対ばかり言わずに適任者をこっそり政府関係者に推薦する位のことは出来ないのだろうか。(もっとも反対はしても実行不可能な対案を出さない今までのやり方から考えるとこれも出来ないのかな?)
   今日の「みのもんた」さんのニュース番組でも菅さんがみのさんから誰が良いかと問われても、返事しなかった。
   または出来なかったのか、また出来てもそれが政府に洩れて、政府提案に党として賛成に廻らねばならぬことを恐れたのか。

 民主党にもし対案がないのなら、日本の信用を保持するためには、参院本会議で日銀後任人事に関しては、棄権、党議拘束を掛けないなど政治的決断などすべきだと思う。

 3月18日の読売新聞の世論調査では、内閣支持率も34%と下がった。
  これは福田さんが自民党内の道路族をコントロール出来ないこと、民主党からつつかれて動くことはあっても、福田さん自身の発意で動くことは殆どないことなどに因るのだろう。
   日銀人事問題で言えば舞台裏での調整ができない福田さん、自民党、民主党とも困ったものだ。

  民主党の支持率も前回より 2.4%減の17.6%に低下した。
  そして日銀総裁人事の民主党の対応を評価しない人が59%にも達した。
  民主党は政権奪還しか眼が向いてないと国民から見られているのがこの数字になったのだろう。

  自民党、民主党とも相手ばかり見ないで、来るべき選挙に備えて国民の方へもっと眼をむけるべきだと思う。

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