9月20日付けの読売新聞で、東大の御厨貴教授の「菅VS小沢 代表選」「民主に300議席の呪縛」と題するコラムを見ました。
その内容は必ずしも全面的に賛成とは言えませんがその一部に参考になると思われる記述がありましたのでその部分を紹介し私の意見を纏めてみました。
菅改造改革の出現を見て政治の不可逆的な方向性が固まったと感じたた。
それは政権交代の意義の確定である。
二大政党が競ったあげくの政権交代の意義は昨年9月の段階では明確にされずじまいだった。
確かに自民党政権から民主党政権への交代は、国民の熱狂的な変化への願望が決定的ななる中で行われた。
それを多くのメディアが支持し、先導さえした。 (後記参照)
国家権力の担い手が代われば当然政治の何かが変わるとの思うは、信仰に近いものがあった。
国民の一人一人の閉塞感を打破してくれる「打ち出の小槌」は「政権交代」だった。
しかし「小槌一ふり、300議席はいくら何でも取りすぎだ。身動きがとれなくなると、どうして民主党は思わなかったのか」。 (民主党の立場から見て正確に言えば「取り過ぎた」のでなく「取れ過ぎた」のです。後記参照)
小泉時代の郵政解散の結果の300議席が自民党大敗の始まりだったことを民主党は知っていた筈ではないか。
後継者の安倍首相は300議席に振り回され参院選で過半数割れの敗北。 (私は安倍さんへ小泉改革の継承でなくて見直しか脱却とすべきと投書したのですが。筆者の言うように300議席を利用して国民投票法や教育基本法など通過に力を費やし、小沢さんから改革に伴う地方の疲弊など小泉改革の負の部分を突かれました。)
最後の麻生首相は総選挙へのカウントダウンが唱えられ大敗。 (後記参照)
衆議院の300議席と参議院の過半数割れが自民党を与党の座から追い落とした。
その立役者の小沢一郎はその余勢をかって、民主党政権に君臨し、参院選での飽くなき勝利を夢見た結果、隘路に陥ってしまった。
かくて小沢は、与党民主党の絶対化と自民党のさらなる弱体化の方策を駆使し続けた。(私は小沢さんの不人気はその「政治と金」の問題だけでなく、筆者の指摘したように衆院選後の党利党略見え見えのやり方にもあると思っています。)
要は政権交代以来一年、民衆はその意義を明確にできぬまま、民主党は言わば烏合の衆と化して政治をバラバラに拡散する方向にに突き進んでしまった。
(鳩山さんと小沢さんの間で右往左往する民主党政権の概要)
(脱小沢を唱える)菅内閣は民主党小沢派と自民党に対してきちんと政策協議を尽くすことが望まれる。
ここで政権交代の意義が明確になった。一党連続支配の打破はもとより、常に与党内で、そして与野党間で政策の枠組みと内容を討議し協議する政治の在り方を定着させることである。
与野党間で政策の枠組みと内容を討議し協議する政治のあり方を定着させることである。そのために障害物競走のように押し寄せてくる選挙の数をできる限り減らし、衆・参で選挙の意味を各々確定すればよい。少なくとも政権交代は、衆院選に限ることにしたらどうか。
かってのリベラル・ジャーナリストの馬場は戦前の憲法でさえ衆院選の結果に基づく政権交代を訴えた。
そうならなかった歴史を振り返り「憲政の常道」を今こそ期したいものだ。
同時に衆議院与党300議席が、国会や内閣はおろか国民にも幸せをもたらさぬ歴史をその際しっかりかみしめるべきであろう
[私の感想]
・御厨さんの政権交代論は私の主張と同じですし、その論旨も何となく判るような気もしますが何となく引っ掛かるところも幾つかあります。
・その中で一番気になるのは、「同時に衆議院与党300議席が、国会や内閣はおろか国民にも幸せをもたらさぬ歴史をその際しっかりかみしめるべきであろう。」の表現で判るように、日本語の特徴で主語が省略さいれているため、衆院300議席を取ったのは安倍さんから麻生さん、鳩山さん、菅さんと、民主党の責任と言わんばかりの書き方になっていることです。
然し事実は小泉さんも民主党も単なる偶然で300議席を取ったのに過ぎずに、当事者自身が大勝に驚いていたそうですし、最近の衆院選直後の世論調査で国民の半数以上が、民主党を大勝させ過ぎたと感じていたのです。
御厨さんは、小泉さん以下の自民党の首相も鳩山さん、小沢さんも菅さんも300議席を持つ危険性を感じて仕事をすべきだと言うことを中心に書けば良かったのに、そうで無かったから論旨がぼやけているのだと思いすま。
この責任に就いては、御厨さんがはっきりと指摘すべきなのは、政権与党の300議席の対処のしかたと、国民と、彼自身が「自民党政権から民主党政権への交代は、国民の熱狂的な変化への願望をそれを多くのメディアが支持し、先導さえした。」と言っているように、マスコミ、特にテレビの責任です。
小泉さんの刺客派遣などのやり方に乗せられた選挙中のテレビの小泉さんへの一方的な放送、前回の参院選中の赤城さんの絆創膏報道、筆者も少し触れている衆院選前の麻生内閣への猛烈な批判キャンペーンを見て下さい。 (安倍さんから麻生さんまでのマスコミの報道と鳩山さんから菅さんまでに対するの報道姿勢の大きな違いは誰でも知っていることです。麻生さんの発言の振れと鳩山さんのそれの重大さに対するマスコミの追及姿勢の違いなどがその適例です。)
私は端的に言えば御厨さんが一番指摘し批判しなければならないのは政権与党とマスコミ、特にテレビにあると思うのですが。
何故ならマスコミの報道がもし公平、公正なら国民が後で反省するように、300議席獲得と言う大きな振れは起こらないと思うからです。
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