ものづくり大国の危機
昨日の読売新聞で表記の解説記事を出しています。
・製造業傑作総崩れ
・技術の優位性に陰り
・商品開発米韓に送れ
・リストラ、地域経済に打撃
などのタイトルが並んでいます。
・主要製造業のリストラ計画として
NEC:国内外1万人削減
TDK:国内外の約1万000人の15%削減
リコー:13年度までに約1万人削減
日本板ガラス:世界の3万6000人の1割削減
などがならんでいます。
ものづくり大国の危機の理由として
・歴史的な円高
・タイの洪水
・ものづくりの基盤の揺るぎ
を挙げています。
たまたま週刊現代に「全国民必読・これからの日本を考えるヒント」と言う記事が載っていましたので、同誌の前向きの提案部分を拾って考えて見ました。
・日本株式会社
私の現役の頃は経済の成長期で当時の通産省の指導のもとで企業の大型化が進められていました。
企業では終身雇用性に基づく企業への忠誠心と、当時米国から導入された品質管理方式を組み合わせと、自主管理活動や改善活動が進められて居ました。
企業は競争力も確保のために労働組合の存在で、産業手当ての削減が出来ないブルーカラーの合理化を進めてきました。
それが自動車や時計・カメラとうの他種類な部品からなる機械は改善活動のお蔭で世界で主要な地位を築いてきました。
・首を捻る企業経営者
私はたまたま海外出張のために本社に始めて行き、海外の仕事を通じて、本社の重役たちのある程度の知識を得る事が出来ました。
その一例です。
出張していた海外の工場でトラブルが発生しプラントが停止した。
丁度都合の悪いときに本社の副社長が視察がありましたが、同プラントに派遣されていた重役はそのプロセスの開発から当たっている人で、その他の日本人の社員は工場が出来て他の工場からの出張者ばかりだったので、同重役は副社長の出迎えを他の日本人に依頼し、自らトラブルの処理に当たった。
その結果は同重役は職を解かれて帰国後閑職に廻された。
私は個人的に副社長が庶民的ど気さくな人だと知っていたので、なおさら首を捻ったことを覚えています。
その後スカイライン・ブルーバードなど当時の名車を作っていた日産自動車の本社で内紛が起こり業績が悪化し、遂にルノーのカルロス・ゴーンさんが来て何とか立ち直りました。
私はこれらのことから、技術者は技術、販売は販売など一本槍で来て、始めて経営にだずさわるサラリーマン重役の問題点に気づき、重役候補生のサラリーマンは、米国のようにMBAで経営者としての勉強をすべきだと書いて来ました。
・小泉改革・中国の台頭・日本の貧困化
そして小泉さんの登場です。
彼は悪評高い米国の年次計画要望書にしたがって、規制緩和を進め、後は企業責任として、米国流の市場経済一本槍を進めて来ました。
この流れに乗って日本の企業経営者は米国流の成果主義を取り入れました。
私はその導入は日本経済発展の原動力となったチームワークを壊すものだと反対して来ました。
その頃は日本のバブルの後の事でしたが、まだ日本はかなりの経済成長を続けていましたが、小平さんの政策変更で中国が次第に力を付けて来ました。
それと共に企業の競争力の低下→非正規社員の増加→日本の貧困化が始まりました。
私は経費で処理される非正規社員を人間として取り扱って、その提案を正規社員と同じに取り上げていたら、思いもよらぬ製品の開発に繋がったかもと思うのですが。
・日本株式会社化の必要性
私は大きな領土と膨大な人口を手放さない中国・インド・米国などとの市場経済一本槍ではハンデが有り過ぎる、そのためには日本の成長期に欧米諸国から批判された、政・財・学・官一体の日本株式会社化しか日本の生き残る道はないと書いてきました。
・無能な企業経営者
そして麻生政権時代のリーマンショック。
企業は前に書いたように残業手当を支払わなくて済むホワイトカラーの大量のリストラを進めて来ました。
その頃です。リストラされた人、早期退職した人達の韓国・中国行き。親会社が子会社の設計図を提出させ、それを海外の関係会社に流し、日本の技術の流出だと騒がれ、日本の技術の伝承はどうなるかと大企業が批判されたのは。
そして今韓国は財政上の問題はあるそうですが、韓国株式会社として一応の成功を納め日本経済にも影響を及ぼしています。
もし日本株式会社化の思想が政府や企業にあれば、日本の技術防衛のためやれることはいくらでもあったのに、まだ日本全体としてグローバル化でいたしかたないで済まされたようです。
また日本として企業経営者の育成も行われていれば、そして日本の経営の良い所がまもられておれば、「ものづくり大国の危機」も幾らかは軽減できたのに。
・週刊現代の意見
以下は週刊現代の記述です。 (括弧内は私の意見と共通すること)
・日本が抱える諸問題を掘り下げていくと、底の底で、いつもコツンとぶつかる大岩がある。経営トップ、政治家、官僚・・・・・・大岩の正体は「人材不足だ」 (経営者の育成・日本株式会社化)
・ソニー経営者も数字を見るだけの合理主義者とは違い、人間性を深める自己研鑽を続け、従業員のお手本になっていた。その中から、多くの画期的な商品も生み出された。日本は、いまさら高い成長を望んでも無理。企業は原点に立ち返り、経営の質を見つめ、内面的充実を目指すべき。 (経営者の育成・日本株式会社化)
・「特にモーレツ社員として日本の高度成長を支えた中間管理職に元気がない。企業から使い捨てられ、生活の安定も担保できないから、イエスマンの官僚みたいな人ばかりが増えている。だから変わり種社員も生まれないし、イノベーションも起こらない。ますます企業は業績を悪化させて自信を失う「負のスパイラル」に陥っている。 (経営者の育成)
・世界の松下電器を作った松下幸之助のような人物は生まれなくなった。そして『お天道様に見られても恥ずかしくない生き方をしよう』という日本人本来の美徳や職業への矜持といったものも失われていった」 (経営者の育成)
・秋田県秋田市にある国際教養大学学長の中嶋嶺雄氏が言う。うちの大学では新渡戸稲造の『武士道』や斎藤茂吉の『万葉秀歌』などを必読書として学生に読ませたり、9月の入学前に学生自らが課題を設定して、自主的にボランティア活動などをやらなければいけないギャップイヤー制度を設けたりしている。 (経営者の育成、「日本の品格」の著者で数学者の藤原正彦さんも技術者も技術以外の本を読めと言っています)・文部科学省が教養課程削減の方針を採ったのが約20年前のこと。同じ時期から日本が「失われた20年」に突入したのは〝偶然の一致〟ではない。 (経営者の育成・日本株式会社化)
・「日本の失敗は、衰退産業を補助金や助成金で温存することで、カネやモノだけでなくヒトを最先端の産業にシフトさせなかったことにある。 (日本株式会社化)
・日本国内で、これと同じことをリタイアした高齢者や成功したビジネスマンが行えば、日本は活性化する。
・中嶋氏:「外国の優秀な政治家や経営者は文学を読み、哲学を学び、音楽や芸術にまで幅広く関心を持つ。そのうえで天下国家を論じるから、スケールの大きい仕事も成し遂げられる。日本にはこうしたパイオニアとなる人材がたくさんいた。みな天下国家を引っ張っていこうという気概に溢れていた。こうした精神を再び広めていくためにも、教養を学び直すことから始めたらどうだろうか」
・日本のサラリーマンは引退して年金をもらって過ごすのではなく、こうした形で『新しく働く』という選択をして欲しい」 (私も何度か高齢者も働こう書いてきました。)
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。
↓
政治・人気ブログランキングへ
FC2政治ブログへ
*注記:週刊現代の前向きの提案の部分
・元ソニー上席常務の天外伺朗氏:「ソニーの設立趣意書には『自由闊達にして愉快なる理想工場』という一節があり、創業期には、従業員がハッピーで夢中になって仕事に取り組む『フロー状態』が大切にされた。経営者も数字を見るだけの合理主義者とは違い、人間性を深める自己研鑽を続け、従業員のお手本になっていた。その中から、多くの画期的な商品も生み出された。日本は、いまさら高い成長を望んでも無理。企業は原点に立ち返り、経営の質を見つめ、内面的充実を目指すべきです」
・会計士・税理士・医師でなどのホワイトカラー層の仕事がコンピュータに奪われる事態は、日本でも今後本格化する
・京都大学名誉教授の竹内洋氏:「特にモーレツ社員として日本の高度成長を支えた中間管理職に元気がない。企業から使い捨てられ、生活の安定も担保できないから、イエスマンの官僚みたいな人ばかりが増えている。企業トップも『外れた奇人変人社員』を減点方式で一括評価するから、これが一層社員を縮こまらせている」
だから変わり種社員も生まれないし、イノベーションも起こらない。ますます企業は業績を悪化させて自信を失う「負のスパイラル」に陥っている。
・元伊藤忠の社長の丹羽宇一郎氏は、責任を部下に押し付けることもしない。目を『次』に向けてすぐに走り出す。そんな器の大きい人物が、いまの日本企業を見渡してもいなくなった」
・小学校を中退して裸一貫、町工場から世界の松下電器を作った松下幸之助のような人物は生まれなくなった。そして『お天道様に見られても恥ずかしくない生き方をしよう』という日本人本来の美徳や職業への矜持といったものも失われていった」
・日本が抱える諸問題を掘り下げていくと、底の底で、いつもコツンとぶつかる大岩がある。責任逃れに終始する経営トップ、国民に痛みを強いるだけで何も決められない政治家と官僚・・・・・・大岩の正体は「人材不足という悩み」にほかならない。
・そんな時代にあって世界で通用する人材を次々と世に出す大学がある。
卒業生の就職率は「100%」。進路を見ても米大手証券モルガン・スタンレーから、イギリスのブレア政権時代にその思想的支柱を担ったロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院までと幅広い。
秋田県秋田市にある国際教養大学。ここに「日本復興」のヒントがある。同大学学長の中嶋嶺雄氏が言う。
「就職に強いのは全学生に1年間の留学を義務付けたり、徹底した英語教育を行っているためだと思われがちだが、それは違う。英語が話せるだけの人間では、社会に出ても通用しない。大切なのは教養です。
うちの大学では新渡戸稲造の『武士道』や斎藤茂吉の『万葉秀歌』などを必読書として学生に読ませたり、9月の入学前に学生自らが課題を設定して、自主的にボランティア活動などをやらなければいけないギャップイヤー制度を設けたりしている。
こういう経験を通じて初めて、日本語でも英語でも自分の言葉で『語れる内容』が生まれてくる。米アップルが急成長したのも、スティーブ・ジョブズが『科学技術が発達する時代ほど、人間の原点、つまりは教養教育が必要だ』と説く精神があったからだと思う」
付け焼き刃で社内公用語を英語化する経営者や、本業も疎かに早々に会社を出て資格試験を受けるサラリーマンには耳が痛い言葉だろう。中嶋氏が続ける。
「英語というのは教養を得る前提でしかない。新渡戸稲造や岡倉天心が10歳とか11歳とかで創成期の東京外国語学校に通って英語を学んだのも、外国の教養知識を貪欲に吸収したかったから。手段と目的をはき違えていくら努力をしても、世界で通用する人材にはなれない」
文部科学省が教養課程削減の方針を採ったのが約20年前のこと。同じ時期から日本が「失われた20年」に突入したのは〝偶然の一致〟ではない。
まだチャンスは残っている
人材を育てるのは「国家100年の計」。その成功事例は海外にもある。日本総研理事の湯元健治氏は「スウェーデンに学べ」と説く。
「日本の失敗は、衰退産業を補助金や助成金で温存することで、カネやモノだけでなくヒトを最先端の産業にシフトさせなかったことにある。
一方でスウェーデンはドラスティックに衰退産業を切り捨てる代わりに、『次はバイオ産業だ』となれば、その産業で働く人材を育成するために、職業訓練を徹底して行った。政府が企業ではなく努力する人を助けることで、衰退産業から新しい産業へと人材を移行させ、経済成長を続けています」
このままいけば若者から高齢者まで、日本全体が「共倒れ」するのは目に見えている。自分だけは生き残りたいという我欲が、自分の首をも絞めているという現実を直視するところから、日本は立ち直りのきっかけをつかめる。かつてコンサルタントとして世界各国の経済情勢を分析してきた経験を持つ、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成氏もこう語る。
「インドには現地の企業に請われてノウハウを教えに行っている日本人のリタイア層がたくさんいる。アメリカにはベンチャー企業にカネやオフィスや人脈を提供する資産家たちがいる。日本国内で、これと同じことをリタイアした高齢者や成功したビジネスマンが行えば、日本は活性化する。支援を受けた人はそのありがたみを感じて、次の世代に同じことをするから、好循環が生まれる。
日本のサラリーマンは引退して年金をもらって過ごすのではなく、こうした形で『新しく働く』という選択をして欲しい」
人が栄えれば企業が栄え、果ては日本が栄える。各人がまず一歩を踏み出すことで、日本が再び輝く未来が見えてくる。最後に前出・中嶋氏はこう語った。
「外国の優秀な政治家や経営者は文学を読み、哲学を学び、音楽や芸術にまで幅広く関心を持つ。そのうえで天下国家を論じるから、スケールの大きい仕事も成し遂げられる。
かつて日本にはこうしたパイオニアとなる人材がたくさんいた。みな天下国家を引っ張っていこうという気概に溢れていた。日本人独自の武士道精神、わびさびを解する心はいまも広く世界から評価されている。こうした精神を再び広めていくためにも、教養を学び直すことから始めたらどうだろうか」